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第三十四話 生きるべきか死ぬべきか その2


 ———そうしておれは、

 士族棟の一室の、すでに閉集合になってしまった国防次官補の亡骸のそばで、図《はか》らずも、究極の二択を迫られることになってしまったのだった。



 向こうの世界では開集合だったおれが事故ってしまって閉集合になった。

 死んじまった。

 そこで召喚。

 お陀仏《だぶつ》したおれの抜け殻を残して、意識だけこちらの世界に来た。

 後に残された肉体情報は最小のデータ単位であるビット粒子化されて転送。

 

 実体情報を転送されてる真っ最中。


 どうやらそういうことらしいのだ。


 そして、天国か地獄かわかんねえけど、

(きっと地獄に違いないが)

 もう一度ここで開かれる可能性があるという。

 リボーンだ。

 向こうでは死んだけど、もう一度やり直すことができるかも。


 そう言われてる。

「どうする?」と訊かれている。


 このまま元の世界に戻って自分の抜け殻におさまり、おとなしく葬式されて成仏するか。

(線香の匂いとか苦手だしなあ)

(誰も拝《おが》んでくれやしないだろうし)


 でもこちらを受け入れれば、もう一度生きる可能性が開かれるかもってわけ。



 ……そういうことか。



「どうする?」

 アンジュは訊いてくる。

「無理なことはわかってる。けど」

(けど、なんだよ)

「選んでもらうしかないの」


 このまま死ぬか。

 それとも、わけのわからないこの奇妙な世界にとどまって姉のアンジュともつれ合いながら、三日目のそのときを迎えるか。


 おれはこちらで生きるのか?

 今度こそ、きちんと。

 魔法師とかいうものを目指《めざ》して。


「いまだったら、まだ選べる。……選んで」


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