第142話「レールガン、初陣」
天へと——駆け上る——一条の、光。
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一色の、放った——レールガンの、砲弾。
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それは——大気を、貫き——遥か、上空の——敵へと——迫っていった。
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「届いて……!」
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一色は——祈った。
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そして——
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——パアアアアン!!!
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上空で——閃光が——弾けた。
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「……!」
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一色は——目を、見開いた。
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砲弾が——敵の、一つに——命中した、のだ。
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「当たった……! 当たったわ!」
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砲兵たちが——歓声を、上げた。
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「陛下! やりました! 届きました!」
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一色は——固唾を、呑んで——その、結果を——見守った。
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砲弾が、命中した——敵の、金属の、物体。
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それは——閃光の中で——
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砕けて——落ちた。
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「やった……! 破壊、できた!」
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一色の、顔に——歓喜が——広がった。
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「レールガンが……効くのよ! あの、敵に……!」
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無敵に、思えた——上空の、敵。
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その、一つを——レールガンが——確かに——撃ち落としたのだ。
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「これで……反撃、できる! 皆に……知らせないと!」
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一色は——すぐさま——各地へ——伝令を、飛ばした。
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「レールガンが、敵に、効く! 帝国は、全力で……反撃を、開始する!」
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その、報せは——誠のもとにも——届いた。
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「本当ですか! レールガンが、効いた!」
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誠は——歓喜した。
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「アルフレート様! 一色さんの、レールガンが……あの、敵を、撃ち落としたそうです!」
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「なに……! 本当か!」
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初めて——反撃が——成功した。
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なす術もなく——焼かれるだけ、だった——絶望的な、状況に。
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一筋の——"希望"、が——差し込んだ。
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「これで……戦える! 皆、諦めなくて……良かった!」
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誠は——喜びに——沸いた。
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村人たちも——避難民たちも——その、報せに——歓声を、上げた。
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「反撃、できるんだ!」
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「あの、化け物を……倒せるんだ!」
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だが——
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その、歓喜は——長くは——続かなかった。
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前線から——次の、報せが——届いたのだ。
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その、報せは——喜びに、沸く、人々を——一気に——現実へと——引き戻した。
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「田中殿……前線からの……追加の、報告です……」
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伝令の、顔は——曇っていた。
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「どうしたんですか」
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「レールガンは……確かに……敵を……一つ、撃ち落としました。しかし……」
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伝令は——言いにくそうに、続けた。
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「たった、一つ……なのです」
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「え……?」
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「帝国の、全レールガンを……総動員して……一斉に、撃ちました。それでも……撃ち落とせたのは……ほんの、数十……」
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「対して……敵の、数は……数万……いや、それ以上……」
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誠は——愕然と、した。
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「数万に、対して……数十……」
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「はい……。しかも……撃ち落とした、そばから……敵は……後方から、"補充"、されて……」
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「数が……全く、減らないのです……」
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歓喜は——一瞬で——凍りついた。
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「そんな……」
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確かに——レールガンは——効いた。
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だが——敵の、"数"、が——あまりにも——多すぎた。
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一つ、撃ち落としても——焼け石に——水。
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「アルフレート様……これは……」
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アルフレートも——険しい、顔を、した。
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「効く、武器は……見つかった。だが……数が……絶望的に……足りない」
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反撃の、希望は——見えた。
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だが——その、希望は——あまりにも——小さく。
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敵の、"数"、という——巨大な、壁を、前に——虚しく——霞んでいた。
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「レールガンが、効く、だけじゃ……足りないのか……」
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誠は——拳を、握りしめた。
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「もっと……もっと、たくさんの……"何か"、が……必要なんだ」
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まだ——誠は——気づいていなかった。
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その、"何か"、の——答えの、一部が——すでに——目の前の——レールガンに、あることを。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「一色さんの、レールガンが……効いた! あの、無敵に、思えた敵を……一つ、撃ち落とした! 皆で、歓喜した。反撃できる、って。でも……喜びは、長く続かなかった。帝国の、全レールガンを、総動員しても……撃ち落とせたのは、数十だけ。敵は、数万以上。しかも、撃った、そばから、後ろから、補充されて……数が、全然、減らない。効く武器は、見つかった。でも……数が、絶望的に、足りない。レールガンが、効くだけじゃ……足りないんだ。もっと、たくさんの、"何か"、が……必要なんだ。じいちゃん……その、"何か"、が……一体、何なのか。僕は……それを、見つけないといけない」
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窓の外——裂けた、空。
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そこには——一つ、撃ち落とされても——変わらず、果てしなく——浮かび続ける、無数の、敵。
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まだこの時の誠は知らない。彼が、求める、"何か"、の……答えの、"半分"、が——すでに——レールガン、そのものに、あることを。
そして——足りないのは……"新たな、鍵"、ではなく……"数"、と……"繋がり"、で、あることも——今はまだ、知る由もなかった。




