第171話「試す、覚悟」
反撃の、仕組みが——理論上——完成した。
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一つ目の、レンズで——太陽の光を、集め。
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二つ目の、鏡で——それを、敵に、跳ね返す。
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「あとは……これを……実戦で、試すだけだ」
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だが——それは——大きな、"賭け"、でもあった。
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「田中くん……。正直に、言うと……怖いの」
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皆瀬が——不安げに、揺れた。
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「実戦で……レンズに、なるってことは……敵の、近くまで……行くってこと。もし……レンズを、作ってる、最中に……光の柱に……撃たれたら……」
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誠は——静かに——皆瀬の、言葉を、聞いた。
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「私たち……たくさん、集まって……一つに、なる。その時……逃げるのも……遅くなる。もし……失敗したら……大勢の、仲間が……一度に……」
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皆瀬の、不安は——もっともだった。
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訓練とは、違う——本物の、戦場。
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一つ、間違えれば——多くの、命が——失われる。
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「皆瀬さん」
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誠は——静かに、言った。
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「無理は……させたくない。もし……怖いなら……もっと、訓練を、重ねてからでも……」
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「ううん」
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皆瀬は——首を、振った——ように、揺れた。
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「怖い。でも……やらなきゃ、いけないの。だって……このままじゃ……皆、焼かれちゃう」
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皆瀬は——静かに、続けた。
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「それに……私たちに、"身体"、をくれたのは……田中くん、あなただもの」
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「その、身体で……皆を、守れるなら……こんなに……嬉しいことは、ない」
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誠は——胸が——熱くなった。
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「皆瀬さん……」
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「だから……やらせて、ほしいの。私たちの……"身体"、で……皆を、守らせて」
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その、決意を——聞いて。
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他の、仲間たちも——次々と——声を、上げた。
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「スライムの、皆さんが、覚悟を、決めたんだ。俺たちも……やるぜ!」
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竜崎が——拳を、握った。
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「鬼族が……スライムを、守りながら、運ぶ! 光の柱なんて……ワシらが、防いだる!」
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グランデルが——胸を、叩いた。
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「龍族も……空から、援護する! 危なくなったら……すぐ、逃がしたるさかい!」
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藤原も——頷いた。
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「虫人族は……敵の、位置を……正確に、伝える! 安全な、タイミングを、見極めるよ!」
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森川も——申し出た。
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「忍者も……情報の、伝達で……支援いたす」
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「守り竜団は……万一の、時の……救助に、備える!」
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皆が——スライムたちを——守る、覚悟を——固めていた。
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「みんな……」
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皆瀬は——感激したように、揺れた。
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「ありがとう……。皆が、いてくれたら……怖くない」
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誠は——その、光景を、見て——静かに、思った。
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(一人だったら……怖くて、できないことも……)
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(皆が、支えてくれるから……踏み出せる)
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(これが……"繋がり"、の、力なんだ)
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「よし……!」
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誠は——皆を、見渡した。
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「みんなの、力を、合わせて……初めての、反撃を……成功させよう!」
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「スライムの、皆さんは……レンズと、鏡に。鬼族と、龍族は……運搬と、援護。虫人族と、忍者は……偵察と、伝達。傭兵団は……救助の、備え」
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「そして……僕は……皆を……繋ぐ」
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「「「おおおお!」」」
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高原に——皆の、鬨の声が——響いた。
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初めての——本格的な、反撃。
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その、覚悟が——今——一つに——まとまった。
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「明日……決行する」
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誠は——静かに、そう、告げた。
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「皆で……力を、合わせて……必ず……成功させよう」
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「反撃の、仕組みが、理論上、完成した。あとは……実戦で、試すだけ。でも……皆瀬さんが、"怖い"、って。実戦で、レンズに、なるのは……敵の近くまで、行くってこと。失敗したら、大勢の、仲間が、一度に。もっともな、不安だ。でも……皆瀬さんは、"やらなきゃ、いけない。私たちに、身体をくれたのは、あなた。その身体で、皆を、守れるなら、嬉しい"、って。そして……皆瀬さんの、覚悟を、聞いて……他の、皆も、次々、"スライムを、守る"、って、名乗りを、上げた。鬼族が、龍族が、虫人族が、忍者が、傭兵団が……。皆瀬さんが、"皆が、いてくれたら、怖くない"、って。一人だったら、怖くて、できないことも……皆が、支えてくれるから、踏み出せる。これが、繋がりの力だ。明日……初めての、反撃を、決行する。じいちゃん……必ず、成功させるよ」
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窓の外——裂けた、空。
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まだこの時の誠は知らない。明日の、この、"初めての、反撃"、が——長い、防衛戦の……大きな、転機に、なることを。
そして——それが……成功するのか……失敗するのか……その、結果に……皆の、運命が……かかっていることも——今はまだ、知る由もなかった。




