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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
開戦

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第158話「天災では、ない」

敵の——"層"、と——"役割分担"。



それが——明らかになった、頃。



一人——それでも——信じたがらない、者が、いた。



村の、避難民の中に、いた——一人の、老学者だった。




「いや……。あれは……やはり、天の、災いだ」




老学者は——頑なに——そう、主張した。




「天が、割れ……光が、降る……。これは、神の、怒り……あるいは……自然の、猛威に、違いない」





「でも……敵には……役割分担が……」




誠が、言いかけると——老学者は——首を、振った。




「偶然だ。自然の、現象にも……規則性は、ある。あれを……"意志"、と、呼ぶのは……早計だ」





老学者の、言葉には——一理、あった。




人は——理解できない、恐怖を——"天災"、や——"神の、怒り"、と、呼んで——受け入れようとする。





「もし……あれが、天災なら……我々に……できることは、ない。ただ……祈り、耐えるしか……」




老学者は——諦めたように、そう、言った。





「いいえ」




誠は——静かに、しかし、はっきりと——言った。




「あれは……天災じゃ、ありません」





「なぜ……そう、言い切れる」




「敵は……"学習"、するからです」




誠は——静かに、続けた。




「一色さんの、レールガンで、狙われた、敵は……射程の、外へ……高度を、上げました」




「天災が……こちらの、攻撃を、避けて……逃げますか?」





老学者は——言葉に、詰まった。




「それに……敵は……藤原さんが、近づいた時……こちらを……"向き"、ました」




誠は——続けた。




「天災が……こちらを、"認識"、して……反応、しますか?」





「それは……」




「そして……敵には……"役割分担"、が、あります。攻撃する、層と……別の、役割の、層」




誠は——静かに、しかし、力強く——語った。




「天災に……"分業"、が……ありますか?」





老学者は——沈黙した。





「学習し……認識し……分業する。これは……明確な、"意志"、の……証です」




誠は——静かに、結論づけた。




「あれは……天災でも……神の、怒りでも、ない。何者かが……"意図"、を、持って……仕掛けている……"敵"、なんです」





老学者は——長い、沈黙の、後——静かに、頷いた。




「……そうか。あれは……"敵"、なのか」



「はい」




「なら……我々に、できることも……あるのだな」





「はい」




誠は——力強く、頷いた。




「天災なら……祈り、耐えるしか、ない。でも……"敵"、なら……立ち向かえる。弱点を、探し……倒す、方法を……見つけられる」





老学者は——誠を——じっと、見つめた。




「若者よ……。お前は……"希望"、を、持っているのだな」



「希望……?」




「絶望的な、状況で……なお……"立ち向かえる"、と、信じる。それは……何よりの……"力"、だ」






その、やり取りを——アルフレートが——聞いていた。




「田中……。お前は……ただ、皆を、繋ぐだけでは、ない」



「え?」




「皆の、心に……"希望"、を……灯している」




アルフレートは——静かに、続けた。




「"あれは、敵だ。だから、立ち向かえる"……その、言葉が……どれほど、皆を……勇気づけているか」





誠は——照れくさそうに——頭を、掻いた。




「僕は……ただ……諦めたくない、だけです」




「それが……希望、というものだ」






こうして——皆の、心の中で。




"敵"、は——ただの、天災から——"倒すべき、明確な、標的"、へと——変わっていった。




絶望は——少しずつ——"闘志"、へと——変わっていく。





「あれは……天災じゃ、ない。倒せる、"敵"、なんだ」




その、認識が——皆に——広がっていった。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「避難民の中に、"あれは、天災だ。祈り、耐えるしか、ない"、って、主張する、老学者が、いた。でも、僕は、言った。"あれは、天災じゃない"、って。敵は、学習して、レールガンの射程から、逃げた。藤原さんに、気づいて、こっちを、向いた。役割分担も、ある。天災に、そんなこと、できない。学習し、認識し、分業する。それは、明確な、意志の、証だ。だから……あれは、"敵"、なんだ。天災なら、祈るしかない。でも、"敵"、なら……立ち向かえる。弱点を、探して、倒す方法を、見つけられる。老学者は、"お前は、希望を、持っているのだな"、って。アルフレート様も、"お前は、皆の心に、希望を、灯している"、って。僕は、ただ、諦めたくない、だけ。でも……それで、皆が、勇気づけられるなら……嬉しい。じいちゃん……絶望を、闘志に、変えるんだ」



窓の外——裂けた、空。



まだこの時の誠は知らない。あれが……"敵"、であると、確信したことで——反撃への、道が……大きく……開けていくことを。


そして——その、"敵"、の……本当の、目的が……明らかになった、時……新たな、戦慄が……皆を、襲うことも——今はまだ、知る由もなかった。

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