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読者の離脱を防ぐ「成功報酬」の法則:1話で脳汁を出させる構成術  作者: 塩野さち


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第5話 『宝くじ理論』:ストレスをスキップする魔法

 ここまで、読者の脳から気持ちいい成分を出してもらうための構成や、ヒキの作り方、そして作者自身の健康管理についてお話ししてきました。

 今回は、さらに読者を気持ちよくさせるための、とっておきのテクニックを紹介します。


 それが『宝くじ理論』です。


◇◆◇


 みなさんは、宝くじに当たりたいですか?

 きっと、大半の人が心の中でこう答えるでしょう。


「もちろん、当たりたい!」


 では、宝くじを『買いたい』ですか?

 ……そう聞かれると、少し悩んでしまうのではないでしょうか。


 宝くじを買うには、お金がかかります。

 売り場まで行く手間もかかります。

 外れたらお金がもったいないというリスクもありますよね。

 つまり、宝くじに『当たりたい』という願望はあっても、『買う』という行為そのものには少なからずストレスが伴うのです。


 では、このストレスを完全にゼロにして、純粋な快感だけを得るにはどうすればいいのでしょうか。

 答えはとてもシンプルです。


「落ちている宝くじを拾って、それが大当たりする」


 これです。

『買う』というストレスをスキップして、いきなり『当たる』という最高の結果だけを手に入れるわけです。


◇◆◇


 これを実際の小説の第一話に当てはめてみましょう。

 例として、『投げたら刺さった~ラッキーヒットで領主になった僕の成り上がり英雄譚~』の第一話を振り返ってみます。


 このお話は、まさに『宝くじ理論』の三本柱を忠実に実践しています。


一、槍を拾う(宝くじを拾う)

 主人公のライルは、絶体絶命の戦場で、たまたま足元に転がっていた投槍を拾い上げました。

 厳しい修行をして伝説の武器を手に入れたわけではなく、ただ拾っただけです。

 ここにストレスは一切ありません。


二、投げたら敵将に当たる(宝くじが当たる)

 ライルがヤケクソで投げた槍は、偶然にも敵将である『鉄猪(てっちょ)』グルンワルドの首筋に突き刺さりました。

 まさに、拾った宝くじが大当たりした瞬間です。


三、皇帝から領主に任命される(報酬の支払い)

 その結果、ライルはユリアン皇帝陛下から直接『領主』に任命されます。

 これが、宝くじの当選金を受け取る場面です。


 第一話の中で、何か問題が起きる。

 それを解決する。

 そして脳汁がドパドパ出て、気持ちよくなる。

 この一から三の短いサイクルを回すことが、読者の離脱を防ぐコツだと以前お話ししました。

 この『宝くじ理論』は、そのサイクルから努力や代償といったストレス要因を極限まで削ぎ落とし、最短距離で読者に快感を与える強力な武器になるのです。


 現代の読者はタイムパフォーマンスを重視しています。

 だからこそ、ストレスをいかにスキップし、素早く報酬を与えられるかが勝負の分かれ目になります。


注意点:

 ぜひ、みなさんの作品にもこの『宝くじ理論』を取り入れて、読者を気持ちよくさせてあげてくださいね!


 しかし、やりすぎるとご都合主義と言われる危険性があります。


 ご注意を!


「とても面白い」★四つか五つを押してね!

「普通かなぁ?」★三つを押してね!

「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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