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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
開戦

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第153話「腹を、満たす者」

誠の、出店が——前線の、拠り所と、なった、頃。



一つの——問題が——持ち上がった。



「田中……。食料が……底を、つき始めた」




ある日——竜崎が——深刻な、顔で、告げた。




「戦いが、長引いて……避難民も、増える、一方だ。このままじゃ……皆、飢えちまう」





誠は——顔を、曇らせた。




「そうか……。武力だけじゃ、なくて……"食料"、も……戦いを、支える、大事な、力なんだ」




「腹が、減っては……戦も……できないからな」




竜崎が——頷いた。






誠は——考え込んだ。




戦いに、追われて——畑の、多くは——焼かれてしまった。




このままでは——食料が——尽きるのは——時間の、問題だった。





「どうすれば……皆の、腹を……満たせるか……」




誠は——必死に——考えた。




そして——ふと——祖父の、教えを——思い出した。




「じいちゃんは……"保存食"、の、作り方も……教えてくれた」





「そうだ……! 保存食だ!」




誠は——閃いた。




「今、ある、食材を……無駄なく……保存の、きく、形に、変える。そうすれば……長く……皆の、腹を、満たせる」






誠は——早速——動き始めた。




「みんな! 食材を……無駄にしないで! 傷んだ、野菜も……漬物に、すれば……食べられる!」




「干し野菜、干し肉……保存食を、作れば……長持ちする!」





誠の、指導で——避難民たちも——保存食作りに——加わった。




「田中さんの、言う通りに……漬物を……」



「干し野菜なら……私にも、作れます」





こうして——限られた、食材が——無駄なく——保存食へと——変わっていった。





さらに——誠は——仲間たちの、力も、借りた。




「グランデルさん! 鬼族の、皆さんで……遠くの、無事な、村から……食料を……分けて、もらえませんか」




「おう! 任せとき! ワシらの、力の、見せ所や!」




鬼族が——遠方から——食料を、運んでくる。





「藤原さん! 空から……無事な、農地を……探して、もらえますか」




「任しとき! ひとっ飛びや!」




龍族が——空から——無事な、農地を、見つけてくる。





「森川! 虫人族に……食べられる、山菜や、木の実の、場所を……探して、もらえないかな」




「いいよ。虫人族は……森の、恵みを、見つけるのが……得意なんだ」




虫人族が——森の、恵みを——見つけてくる。






こうして——皆の、力を、繋いで。




前線の——食料問題は——少しずつ——解決に、向かっていった。





「すごい……。皆の、力を、合わせれば……食料だって……確保できる」




誠は——感慨深く、呟いた。




「これも……"繋がり"、の、力、なんだな」






そんな、ある日。




誠の、出店に——一人の、避難民の、子供が——やってきた。




「おじさん……。ありがとう」



「ん? 何が?」




「おじさんの、ご飯……いつも、美味しくて……。お腹が、いっぱいだと……怖くない、から」





誠は——その、言葉に——胸が、熱くなった。




「そうか……。お腹が、いっぱいだと……怖くないか」



「うん! だから……おじさん……頑張って!」





子供の、その、言葉が——誠の、心に——深く、響いた。




(そうだ……。腹を、満たすことは……ただ……飢えを、しのぐ、だけじゃ、ない)




(人の……"心"、を……"勇気"、を……支えることなんだ)





「ありがとう。おじさんも……頑張るよ」




誠は——優しく——子供の、頭を、撫でた。





戦えない、モブが——皆の、腹を、満たし——心を、支える。




その、地道な、営みが——確かに——この、戦いを——支えていた。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「食料が、底をつき始めた。武力だけじゃなくて、食料も、戦いを支える、大事な力なんだ。腹が減っては、戦もできない。じいちゃんが、教えてくれた、保存食の作り方を、思い出した。傷んだ野菜も、漬物にすれば、食べられる。干し野菜、干し肉……皆で、作った。鬼族が、遠くから、食料を、運んで、龍族が、農地を、探して、虫人族が、森の恵みを、見つけて……皆の、力を、繋いで、食料を、確保できた。避難民の、子供が、"お腹が、いっぱいだと、怖くない。おじさん、頑張って"、って。腹を、満たすことは、ただ、飢えを、しのぐだけじゃない。人の、心を、勇気を、支えることなんだ。じいちゃん……じいちゃんの、教えが……こんな、時に……皆を、救ってるよ」



窓の外——裂けた、空。



まだこの時の誠は知らない。この、"皆の、腹を、満たす"、という、地道な、営みが——過酷な、長期戦を、戦い抜くための……欠かせない、"力"、に、なることを。


そして——祖父から、受け継いだ、"地味な、知恵"、こそが……大勢の、命を、繋いでいることも——今はまだ、知る由もなかった。

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