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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
開戦

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第159話「意志を持つ、敵」

「あれは、敵だ」——その、認識は。



皆の、心に——静かに——根を、下ろしていった。



だが——同時に——新たな、疑問も——生まれた。



「敵だ、として……その、"意志"、は……一体、どこから……来てるんだ?」




黒崎が——芝居がかった、口調で、言った。




「あの、無数の、金属の、物体……その、一つ、一つに……意志が、あるのか。それとも……」





「それとも?」




「全体を、統べる……"何か"、が……いるのか」





一同が——考え込んだ。




「確かに……。あれだけの、数が……あんなに、統率、されて、動くには……」




桜庭が——呟いた。




「何か……全体を、指揮する……"中枢"、が……あるはず」





「中枢……」




誠は——その、言葉を——繰り返した。




「もし……その、"中枢"、が、あるなら……そこを、叩けば……」




「敵、全体を……止められる、かもしれない……!」





一同に——希望が——差した。




「そうだ……! 数万、数十万の、敵を……一つ、一つ、倒すのは……無理だ。でも……"中枢"、が、あるなら……!」





「藤原さん。偵察の、時……そういう、"特別な、敵"、を……見なかった?」




誠が、尋ねると——藤原は——記憶を、辿った。




「うーん……。どれも、似たような……金属の、物体、やったけどな……」




「でも……そういえば……」





藤原は——ふと——思い出した。




「ずっと、奥の……一番、高いところに……なんか……他よりも……"大きい、影"、が……あった、気が、する」





「大きい、影……!」




誠は——身を、乗り出した。




「それが……中枢……なのかもしれない……!」





「でも……あかん」




藤原は——首を、振った。




「一番、奥で……一番、高いところや。今の、うちには……とても、たどり着けへん。無数の、敵が……守ってるみたいに……周りを、囲んどった」





「守ってる……」




誠は——考え込んだ。




「やっぱり……そこが……敵の、"中枢"、なのかもしれない。だから……無数の、敵が……周りを、守ってる」





「田中」




アルフレートが——静かに、言った。




「もし……その、"中枢"、を……叩ければ……この、戦いを……終わらせられる、かもしれん」




「でも……そこへ、たどり着くには……周りの、無数の、敵を……突破しなければ、ならん」





「そのためには……やっぱり……」




誠は——静かに、続けた。




「無数の、敵を……なんとか、する、方法……"決め手"、が……必要なんだ」





再び——皆の、視線が——一点に——集まった。




反撃の、鍵——"ガン"。




「結局……"ガン"、に……行き着くのか」





「あの、無数の、敵を……突破して……中枢まで、たどり着く」




誠は——決意を、込めて、言った。




「そのための、"決め手"、が……"ガン"、なんだ。だから……なんとしても……"ガン"、の、正体を……突き止めないと」






だが——依然として——"ガン"、は——謎のまま。




その、正体が——誰にも——分からない。





「なあ、田中」




竜崎が——ふと、言った。




「"ガン"、って……本当に、そんな、大層な、ものなのか?」



「え?」




「いや……なんか……こう……皆、"すごい、秘密の、武器"、だと、思って、探してるけどさ」




竜崎は——腕を、組んだ。




「案外……もっと、単純な……身近な、ものだったり……しないか?」





誠は——竜崎の、言葉に——少し——考えた。




「単純な……身近な、もの……」




「まあ……ただの、勘だけどな」




竜崎は——肩を、すくめた。





その、何気ない、一言は——誠の、心の、片隅に——引っかかった。




だが——今は——まだ——その、意味に——気づかなかった。





「とにかく……"中枢"、が、あるかもしれない。それが、分かっただけでも……大きな、前進だ」




誠は——皆を、見渡した。




「敵の、目的も……中枢も……そして……"ガン"、も。一つずつ……解き明かして、いこう」





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「敵が、意志を持つ、として……その、意志は、どこから、来るのか。黒崎が、"全体を、統べる、何かが、いるのか"、って。桜庭さんが、"全体を、指揮する、中枢が、あるはず"、って。それを、叩けば……敵、全体を、止められるかもしれない。藤原さんが、"ずっと、奥の、一番、高いところに、他より、大きい、影が、あった"、って。それが、中枢かもしれない。でも、無数の、敵が、周りを、守ってて……たどり着けない。だから、やっぱり……無数の敵を、突破する、"決め手"、が……"ガン"、が、必要なんだ。竜崎が、"ガンって、案外、単純な、身近な、ものだったりしないか"、って。なんだか……その言葉が、引っかかる。でも……まだ、意味は、分からない。じいちゃん……敵の、中枢が、あるかもしれない。一つずつ、解き明かしていくよ」



窓の外——裂けた、空。



その、奥の、奥……一番、高いところに——他とは、違う……"大きな、影"、が——静かに、潜んでいた。



まだこの時の誠は知らない。あの、"大きな、影"、こそが——敵の、"本体"、であることを。


そして——竜崎の、何気ない、一言が……"ガン"、の、正体に……驚くほど……近かったことも——今はまだ、知る由もなかった。

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