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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
開戦

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第149話「鬼族の、伝承」

スライム族の——"鏡"。龍族の——"天と、地を、繋ぐ、力"。



伝承が——一つ、また一つと——繋がっていく。



「グランデルさん。鬼族にも……何か、言い伝えは、ありますか」




誠が、尋ねると——グランデルは——腕を、組んだ。




「言い伝え、なあ……。ああ、あるで。ワシが……鍛錬を、始める、きっかけに、なった、やつや」





「その、鍛錬の……!」




グランデルは——静かに、語り始めた。




「妖精族……いや、今の、鬼族に、伝わる、言い伝えや。こう、いうんや」





「"いつの日か……天より、災い、降る、時"」




「"己の、身体を、鍛えよ……重き、ものを、持て"」




「"さすれば……災い、退かん"」





「身体を、鍛えて……重いものを、持て……」




誠は——その、言葉を——繰り返した。




「グランデルさんが……理由も、分からず、鍛えてたのは……この、言い伝えの、ため、だったんですね」




「せや。なんや、気になって、な。意味は……よう、分からんかったけど」





「重き、ものを、持て……」




誠は——考え込んだ。




「重いものを……運ぶ……。鬼族の、皆さんは……確かに、力持ちだ」





その時——誠の、脳裏に——ある、光景が——蘇った。




以前——鬼族の里で、感じた——あの、予感。




「もし……何か、"重いもの"、を……遠くへ、運ばなきゃ、いけない、ことが、あったら……」





「そうか……!」




誠は——はっと、した。




「スライム族の、"鏡"、を……龍族が、空へ、運ぶ。でも……スライムは、たくさんいる。それを……一気に、運ぶには……」




「龍族だけじゃ……手が、足りない、かもしれない」





アルフレートが——はっと、した。




「そこで……鬼族の、"運ぶ力"、か」



「はい!」




誠は——興奮して、続けた。




「鬼族の、皆さんが……"鏡"、を……担いで、運ぶ。龍族が、空を、担当して……鬼族が、地上での、運搬を、担当する」




「そうすれば……大量の、"鏡"、を……効率よく……配置、できる……!」





グランデルは——目を、輝かせた。




「なるほど……! ワシらの、鍛えた、力は……そのために、あったんか!」




「重いもんを、運ぶ……! ワシらの、得意技や!」





一同に——さらなる、興奮が——広がった。




スライム族の——"鏡"。




龍族の——"空を、駆ける、力"。




鬼族の——"重いものを、運ぶ、力"。




三つの、伝承が——繋がった。





「すごい……。本当に……繋がっていく……」




誠は——胸が——熱くなった。




「バラバラだった……皆の、力が……一つの、"仕組み"、に……なっていく」





「田中」




アルフレートが——静かに、言った。




「これは……偶然では、ない」



「え?」




「スライム族の、"鏡"。龍族の、"天と地を、繋ぐ、力"。鬼族の、"運ぶ、力"」




アルフレートは——静かに、続けた。




「これらは……まるで……最初から……"組み合わせる"、ことを……前提に……作られている」





誠は——はっと、した。




「そうか……。桜庭さんの、言った、通りだ。誰かが……敵を、倒す、方法を……わざと……バラバラに、分けて……各種族に、託した……」




「一つの、種族だけじゃ……完成しないように……」





「なぜ……そんなことを……?」




桜庭が——呟いた。




「分けて、託せば……どこか、一つの、種族が、滅んでも……他の、種族が、生き残っていれば……いつか、また……繋げられる……」





誠は——静かに、続けた。




「そして……その、バラバラの、伝承を……一つに、繋ぐ、者が……必要だった」




「だから……僕は……色んな、種族と……繋がってきたのかもしれない」





まだ——全ては——分からない。




その、"誰か"、が——誰なのか。なぜ、こんなことを、したのか。




だが——確実に——反撃の、"仕組み"、が——形を、成し始めていた。





「みんな……! あと、少しだ! 全部の、伝承を、繋げれば……きっと……反撃が、できる!」




誠の、声に——仲間たちは——力強く、頷いた。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「今日、グランデルさんが、鬼族の、言い伝えを、話してくれた。"天より、災い降る時、身体を、鍛えよ、重きものを、持て"、って。グランデルさんが、理由も分からず、鍛えてたのは、この、言い伝えの、ためだった。そして……繋がった。スライムの"鏡"、を、龍族が、空へ、運び……鬼族が、地上で、運搬を、担う。三つの、伝承が、一つの、仕組みに、なった。アルフレート様が、"これらは、最初から、組み合わせることを、前提に、作られている"、って。誰かが、敵を倒す方法を、わざと、バラバラに分けて、各種族に、託した。一つの種族が、滅んでも、いつか、また、繋げられるように。そして……それを、繋ぐ者が、必要だった。だから、僕は……色んな種族と、繋がってきたのかもしれない。じいちゃん……僕の、役割が……少しずつ、見えてきたよ」



窓の外——裂けた、空。



まだこの時の誠は知らない。この、"バラバラに、分けて、託した"、という、仕組みを、作った……"誰か"、の、正体を。


そして——その、"誰か"、の、想いが……四百年もの、時を、超えて……今……ようやく……実を、結ぼうとしていることも——今はまだ、知る由もなかった。

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