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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
開戦

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第138話「各地からの、報せ」

避難民の、救護に——奔走する、日々。



その間も——各地から——次々と——報せが、届いた。



そして——その、報せは——事態の、深刻さを——浮き彫りに、していった。





まず——桜庭から——手紙が、届いた。




「田中くん、無事? 私の方は、なんとか、南に、逃げたわ」




「各地の、被害を、まとめてるんだけど……ひどい、状況なの」





桜庭の、几帳面な、筆致で——被害の、状況が——記されていた。




「北の、地方は……ほぼ、全滅。それだけじゃ、ないの。あの、"光"、は……今、少しずつ……南下してきてる」




「南下……」




誠は——ぞくり、とした。





「まるで……北から、順番に……焼き尽くしていくみたいに。このままだと……いずれ、この村も……」




誠は——手紙を、握りしめた。




「順番に……焼いていく……」






黒崎からも——報せが、来た。




塔から——闇の、鳥を、使いに、寄越したのだ。




「田中よ……。俺の、"夢"、が……現実に、なった」




黒崎の、声が——闇の、鳥を、通じて——響いた。




「あの、夢の、続きを……見た」





「続き……?」




「ああ。空が、割れ……光が、降り……大地が、焼ける。そして……その、後に……」




黒崎は——重い、声で、続けた。




「世界が……全て……焼き尽くされる」





誠は——息を、呑んだ。




「それは……ただの、夢……ですよね?」



「分からん。だが……これまでの、夢は……全て……的中している」




黒崎の、声が——遠ざかっていく。




「田中よ……。もし……あの、夢を……"避ける"、術が、あるとすれば……」



「あるとすれば?」




「それは……お前が……鍵に、なる。俺の……闇の、勘が……そう、告げている」






森川からも——虫人族の、使いが——来た。




「田中。虫人族の、群れが……偵察して、分かったことが、ある」




森川の、伝言。




「あの、空の、"光"……数え切れないほど、あるんだ。僕らが、数えようとしても……とても、数えきれない」




「数千……いや、数万は……あるかもしれない」





「数万……!」




誠は——愕然と、した。




北の、山を、村を、町を——焼いた、あの、破壊の、光。




それが——数万も——空に、浮かんでいる。






報せは——どれも——絶望的だった。




敵は——数万。




北から——順番に——世界を、焼いていく。




このままでは——いずれ——全てが——灰に、なる。





「田中……」




アルフレートが——静かに、言った。




「状況は……絶望的だ」




「はい……」





誠も——正直に——その、絶望を——感じていた。




数万の、敵。世界最強の、勇者ですら、勝ち目が、ないと言う。




一体——どうすれば——いいのか。





だが——それでも。




誠は——顔を、上げた。




「アルフレート様。絶望的でも……諦めるわけには、いきません」




「田中……」




「黒崎も、言ってました。"夢を、避ける術が、あるとすれば、お前が鍵になる"、って」




誠は——静かに、続けた。




「僕には……まだ、それが、何なのか、分かりません。でも……皆と、繋がって……諦めずに、探し続ければ……きっと、道は、見つかる」




「そう、信じたいんです」





アルフレートは——誠の、言葉に——静かに、微笑んだ。




「……そうだな。お前の、言う通りだ」




「絶望している、暇があるなら……できることを、探そう」






その時——誠は——ふと——思い出した。




忍者の里の——言い伝え。




「"ガン、を、以て、抗え"……」




「あの、"ガン"、というのが……もしかしたら……あの、敵に、抗う、鍵……なのかもしれない」





「ガン……?」




アルフレートが——首を、傾げた。




「それは、なんだ」



「分かりません。でも……各地の、言い伝えに……災いに、抗う、鍵として……出てくるらしいんです」




誠は——静かに、続けた。




「その、正体を……突き止められれば……もしかしたら……」





まだ——何も——分からない。




だが——一筋の——"手がかり"、が——見え始めていた。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「各地から、報せが、届いた。どれも、絶望的だ。桜庭さんが、"あの光は、北から、順番に、南下して、焼き尽くしていく"、って。黒崎は、夢の続きを、見て……"世界が、全て、焼き尽くされる"、って。森川は……敵の数が、"数万"、あるかもしれない、って。数万の、敵。アルフレート様ですら、勝ち目がない、って言う。正直、絶望的だ。でも……諦めない。黒崎が、"夢を避ける鍵は、お前だ"、って。それに……忍者の里の、言い伝え。"ガンを以て、抗え"。あの"ガン"、が、敵に抗う、鍵なのかもしれない。じいちゃん……絶望してる暇は、ない。皆と繋がって……"ガン"、の正体を、突き止める。そこに、希望がある気がするんだ」



窓の外——裂けた、空と——南下してくる、無数の、脅威。



まだこの時の誠は知らない。敵の、数が——数万、あることの、本当の、意味を。


そして——彼が、手がかりに、しようとしている、"ガン"、の、正体が——いつか——彼を——盛大に、拍子抜けさせることも——今はまだ、知る由もなかった。

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