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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
予兆

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第118話「桜庭の、手紙」

黒崎を、訪ねてから——数日後。



一通の、手紙が——誠のもとに、届いた。



「田中さん、今度は……桜庭さん、という方から、ですよ」



「桜庭さんから? 珍しいな」




桜庭美咲。帰国子女の、優等生だった、同級生。




異世界でも——その、聡明さを、活かし——各地を、巡りながら——様々な、知識を、集め、記録している、"学者"、のような、暮らしを、していた。





誠は——手紙を、開いた。





「田中くん、久しぶり。突然、手紙を、送って、ごめんなさい。実は……あなたに、知らせておきたいことが、あって」




桜庭らしい——几帳面な、筆致。




だが——その、内容は——穏やかでは、なかった。





「私、今、各地の、古い、文献や、言い伝えを、調べているのだけど……最近、妙なことに、気づいたの」




「離れた、地域の……全く、交流の、ない、種族や、民族の、間で……よく似た、"言い伝え"、が、いくつも、見つかったのよ」





「よく似た、言い伝え……」




誠は——読み進めた。





「内容は、どれも……"いつか、天から、災いが、降る"、という、もの」




「忍者の里、龍族、鬼族、スライム族……本来、繋がりの、ない、はずの、彼らが……なぜか、同じような、警告を……代々、language 伝えているの」





誠は——はっと、した。




皆瀬が、口ごもった、"鏡"。龍族の、"備えろ"。




やはり——各種族に——似たような、言い伝えが——あったのだ。





手紙は——こう、続いていた。




「ばらばらの、種族が……同じ、"災い"、を、警告している。これは……偶然とは、思えないの」




「まるで……大昔に……誰かが……この、世界中の、種族に……同じ、"警告"、を……分けて、伝えた……みたいに」





「誰かが……分けて、伝えた……?」




誠は——その、一節を——じっと、見つめた。




「一体……誰が……なんのために……」





手紙の、最後は——こう、締めくくられていた。




「まだ、何も、分からない。ただの、私の、思い過ごし、かもしれない」




「でも……なんだか、胸騒ぎが、して……あなたにだけは、知らせておこうと、思ったの」




「田中くん……あなたの、周りには……色んな、種族の、人が、いるでしょう? もし、何か、気づいたことが、あったら……教えてほしいの」





誠は——手紙を——静かに、置いた。




「桜庭さんも……胸騒ぎを……」





桜庭の、聡明さが——バラバラの、予兆を——一つの、"仮説"、に、まとめ上げていた。




大昔に、誰かが、世界中の、種族に、同じ警告を、分けて伝えた。




その、意味は——まだ、分からない。




だが——誠は——桜庭の、直感が——核心に、近いことを——なんとなく、感じた。





「僕の、周りには……確かに……色んな、種族の、人がいる」




誠は——ふと——思った。




龍族の、藤原。鬼族の、グランデル。スライム族の、皆瀬。忍者だった、末広。




「もしかしたら……僕は……皆から、集まってくる、"言い伝え"、を……一つに、繋げられる……立場に、いるのかもしれない」





その、考えは——誠自身にも——まだ——漠然と、していた。




だが——なぜか——その、思いつきが——胸に、残った。





誠は——桜庭に——返事を、書いた。




「桜庭さん、知らせてくれて、ありがとう。実は、僕の、周りでも……色んな、種族が、同じように、ざわついているんだ。皆瀬さんは、"鏡"、っていう、言葉を……龍族は、"備えろ"、って。桜庭さんの、言う通り……何か、繋がってるのかもしれない。何か、分かったら……また、知らせるよ。一人で、抱え込まずに……皆で、少しずつ……調べていこう」





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「桜庭さんから、手紙が、来た。桜庭さんは、各地の、言い伝えを、調べていて……離れた、種族の間で、よく似た、"天から、災いが、降る"、という、警告が、見つかった、って。まるで、大昔に、誰かが、世界中の、種族に、同じ警告を、分けて伝えたみたいに、って。誰が、なんのために……は、分からない。でも……僕は、ふと、思った。僕の、周りには、色んな、種族がいる。もしかしたら、僕は……バラバラの、言い伝えを、繋げられる、立場に、いるのかもしれない。じいちゃん……まだ、漠然とした、思いつきだけど……なんだか、この考えが、胸に、残るんだ」



窓の外、二つの月が——静かに、輝いていた。



まだこの時の誠は知らない。桜庭が、たどり着いた、"仮説"、が——真実の、核心に——驚くほど、近いことを。


そして——バラバラの、言い伝えを、繋ぐ、という、誠の、漠然とした、思いつきこそが——やがて——この、世界の、運命を、決める、大きな、意味を、持つことも——今はまだ、知る由もなかった。

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