第155話「藤原の、偵察」
誠が——皆を、支える、一方で。
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反撃の、準備も——着実に、進んでいた。
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だが——それには——一つ——欠かせないものが、あった。
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"敵の、正確な、情報"、である。
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「跳ね返す、鏡も……運ぶ、力も……揃ってきた」
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誠は——皆に、言った。
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「でも……敵が、どこに、いて……どう、動くのか。それが、分からないと……鏡を……どこに、配置すれば、いいか……分からない」
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「せやな。敵の、"配置"、を……もっと、詳しく……知らなあかん」
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藤原が——頷いた。
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「うちが……もう一度……偵察に、行ってくるわ」
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「藤原さん……危険じゃ……」
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誠は——心配した。
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前回の、偵察でも——藤原は——命がけだった。
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「大丈夫や。今回は……虫人族にも……協力して、もらうさかい」
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森川が——頷いた。
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「虫人族の、偵察隊が……藤原さんと、一緒に、行く。小さい、僕らなら……敵に、気づかれにくい」
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「そうすれば……藤原さんが……無理に、近づかなくても……済む」
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「なるほど……。藤原さんと、虫人族……"空の、力"、と……"数の、力"、を……組み合わせるんですね」
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誠は——感心した。
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これも——一つの——"繋がり"、だった。
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こうして——藤原と、虫人族による——偵察が——始まった。
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藤原が——空高く——舞い上がり。
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その、背から——無数の、虫人たちが——散っていく。
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虫人たちは——小さな、身体を、活かし——敵の、間近まで——忍び寄る。
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そして——敵の、配置、一つ、一つを——観察していった。
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「森川! 虫人族から……情報が、届いてる?」
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誠が、尋ねると——森川は——集中した、顔で、答えた。
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「うん……。群れの、感覚で……伝わってくる。今……敵の、配置を……把握してるところ」
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しばらくして——藤原と、虫人族が——戻ってきた。
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「田中くん! 分かったで!」
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「敵の……配置が、掴めた!」
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桜庭が——虫人族の、情報を——地図に——書き起こしていった。
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そして——完成した、地図を、見て——一同は——息を、呑んだ。
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「これは……」
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地図には——敵の、無数の、物体が——記されていた。
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そして——その、配置は——不気味なほど——"規則的"、だった。
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「まるで……碁盤の、目、みたいに……整然と……並んでる」
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誠は——呟いた。
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「これは……やっぱり……偶然じゃ、ない」
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「田中くん……。それだけや、ないんや」
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藤原が——深刻な、顔で、言った。
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「偵察してて……気づいたんやけど……あの、敵……ただ、並んでる、だけやなくて……」
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「少しずつ……"向き"、を……変えとる」
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「向きを……?」
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「そうや。全部の、敵が……少しずつ……ある、"一点"、に……狙いを、定めるみたいに……向きを、揃えていってる」
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誠は——ぞくり、とした。
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「一点に……狙いを……。それって……」
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「まるで……何か、大きな……"一撃"、の……準備を、してるみたいや」
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一同に——緊張が——走った。
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「大きな、一撃の、準備……」
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アルフレートが——険しい、顔を、した。
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「敵が……何か……"次の、段階"、に……移ろうとしている、のか」
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「急がないと……」
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誠は——焦りを、覚えた。
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「敵が……その、"一撃"、を……放つ、前に……こっちの、反撃の、準備を……間に合わせないと……」
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だが——反撃の、鍵——"ガン"、は——依然、謎のまま。
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時間だけが——刻一刻と——過ぎていく。
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「敵の、配置は……分かった。反射の、仕組みも……ある。でも……まだ……"決め手"、が……足りない」
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誠は——地図を——見つめた。
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「"ガン"……。早く……お前の、正体を……突き止めないと……」
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「敵の、配置を、詳しく、知るために……藤原さんと、虫人族が、偵察に、行ってくれた。空の力と、数の力を、組み合わせて。おかげで、敵の配置が、掴めた。碁盤の目みたいに、整然と、並んでる。やっぱり、偶然じゃない。それに……藤原さんが、気づいた。敵が、少しずつ、"向き"、を、変えて……ある、一点に、狙いを、定めるみたいに、揃えていってる、って。まるで、何か、大きな、一撃の、準備を、してるみたいだ、って。アルフレート様は、"敵が、次の段階に、移ろうとしてるのか"、って。急がないと。敵が、その一撃を、放つ前に、反撃の準備を、間に合わせないと。でも……肝心の、"ガン"、が、まだ、分からない。じいちゃん……時間が、ない。早く、"ガン"、の、正体を、突き止めないと」
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窓の外——裂けた、空。
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そこには——少しずつ、向きを、揃えていく——無数の、敵。
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まだこの時の誠は知らない。敵が、準備している、その、"大きな、一撃"、が——一体、何であるのかを。
そして——それが……単なる、"攻撃"、では、ない……もっと、恐ろしい、"目的"、の……一部であることも——今はまだ、知る由もなかった。




