第147話「忍者の、伝承」
スライム族の——"鏡"、の、謎が——解け始めた。
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その、流れを——受けて。
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「他の、種族にも……何か、"言い伝え"、が、あるんじゃ、ないかな」
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誠は——ふと、そう、思った。
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「桜庭さんが、言ってた……離れた、種族の間で……似たような、言い伝えが、あるって」
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その、言葉に——忍者が——静かに、進み出た。
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「田中殿。我が、里にも……古くから、伝わる、言い伝えが、ございます」
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「忍者の里にも……!」
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忍者は——静かに、頷いた。
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「以前、少し、お話しした……"ガン"、のこと。あれも……その、言い伝えの、一部です」
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一同の、視線が——忍者に——集まった。
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「我が、里の、言い伝えは……こう、伝えております」
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忍者は——厳かに——語り始めた。
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「"いつの日か……天より、災い、来たらん"」
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「"天より、降りて……地を、焼き……人を、滅ぼさん"」
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一同が——息を、呑んだ。
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「今の……状況、そのものだ……」
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「そして……その、続きが……こう、なのです」
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忍者は——静かに、続けた。
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「"されど……救いは、ある"」
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「"ガン……を、以て……これに、抗え"」
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「ガンを、以て……抗え……」
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誠は——その、言葉を——繰り返した。
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「その、"ガン"、というのが……敵に、抗う、鍵……なんですね」
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「そう……伝えられております。しかし……」
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忍者は——悔しそうに、続けた。
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「その、"ガン"、が……何なのか……我が、里でも……誰も……知らぬのです」
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「誰も、知らない……」
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「言い伝えには……"ガンを、以て、抗え"、と、あるのみ。その、正体は……一切……記されて、おらぬのです」
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一同が——考え込んだ。
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「ガン……。武器の、名前かしら」
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桜庭が——呟いた。
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「それとも……何かの、術? あるいは……人の、名前?」
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「うーん……」
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誠も——腕を、組んだ。
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「"ガン"……。聞いたこと、ないなぁ。そんな、名前の、武器も……術も……」
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黒崎が——芝居がかった、口調で、言った。
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「フッ……。"ガン"、とは……おそらく……古の、失われた、秘術……闇の、彼方に、封じられし……禁断の、力……」
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「いや、黒崎……。それは、ただの、想像だろ」
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竜崎が——冷静に、突っ込んだ。
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「まあ……"ガン"、が、何なのかは……今は、置いておこう」
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誠は——気を、取り直した。
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「でも……忍者の里の、言い伝えも……スライム族と、同じで……"天より、災いが、降る"、って、警告してる」
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「これは……偶然じゃ、ないと思う」
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桜庭が——頷いた。
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「そうね。私が、調べた、通り……離れた、種族の間で……同じような、警告が、伝わってる」
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「まるで……大昔に、誰かが……世界中の、種族に……同じ、警告を……分けて、伝えたみたいに」
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「分けて……伝えた……」
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誠は——その、言葉に——引っかかりを、覚えた。
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「もし……本当に……誰かが……"敵に、抗う、方法"、を……各種族に……分けて、託した、んだとしたら……」
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誠の、脳裏に——ある、考えが——閃いた。
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「スライム族の、"鏡"、も……忍者の里の、"ガン"、も……その、"分けられた、方法"、の……一部……なんじゃ、ないかな」
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一同が——はっと、した。
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「なるほど……! バラバラに、託された……敵を、倒す、方法……!」
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「それを……全部、集めれば……!」
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誠は——確信を、深めた。
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「そうか……。だから、僕は……皆と、繋がる、必要が、あったんだ」
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「バラバラに、託された、"方法"、を……一つに、繋げるために……!」
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まだ——全貌は——見えない。
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だが——確かに——道筋が——見え始めていた。
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各種族の——伝承を、集め——一つに、繋げる。
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それが——反撃への——鍵に、なる。
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「みんな! 他の、種族にも……きっと、言い伝えが、ある! それを……全部、集めよう!」
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誠の、呼びかけに——仲間たちは——力強く、頷いた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「今日、忍者さんが……忍者の里の、言い伝えを、話してくれた。"天より、災い、来たらん。ガンを、以て、これに、抗え"、って。スライム族と、同じで、"天からの災い"、を、警告してる。そして……"ガン"、が、敵に抗う、鍵らしい。でも……その、正体は、誰も知らない。桜庭さんが、"大昔に、誰かが、世界中の種族に、同じ警告を、分けて伝えたみたい"、って。それで、僕は、閃いた。スライム族の"鏡"、も、忍者の"ガン"、も……"分けられた、敵を倒す方法"、の、一部なんじゃないか、って。だから……僕は、皆と、繋がる必要が、あったんだ。バラバラの、方法を、一つに、繋げるために。じいちゃん……道筋が、見えてきた。各種族の、伝承を、全部、集めるんだ」
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窓の外——裂けた、空。
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まだこの時の誠は知らない。"ガン"、という、その、言葉が——最後まで——皆を、悩ませ続けることを。
そして——その、正体が……あまりにも……身近で……拍子抜けする、ものであることも——今はまだ、知る由もなかった。




