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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
開戦

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第141話「一色の、決断」

——ここは、ガルディア帝国。前線に、築かれた——レールガンの、砲台。



皇帝・一色美奈子は——自ら——最前線に、立っていた。



「陛下! 危険です! 後方へ!」



「いいえ。私が……この、目で、見届ける」




一色は——きっぱりと、そう、言った。





彼女の、目の前には——空に、向けて、据えられた——巨大な、レールガンが——ずらりと、並んでいた。




長年——この、日のために——用意してきた——帝国の、切り札。





「田中くんには……手紙を、送った」




一色は——裂けた、空を——見上げた。




「あとは……私が……やるべきことを、やるだけ」





彼女の、胸には——不安が——渦巻いていた。




このレールガンが——本当に——あの、敵に——届くのか。




届いたとして——あの、金属の、物体を——破壊できるのか。





「射程は……理論上……届くはず。でも……実際に、撃ってみないと……分からない」




一色は——設計図を——何度も、見返してきた。




それでも——確信は——持てなかった。





「陛下……本当に……よろしいのですか」




側近が——不安げに、尋ねた。




「もし……失敗すれば……敵に……こちらの、位置を……知らせることに……」





「分かっている」




一色は——静かに、答えた。




「でも……ただ、焼かれるのを、待つ、わけには……いかない」




「誰かが……最初の、一撃を……放たなければ……何も、始まらない」





一色は——ぐっと——拳を、握った。




「私が……やる。この、レールガンは……私が、生み出した、もの」




「なら……その、責任も……私が、取る」






その時——一色の、脳裏に——ある、光景が——蘇った。




かつて——孤独に——帝国の、頂点に、立っていた、日々。




誰にも——頼れず。誰にも——心を、開けず。




ただ——レールガン、一つを、拠り所に——生きてきた。





だが——今は——違う。




「田中くん……皆……」




一色は——静かに、呟いた。




「私は……もう……一人じゃ、ない」





神が——言った、言葉が——蘇る。




「あんたは……もう、一人やない。田中はんと……皆と……繋がっとる」





「そうね……。私は……皆と、繋がってる」




一色の、瞳に——決意が——宿った。




「なら……この、一撃は……私一人の、ものじゃ、ない。皆のための……"希望"、の、一撃だ」






「全砲……装填、完了しました!」




砲兵たちが——報告する。




一色は——遥か、上空の——敵を——見据えた。




無数の——金属の、物体。




その、一つに——狙いを——定める。





「聞きなさい、皆」




一色は——砲兵たちに——静かに、告げた。




「この、一撃が……届くかどうか……私にも、分からない」




「でも……これは……ただ、焼かれるのを、待つだけの、日々を……終わらせる……最初の、一歩よ」





砲兵たちが——息を、呑んだ。




「私たちは……もう……なす術もなく……脅えるだけの……存在じゃない」




一色は——声を、張り上げた。




「反撃を、始める! 撃てぇぇぇ!」





——ドゴォォォォォォォン!!!





凄まじい——轟音と、共に。




レールガンの——砲弾が——超高速で——天へと——放たれた。





その、砲弾は——大気を、切り裂き——遥か、上空へと——駆け上っていく。




一色は——祈るような、思いで——その、行方を——見つめた。




「届いて……! お願い……!」





砲弾は——ぐんぐんと——上昇し——そして——






その、結末を——一色は——固唾を、呑んで——見守った。





その夜——遠い、村で——誠もまた。




裂けた、空を——見上げながら——一色の、無事と——反撃の、成功を——祈っていた。




「一色さん……頼む……」





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「一色さんが……ついに、反撃を、始める。前線で、自ら、レールガンの、指揮を、執ってるらしい。伝令が、教えてくれた。一色さんは、ずっと、孤独に、生きてきた。レールガン、一つを、拠り所に。でも……今は、"一人じゃない"、って、思えてるんだ。神様の、言葉が、届いたのかもしれない。一色さんの、放つ、一撃は……皆のための、"希望"、の、一撃だ。届くかどうか……分からない。でも……ただ、焼かれるのを、待つだけの、日々を……終わらせる、最初の、一歩。じいちゃん……どうか……あの、一撃が……届きますように」



窓の外——裂けた、空へと——駆け上っていく——一条の、光。



まだこの時の誠は知らない。この、一色の、放った、一撃の、結果が——反撃の、希望に、なるのか……それとも……新たな、絶望に、なるのかを。


そして——その、答えが——もう、間もなく——明らかになることも——今はまだ、知る由もなかった。

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