↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/76

第三十五話 旅路


 旅路って曲、大好きだった。


 牧場が借金とかいうものであんなになっちまって両親が死に、中学を卒業する前に千葉の叔父さんのとこに居候することになった。あっちの姉とはそのときに別れた。

 まさかそれが最後になるとは思わなかった。

 とにかくおれはあの頃、なんとか自立することだけを考えていて、帯広だったら自衛隊もありだったけど、千葉の叔父さんと叔母さんは、これからは年寄りがどんどん多くなるから、介護か看護だとおれに勧《すす》めた。

 年寄りの世話なんて嫌《いや》だったから、看護を選んだ。


 それだけのことだった。


 高校に通う代わりの三年制看護学校。

 そこを卒業してから指定の病院で準看護師として働くと、正式に看護資格をもらえる。

 だから通学しながらひそかにバイトもした。

 ブラックバイトもあった。


 毎日が苦しかったけど、なんとかそういうバイトをしつづけながら、ようやく買ったアンドロイドの安いやつで無料の曲聴いてて、、。


(偶然な、耳にしちまったわけ)


 そしたらなんか泣けて泣けて、

 もうぼろぼろになっちまって……、

 それが旅路だった。


『お元気ですかぁ? この町は相変わらず青春です♪』


 向こうの姉がバイト先のスキー場でコロナに罹って死んじまったのもその頃だった。

 別れ別れになる直前に、帯広のマックで二人して冷めたコーヒー飲んだのが最後だった。

「じゃあね、ズシくん」

 さよならもせず、振り返りもせず、でも背筋を固くして、姉は去って行った。


「じゃあね」


 おれは向こうの姉の安寿に、ほんとの別れを告げた。


(これから、こっちでやってくことにしたよ、姉さん)


 さよなら


 旅路って曲、大好きだったよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。