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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
開戦

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第151話「それぞれに、できること」

"ガン"、の、正体は——依然、謎のまま。



だが——それでも——集まった、伝承を——形に、しようという——動きが、始まった。



「"ガン"、が、分からなくても……今、できることは、ある」




誠は——皆に、呼びかけた。




「まずは……集まった、伝承を……実際に……試してみよう」





「スライム族の、"鏡"、が……本当に、敵の、光を……跳ね返せるのか。まずは……それを、確かめないと」





皆瀬が——静かに、揺れた。




「うん……。私たち……やってみる」




「無理は……しないでね、皆瀬さん」




「大丈夫。皆で……協力して、やってみるから」






こうして——それぞれの、役割の——"予行演習"、が——始まった。





まず——鬼族と、龍族が——連携して——スライムを、運ぶ、練習。




「よし! ワシらが、地上で、運ぶで!」




グランデルたち、鬼族が——スライムを、乗せた、"担架"、のような、ものを——軽々と、担ぐ。




「うちらは……空から、運ぶ!」




藤原たち、龍族が——それを——空へ、運び上げる。





「おお……! 息が、合ってきた!」




最初は——ぎこちなかった、連携も。




繰り返すうちに——少しずつ——スムーズに、なっていった。






一方——虫人族と、忍者は——情報伝達の、訓練。




「虫人族の、偵察隊が……敵の、位置を、掴んだら……それを……忍者が……各地に、伝える」




森川の、指示で——虫人たちが——素早く、飛び回る。




「なるほど……。虫人族の、速さと……忍者の、正確さ……組み合わせると……」




「これなら……広い、戦場でも……情報を……素早く、繋げられる」






そして——誠は。




その、全ての、間を——駆け回っていた。




「グランデルさん、そっちの、連携は、どうですか!」



「森川、虫人族の、偵察範囲は!」



「皆瀬さん、無理してませんか!」





誠は——戦うわけでは——なかった。




だが——皆の、間を、繋ぎ——情報を、共有し——調整する。




その、役割を——誠は——自然と——担っていた。





「田中」




アルフレートが——その、様子を、見て——言った。




「お前は……戦わない。だが……お前が、いなければ……この、連携は……成り立たない」





「え?」




「見ろ。バラバラの、種族を……繋いで……一つに、まとめている。それは……お前にしか……できないことだ」





誠は——はっと、した。




確かに——誠は——龍族とも、鬼族とも、スライム族とも、虫人族とも——全員と、繋がっていた。




だから——誠が、間に、立つことで——彼らは——スムーズに、連携できた。





「そうか……。これも……"繋ぐ"、っていうことなんだ」




誠は——静かに、呟いた。




「戦えなくても……皆を、繋ぐことなら……僕にも、できる」






だが——予行演習は——うまくいくことばかりでは——なかった。




「あかん! 龍族と、鬼族の、受け渡しが……うまく、いかへん!」



「虫人族の、伝令が……忍者に……うまく、伝わってない!」





種族が、違えば——習慣も、感覚も——違う。




連携は——一朝一夕には——完成しなかった。





「焦らないで、いこう」




誠は——皆を、励ました。




「一つ、一つ……丁寧に、合わせていけば……きっと……うまくいく」




「じいちゃんも、言ってた。"地味なことを……丁寧に、飽きずに、続けろ"、って」





その、言葉に——皆も——気を、取り直した。




「そうやな。焦っても、しゃあない」



「一つずつ……合わせて、いこう」





こうして——バラバラだった、種族が——少しずつ——一つの、"チーム"、に、なっていった。





「まだ……"ガン"、は、分からない」




誠は——訓練を、見守りながら——思った。




「でも……皆の、連携が……着実に……形に、なってきてる」




「これが……きっと……反撃の……土台に、なる」





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「今日から、集まった、伝承を、実際に、試す、予行演習を、始めた。鬼族と龍族が、スライムを、運ぶ、練習。虫人族と忍者が、情報を、伝える、訓練。最初は、ぎこちなかったけど、少しずつ、息が、合ってきた。僕は……戦わないけど、皆の間を、駆け回って、繋いで、調整してた。アルフレート様が、"お前が、いなければ、この連携は、成り立たない。それは、お前にしか、できないことだ"、って。そうか。これも、"繋ぐ"、っていうことなんだ。戦えなくても……皆を、繋ぐことなら、僕にも、できる。連携は、まだ、うまくいかないことも、多い。でも……じいちゃんの、言葉、"地味なことを、丁寧に、飽きずに、続けろ"。一つずつ、合わせていけば……きっと、うまくいく。じいちゃん……皆が、一つの、チームに、なっていくのが……嬉しいんだ」



窓の外——裂けた、空。



まだこの時の誠は知らない。この、地道な、"予行演習"、こそが——やがて……世界を、救う、"繋がりの、陣"、の……確かな、土台に、なることを。


そして——その、連携の、"中心"、に、立つのが……戦う力の、ない、自分、であることも——今はまだ、知る由もなかった。

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