第156話「見上げた、天空」
敵が——"大きな、一撃"、の、準備を、している。
⸻
その、報せは——皆に——重い、緊張を——もたらした。
⸻
「もう一度……この、目で……敵を、確かめておきたい」
⸻
⸻
誠は——そう、思った。
⸻
⸻
「藤原さん。僕を……空に……連れて行って、もらえないかな」
⸻
⸻
⸻
「田中くんを!?」
⸻
⸻
藤原は——驚いた。
⸻
⸻
「あかんて! 危険や! あんた……戦う力、ないんやで!」
⸻
⸻
「分かってる。でも……」
⸻
⸻
誠は——静かに、続けた。
⸻
⸻
「反撃の、作戦を、立てるには……僕自身が……敵を、この目で……見ておく、必要が、あるんだ」
⸻
⸻
⸻
藤原は——迷った。
⸻
⸻
「でも……もし……光の柱に……撃たれたら……」
⸻
「藤原さんの、背に、乗せてもらって……安全な、距離から、見るだけだから」
⸻
⸻
誠は——真剣に、続けた。
⸻
⸻
「皆に、指示を、出す、立場として……僕は……敵の、正体を……ちゃんと……知っておきたいんだ」
⸻
⸻
⸻
その、真剣な、眼差しに——藤原は——折れた。
⸻
⸻
「……分かった。でも……少しでも、危なくなったら……すぐ、戻るで」
⸻
「うん。ありがとう、藤原さん」
⸻
⸻
⸻
⸻
こうして——誠は——藤原の、背に、乗り——空高く——舞い上がった。
⸻
⸻
「うわ……! 高い……!」
⸻
⸻
眼下に——広がる——大地。
⸻
⸻
焼かれた、大地と——生き残った、緑が——まだら模様に——広がっている。
⸻
⸻
⸻
「田中くん、しっかり、掴まっとき!」
⸻
「うん!」
⸻
⸻
藤原は——安全な、距離を、保ちながら——敵の、近くへと——上昇していった。
⸻
⸻
⸻
そして——誠は——初めて——間近で——"それ"、を、見た。
⸻
⸻
⸻
「これが……敵……」
⸻
⸻
誠は——言葉を、失った。
⸻
⸻
⸻
無数の——金属の、物体。
⸻
⸻
一つ、一つが——見たこともない——不気味な、形を、していた。
⸻
⸻
つるりとした、表面。鈍く、光る、材質。
⸻
⸻
そして——その、"物体"、が——空一面を——埋め尽くすほど——果てしなく——並んでいた。
⸻
⸻
⸻
「なんて……数だ……」
⸻
⸻
近くで、見ると——その、絶望的な、"数"、が——より、はっきりと——分かった。
⸻
⸻
数万——いや——数十万は——あるかもしれない。
⸻
⸻
⸻
「これを……全部……倒すのか……」
⸻
⸻
誠は——気が、遠くなるような——思いに、駆られた。
⸻
⸻
⸻
だが——誠は——じっと——観察を、続けた。
⸻
⸻
敵の、一つ、一つ。その、形。その、配置。その、動き。
⸻
⸻
⸻
「あの……物体の、"表面"……なんだか……こう……つるっとして……磨いた、みたいに……」
⸻
⸻
誠は——目を、凝らした。
⸻
⸻
「まるで……鏡みたいだ……」
⸻
⸻
⸻
その、時——誠は——ふと——気づいた。
⸻
⸻
敵の、物体の、表面が——太陽の光を——反射して——きらきらと、光っている。
⸻
⸻
「鏡……。あの、表面が……光を……反射してる……」
⸻
⸻
⸻
誠の、頭の中で——何か、が——引っかかった。
⸻
⸻
スライム族の——"鏡"。
⸻
⸻
敵の——反射する、表面。
⸻
⸻
「まさか……敵も……"光"、を……何かに、使ってる……?」
⸻
⸻
⸻
だが——その、考えは——まだ——形に、ならなかった。
⸻
⸻
「田中くん! そろそろ、限界や! 敵が……こっちに、気づき始めた!」
⸻
⸻
藤原の、声が——響いた。
⸻
⸻
⸻
見ると——いくつかの、敵の、物体が——ゆっくりと——こちらを、向き始めていた。
⸻
⸻
「まずい! 藤原さん、戻って!」
⸻
「掴まっとき!」
⸻
⸻
⸻
藤原は——急降下で——敵から、離れた。
⸻
⸻
——ヒュゴォォォッ!
⸻
⸻
間一髪——先ほどまで、いた、場所を——光の柱が——貫いた。
⸻
⸻
「危なかった……!」
⸻
⸻
⸻
⸻
無事に——地上に、戻った、誠は——皆に——見てきたことを——報告した。
⸻
⸻
「敵は……本当に……数十万は……あるかもしれない。そして……表面が……鏡みたいに……光を……反射してた」
⸻
⸻
⸻
「鏡みたいに……反射……?」
⸻
⸻
アルフレートが——考え込んだ。
⸻
⸻
「敵の、物体が……光を……反射している……。それは……何か、意味が……あるのか」
⸻
⸻
⸻
「分かりません。でも……」
⸻
⸻
誠は——静かに、続けた。
⸻
⸻
「敵の、あの、"表面"、が……何のために……あんな、風に……なっているのか。それを……解き明かせれば……敵の、"目的"、が……見えてくる、気が、するんです」
⸻
⸻
⸻
まだ——全ては——分からない。
⸻
⸻
だが——誠は——確かに——敵の、"正体"、の——一端に——触れた、気が、した。
⸻
⸻
⸻
その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「藤原さんに、無理を、言って……空から、敵を、この目で、見てきた。すごい、数だった。数十万は、あるかもしれない。近くで、見て、気づいたことが、ある。敵の、物体の、表面が……つるっとして、磨いたみたいで……鏡みたいに、太陽の光を、反射してた。スライム族の、"鏡"、と……敵の、反射する、表面。なんだか……引っかかる。敵も、"光"、を、何かに、使ってるんじゃないか、って。でも……まだ、その考えは、形に、ならない。敵の、あの、表面が、何のために、あんな風に、なってるのか。それを、解き明かせれば……敵の、"目的"、が、見えてくる、気が、するんだ。じいちゃん……敵の、正体の、一端に……触れた気が、する。もう少しで……何か、大事なことが……分かりそうなんだ」
⸻
窓の外——裂けた、空。
⸻
そこに、浮かぶ——鏡のように、光を、反射する——無数の、敵。
⸻
まだこの時の誠は知らない。敵の、あの、"反射する、表面"、が——一体、何のために、あるのかを。
そして——それこそが……敵の、恐ろしい、"目的"、を……解き明かす……重要な、鍵で、あることも——今はまだ、知る由もなかった。




