第150話「バラバラの、知恵」
三つの、伝承が——繋がった。
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だが——それだけでは——まだ——反撃には——足りなかった。
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「一度……ここまでで、分かったことを……整理しよう」
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誠は——皆を、集め——これまでに、集まった、伝承を——まとめ始めた。
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桜庭が——几帳面に——それを、書き留めていった。
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「まず……スライム族の、"鏡"。敵の、光を……跳ね返す、力」
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「次に……龍族の、"天と、地を、繋ぐ、力"。鏡を……空へ、運ぶ」
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「そして……鬼族の、"重いものを、運ぶ、力"。鏡を……地上で、運搬する」
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「この、三つが……組み合わさって……」
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誠は——考えながら、続けた。
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「スライムの、鏡を……鬼族と、龍族が、運んで……敵の、近くに、配置する。そして……敵の、光を……跳ね返す」
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「これが……反撃の……基本の、形に、なる」
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「でも……」
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桜庭が——顔を、上げた。
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「これだけじゃ……足りないと思うの」
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「足りない?」
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「うん。だって……敵の、光を、跳ね返す、だけでしょう? それは……"防御"、にはなる。でも……敵を、"倒す"、には……」
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誠は——はっと、した。
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「確かに……。跳ね返すだけじゃ……いつまで、経っても……敵の、数は、減らない」
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「もっと……"攻撃"、できる、何かが……必要だ」
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その時——森川が——口を、開いた。
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「田中。虫人族にも……言い伝えが、あるんだ」
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「森川! それは?」
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「"天の、災い、来たらん、時……小さき、者、群れて……大きな、力と、なれ"、って」
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「小さき者が……群れて……大きな力に……」
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誠は——その、言葉を——繰り返した。
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「虫人族は……一匹、一匹は、小さくて、弱い。でも……群れれば……」
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「そう。僕らの、強みは……"数"、と……"連携"、なんだ」
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森川は——静かに、続けた。
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「偵察も、伝令も……群れで、動けば……どんな、広い、戦場でも……素早く……情報を、繋げる」
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「情報を……繋ぐ……」
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誠は——考え込んだ。
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「敵の、位置を……正確に、把握して……それを……各地の、"鏡"、に、伝える。虫人族が……その、役目を……」
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「そうか……! これも、大事な、ピースだ!」
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さらに——忍者が——口を、開いた。
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「我ら、忍者も……情報の、伝達には……長けております。虫人族と、連携すれば……より、確実に……」
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「傭兵団は……被災地の、人々を、守る。避難民の、護衛は……我らに、任せろ」
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竜崎も——名乗りを、上げた。
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こうして——次々と——それぞれの、役割が——見えてきた。
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スライム族——"鏡"、で、反射。
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龍族——空からの、運搬と、偵察。
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鬼族——地上での、運搬。
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虫人族——偵察と、情報の、伝達。
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忍者——情報の、伝達と、諜報。
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傭兵団——人々の、護衛。
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そして——帝国の、レールガン——上空への、攻撃。
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「すごい……。こんなに、たくさんの……力が……」
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誠は——書き留められた——伝承と、役割を——見渡した。
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「でも……」
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誠は——ふと——気づいた。
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「まだ……肝心なところが……足りない」
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「肝心なところ?」
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桜庭が——尋ねた。
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「うん。跳ね返す。運ぶ。偵察する。守る。……それは、分かった。でも……最終的に……あの、"数万の、敵"、を……どうやって……"倒しきる"、のか」
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「その、決め手が……まだ、見えないんだ」
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一同が——考え込んだ。
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確かに——防御や、運搬の、仕組みは——見えてきた。
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だが——数万の、敵を——�殲滅する——決定的な、"何か"、が——足りなかった。
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「それが……もしかしたら……」
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誠は——ぽつり、と、呟いた。
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「忍者の里の、言い伝えの……"ガン"、なのかもしれない」
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一同が——はっと、した。
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「"ガンを、以て、抗え"……。バラバラの、伝承を、繋いでも……まだ、足りない、"決め手"」
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「その、正体が……"ガン"、なんじゃ、ないか」
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誠は——確信を、込めて、続けた。
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「他の、伝承は……集まってきた。でも……最後の、"決め手"、である……"ガン"、だけが……まだ、正体不明のままだ」
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「それを……突き止められれば……きっと……反撃が……完成する」
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「でも……"ガン"、って……一体、何なんだ」
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竜崎が——腕を、組んだ。
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「聞いたこと、ない、言葉だよなぁ」
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誰も——その、正体を——知らなかった。
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バラバラの、知恵は——集まった。
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だが——最後の、鍵——"ガン"、だけが——依然として——深い、謎に、包まれていた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「今日、これまでの、伝承を、整理した。スライムの"鏡"、龍族の"空の力"、鬼族の"運ぶ力"、虫人族の"群れる力"、忍者の"情報伝達"、傭兵団の"護衛"、そして、帝国の"レールガン"。皆の、力と、役割が……少しずつ、見えてきた。でも……桜庭さんが、言った。"跳ね返すだけじゃ、防御にしか、ならない。敵を、倒す、決め手が、足りない"、って。その通りだ。数万の、敵を、倒しきる、決定的な、"何か"、が、まだ、見えない。それが……もしかしたら、忍者の里の、言い伝えの、"ガン"、なのかもしれない。他の伝承は、集まったのに……"ガン"、だけが、正体不明のまま。じいちゃん……最後の、鍵は、"ガン"、だ。それさえ、分かれば……きっと、反撃が、完成する。でも……一体、"ガン"、って……何なんだ」
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窓の外——裂けた、空。
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まだこの時の誠は知らない。皆が、必死に、探し求める、その、"ガン"、の、正体が——実は……すでに……彼らの、目の前に……あることを。
そして——それに、気づく日が……まだ……ずっと、先であることも——今はまだ、知る由もなかった。




