表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
予兆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
128/448

第126話「誰も、教えてくれない」

一色への、返事を——待つ、日々。



その間も——誠は——皆と、繋がろうと——動き続けていた。



だが——一つ——もどかしいことが、あった。




誰も——"核心"、を——教えてくれないのだ。





「藤原さん、龍族の、長老たちは……あの光が、何なのか……本当に、教えてくれないの?」




手紙で、尋ねても——藤原の、返事は——同じだった。




「うちも、何度も、聞いたんや。でも……"お前は、まだ、知らんでええ"、の、一点張りでな。ほんまに、教えてくれへん」





皆瀬に、聞いても——同じ。




「田中くん……ごめんね。私たちも……"鏡"、が、何なのか……本当に、分からないの」





末広は——まだ——忍者の里から、戻らない。




グランデルも——"予感"、で、鍛えているだけで——核心は、知らない。





「みんな……何かを、感じてる。備えてる。でも……"それが、何なのか"、は……誰も、はっきりとは、知らない」




誠は——考え込んだ。




「知ってそうなのは……神様と……一色さんだけ」




「でも……神様は、"立場"、があって、教えられない。一色さんは……返事を、くれない」





もどかしさが——募った。




何かが——来る。それは——確かだ。




だが——それが——"何"、なのか。どう、"備えれば"、いいのか。




肝心なことが——何一つ——分からない。






「田中さん、また、難しい顔してますよ」




エリナが——心配そうに、声を、かけた。




「うん……。皆、何かを、感じてるのに……誰も、"正体"、を、知らないんだ。それが……もどかしくて」





「でも……田中さん」




エリナは——静かに、言った。




「"正体"、が、分からなくても……田中さんは、もう……たくさんのことを、してるじゃないですか」




「え?」




「皆と、繋がって……一人一人の、力を、知って……いざという時に、備えて」




エリナは——優しく、微笑んだ。




「"何が来るか"、分からなくても……"皆で、立ち向かう"、準備は……ちゃんと、できてます」





誠は——はっと、した。




「そう……だね」




考えてみれば——確かに——そうだった。




敵の、正体は——分からない。




だが——誠は——龍族と、鬼族と、スライム族と、虫人族と、傭兵団と……多くの、仲間たちと——繋がっていた。




そして——皆——「何か、来たら、力を、貸す」、と——約束してくれていた。





「正体が、分からなくても……できることは、ある、か」




誠は——少し——気持ちが、軽くなった。




「ありがとう、エリナさん。なんだか……焦って、ばかりだったな」






その日の、夕方。




アルフレートが——店に、やってきた。




「アルフレート様。ちょうど、良かった。少し、相談が」




誠は——アルフレートに——今の、もどかしさを、話した。





アルフレートは——静かに、聞いていた。




「田中。俺も……"あの光"、が、何なのかは……知らん」



「アルフレート様も、ですか」




「ああ。俺の、ステータスの、警告も……相変わらず、"上空"、"接近"、としか、読めん」




アルフレートは——続けた。




「だが……田中。一つ、確かなことが、ある」



「なんですか」




「敵の、正体を、知らずとも……戦える、備えは……できる」





「備え……」




「そうだ。お前が、繋いだ、仲間たち。それぞれの、力。それを……いつでも、"一つに、できる"、ようにしておく」




アルフレートは——静かに、続けた。




「敵が、何であろうと……皆が、一丸となれる、体制が、あれば……対応できる」





誠は——深く、頷いた。




「そう、ですね。敵の、正体を、待つより……こっちの、"繋がり"、を……強くしておこう」




「それでいい」




アルフレートは——静かに、微笑んだ。






その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「もどかしい。皆、何かを、感じてるのに……誰も、その"正体"を、知らない。知ってそうなのは、神様と、一色さんだけ。でも、神様は、立場があって、教えられない。一色さんは、返事をくれない。焦ってた僕に、エリナさんが、言ってくれた。"正体が分からなくても、皆で立ち向かう準備は、できてる"、って。アルフレート様も、"敵の正体を待つより、こっちの繋がりを、強くしておけ"、って。そうだ。僕にできるのは……皆を、繋いで、いつでも一つになれるように、しておくこと。じいちゃん……敵が、何であっても……皆で、一緒なら……きっと、大丈夫だ」



窓の外——二つの月と——北の空の、増えゆく、光。



まだこの時の誠は知らない。彼が、"敵の正体を、待たずに、繋がりを強くする"、と、決めた、その、選択こそが——後に——この、世界を、救う、決定的な、差に、なることを。


そして——彼が、待ち望む、一色からの、返事が——もう、間もなく——届くことも——今はまだ、知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ