表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
予兆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
118/448

第116話「竜崎の、古傷」

祖父の、言葉に——励まされた——数日後。



「一人で、抱え込まない」、と、決めた、誠は——今度は——自分から——仲間たちを、訪ねて、回ることにした。



まず、向かったのは——傭兵団「守り竜団」の、拠点だった。





「よう、田中! 久しぶりじゃないか!」




団長の、竜崎が——豪快に、出迎えた。




「竜崎、久しぶり。急に、ごめんね」



「何、言ってるんだ。お前なら、いつでも、大歓迎さ」





誠は——竜崎に——最近の、出来事を、話した。




胸騒ぎ。北の、光。帝国の、動き。そして——皆が、何かに、備えているらしいこと。




「一人で、抱え込むのは、やめようと、思って。だから……竜崎にも、聞いてもらいたくて」





竜崎は——真剣な、顔で——話を、聞いていた。




「……なるほどな」




「守り竜団は……各地を、回ってるだろう? 何か、変わったこと、なかった?」





竜崎は——腕を、組んだ。




「そうだな……。実は、俺たちも……北の方の、依頼が……最近、めっきり、減ってな」



「減った?」




「ああ。北の、村や、町から……人が、南へ、移り始めてる。魔物退治の、依頼どころじゃ、ない、って、雰囲気だ」





誠は——眉を、寄せた。




「北の、人たちが……逃げてる……」



「はっきりとは、分からんがな。だが……何かを、感じ取って、避難してる、ようにも、見える」





竜崎は——少し——遠い目を、した。




「なあ、田中」



「うん?」




「お前……不安、なんだよな」



「……うん」




「その、気持ち……俺には、よく、分かる」




竜崎は——静かに、そう、言った。





「昔……俺が、部下たちを……疫病で、失った、時のこと……覚えてるか」




誠は——静かに、頷いた。




かつて——竜崎の、傭兵団は——疫病に、襲われ——多くの、仲間を、失った。




その時——誠が、薬草の、知識で——残された、者たちを、救ったのだ。





「あの時の、俺は……本当に、無力だった」




竜崎は——拳を、握った。




「剣なら……どんな、魔物でも、斬れる。強さには……自信が、あった」




「でも……疫病には……剣なんて……何の、役にも、立たなかった」





竜崎の、声が——少し——震えた。




「仲間が……一人、また一人と……倒れていくのを……ただ、見てることしか……できなかった」




「あの、無力感は……今でも……忘れられない」





「竜崎……」




「でもな、田中」




竜崎は——顔を、上げ——誠を、見た。




「あの時……俺を、救ってくれたのは……お前の……"地味な、薬草の、知識"、だった」




「剣でも、力でも、なかった。お前の、その……人を、支える、力が……俺たちを、救ったんだ」





誠は——静かに——竜崎の、言葉を、聞いていた。




「だから、田中。お前は……不安がる、必要、ないんだ」




竜崎は——力強く、そう、言った。




「もし……本当に、何か、来たとしても……お前には、お前にしか、できないことが、ある」




「人を、支え……人を、繋ぐ……その、力が、な」





誠は——胸が——温かくなった。




「ありがとう、竜崎」




「それに……何が、来ようと……守り竜団が、いる。俺たちは……人々を、守るのが、仕事だからな」




竜崎は——にっと、笑った。




「その時は……お前と……また、一緒に、戦わせてくれ」




「うん。頼りにしてるよ」






守り竜団の、拠点を、後にする、誠は——少し——足取りが、軽くなっていた。




竜崎に、話を、聞いてもらい——そして——励まされた。




「一人で、抱え込まないって……こういうことなんだな」




誠は——そう、実感した。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「今日、竜崎に、会いに行った。守り竜団も、北の方の、様子が、おかしいって、感じてた。北の人たちが、南へ、逃げ始めてるらしい。竜崎は……昔、疫病で、部下を、失った時の、無力感を、話してくれた。そして……"あの時、お前の、薬草の知識が、救ってくれた。お前には、お前にしか、できないことがある"、って。一人で、抱え込むのを、やめて……皆に、話を、聞いてもらうようにしたら……なんだか、心が、軽くなった。じいちゃん……"繋がって、生きろ"、って、こういうことなんだね」



窓の外、二つの月が——静かに、輝いていた。



まだこの時の誠は知らない。北から、南へ、逃げ始めた、人々の、流れが——やがて——大きな、"避難の、波"、へと、変わっていくことを。


そして——その、時——守り竜団が——人々を、守る、大切な、役割を、担うことになることも——今はまだ、知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ