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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
予兆

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第127話「星が、多い夜」

一色への、返事を、待ちながら——誠は——毎晩——北の空を、観察するように、なっていた。



宮田から、預かった、地図に——気づいたことを——書き込みながら。




「今夜は……どうかな」




その夜も——誠は——外に、出て——北の空を、見上げた。




そして——ぞっと、した。





「……増えてる」




北の空の——星ならぬ、光の点が。




明らかに——数を——増していた。





以前は——ぽつぽつと——数えられるほど、だった。




だが——今夜は——空の、低いところ、一帯に——無数の、光が——散らばっていた。




「こんなに……」





誠は——地図を——確認した。




数日前に、書き込んだ、光の点の、数と——比べると。




明らかに——倍以上に——増えていた。





「毎晩……少しずつ……増え続けてる」




誠は——夜空を——見つめた。




「まるで……何かが……集まってきてる、みたいだ」





その、光景には——どこか——不気味な——"規則性"、が、あった。




ただ、闇雲に、増えているのでは、ない。




まるで——何かの——"意志"、を、持って——北の空の、一帯に——整然と——並び始めているような。





「意志……?」




誠は——ぶるり、と——身震いした。




そんな、はずは——ない。




あれは——ただの——光の点だ。




なのに——なぜか——誠は——そこに——冷たい、"何か"、の——気配を、感じた。






「田中さん……?」




エリナが——外に、出てきた。




「また、北の空を、見てるんですか」



「うん……。エリナさん、見て。あの、光の点……」




エリナも——空を、見上げ——息を、呑んだ。




「増えて……ますね。前より、ずっと」



「うん。毎晩……増え続けてるんだ」





エリナは——不安げに——身を、寄せた。




「あれが……全部……"何か"、だとしたら……」



「うん。とんでもない、数だ」




誠は——静かに——そう、答えた。





「藤原さんが……言ってたんだ。長老たちが、"あれが、満ちた時……災いが、始まる"、って」




「満ちた、時……」




「この、増え方だと……そう、遠くない、気がする」





二人は——しばらく——増えゆく、光を——見つめていた。





「田中さん」




エリナが——静かに、言った。




「怖いです」




その、正直な、言葉に——誠は——エリナの、手を、握った。




「うん。僕も、怖い」





誠は——正直に、そう、答えた。




「でも……怖いのは、僕たちだけじゃない。皆、怖いんだ。藤原さんも、皆瀬さんも……一色さんも、きっと」




「だからこそ……皆で、繋がるんだ。一人で、怖がってるより……皆で、支え合った方が……ずっと、心強い」





エリナは——誠の、言葉に——少し——落ち着いたようだった。




「……そうですね」




「大丈夫。何が、来ても……僕たちは、一緒だ」






その、夜。




誠は——増えゆく、光を、見ながら——決意を——新たにした。




(急がないと)




(あの、光が……"満ちる"、前に……皆との、"繋がり"、を……もっと、強くしておかないと)





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「今夜、北の空の、光の点が、はっきり、増えているのが、分かった。地図に、書き込んで、比べたら……数日で、倍以上。毎晩、少しずつ、増え続けてる。しかも……ただ、増えてるんじゃない。なんだか……整然と、並び始めてるみたいで……"意志"、みたいなものを、感じて……ぞっとした。エリナさんが、"怖い"、って言った。僕も、怖い。でも……皆、怖いんだ。だからこそ、繋がる。藤原さんの、長老が、"満ちた時、災いが始まる"、って。この増え方だと、そう遠くない。急がないと。あの光が、満ちる前に……皆との、繋がりを、もっと、強くしないと。じいちゃん……時間が、ない気がするんだ」



窓の外——二つの月と——北の空一帯に、整然と、増えゆく——無数の、光の点。



まだこの時の誠は知らない。あの、光が——一体、"何"、の、集まりで、あるのかを。


そして——それが——"満ちる"、瞬間が——刻一刻と——近づいていることも——今はまだ、知る由もなかった。

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