第143話「届かない、弾」
レールガンが、効く。
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だが——数が——足りない。
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その、現実は——日を、追うごとに——重く——のしかかってきた。
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帝国は——連日——レールガンで——反撃を、続けた。
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——ドゴォォォン! ドゴォォォン!
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砲弾が——次々と——天へ——放たれる。
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そして——時折——上空で——閃光が、弾け——敵が——一つ、また一つと——撃ち落とされる。
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だが——
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「くそっ……! また、届かなかった!」
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砲兵たちの——悲鳴が——上がった。
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問題は——"数"、だけでは、なかった。
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「陛下……。敵が……"高度"、を……上げ始めました」
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側近の、報告に——一色は——顔を、こわばらせた。
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「高度を……?」
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「はい。レールガンで、狙われることを……学習した、かのように……少しずつ……上へ……手の、届かない、高さへ……」
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一色は——愕然と、した。
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「敵が……"学習"、している……?」
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確かに——最初のうちは——レールガンの、砲弾は——敵に、届いていた。
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だが——最近は——敵が——絶妙に——射程の、外へと——高度を、上げ始めていた。
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「まるで……こちらの、攻撃を……分析して……対応、している……」
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一色は——ぞくり、とした。
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やはり——あの、敵は——ただの、"仕掛け"、では、ない。
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明確な——"意志"、と——"知性"、を——持っている。
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「射程を……もっと、伸ばさないと……。でも……それには……」
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一色は——歯を、食いしばった。
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レールガンの——射程を、伸ばすには——大幅な——改良が、必要だった。
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だが——それには——膨大な——時間と、資源が——かかる。
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そんな、余裕は——今の——状況には——なかった。
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その、報せは——誠のもとにも——届いた。
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「敵が……学習して……高度を、上げてる……」
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誠は——絶望的な、気持ちに、なった。
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「せっかく……効く、武器が、あったのに……それすら……届かなく、なっていく……」
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「田中……」
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アルフレートが——静かに、言った。
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「敵は……賢い。こちらの、手を……次々と……封じてくる」
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「このままでは……いずれ……レールガンも……完全に、届かなくなる」
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誠は——考え込んだ。
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「レールガンの、射程を、伸ばす……のは、難しい。なら……」
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「別の……方法を、考えないと……」
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その時——誠の、脳裏に——皆瀬の、言葉が——蘇った。
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「"鏡"……」
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あの、時——皆瀬が——つい、口にした——謎の、言葉。
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「鏡……。何か……関係が、あるのかな」
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誠は——呟いた。
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だが——その、意味は——まだ——分からなかった。
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「田中。何か……思いついたのか」
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アルフレートが——尋ねた。
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「いえ……。ただ……皆瀬さんが、前に、"鏡"、っていう、言葉を……口にしてたのを……思い出して」
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「鏡……?」
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「はい。スライム族に、伝わる、言い伝えに……出てくる、言葉らしいんです。"鏡を、用意せよ"、って」
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誠は——静かに、続けた。
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「その、意味は……皆瀬さんにも、分からない、って。でも……なんだか……気に、なって」
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アルフレートは——考え込んだ。
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「鏡……。光を、跳ね返す……もの、か」
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「あの、敵は……"光"、で、攻撃してくる……。もし……その、光を……"跳ね返せる"、なら……」
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誠は——はっと、した。
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「まさか……敵の、攻撃を……"鏡"、で……跳ね返す……?」
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「分からん。だが……"鏡を、用意せよ"、という、言い伝えが……本当なら……何か……意味が、あるのかもしれん」
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誠は——決意した。
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「皆瀬さんに……もう一度……詳しく、話を、聞いてみます」
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「あの、"鏡"、の、言い伝えに……何か……反撃の、鍵が、あるかもしれない」
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レールガンが——届かなくなっていく——絶望の中。
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誠は——新たな——"手がかり"、を——求めて——動き始めた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「敵が……"学習"、してる。レールガンで、狙われるのを、避けるように……少しずつ、高度を、上げて……射程の、外へ。せっかく、効く武器が、あったのに……それすら、届かなくなっていく。あの敵は……やっぱり、賢い。知性が、ある。射程を、伸ばすのは、難しい。なら、別の方法を……。そこで、思い出した。皆瀬さんが、前に、口にした、"鏡"、っていう、言葉。スライム族の、言い伝えで、"鏡を、用意せよ"、って。敵は、"光"、で攻撃してくる。もし、その光を、"鏡"、で、跳ね返せたら……? アルフレート様も、"何か、意味があるのかも"、って。じいちゃん……明日、皆瀬さんに、もう一度、話を聞いてくる。あの、"鏡"、に……反撃の、鍵が、あるかもしれない」
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窓の外——裂けた、空と——手の、届かぬ、高みへと、昇りゆく、無数の、敵。
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まだこの時の誠は知らない。皆瀬の、口にした、"鏡"、という、言葉が——本当に——反撃の、糸口に、なることを。
そして——それが——スライム族の……ある、"特性"、と……深く、結びついていることも——今はまだ、知る由もなかった。




