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第十六話 ヨーラシア魔国 

 しかし姉上はそれでは終わらせなかった。


「技術系統を照合して」とAIに問い合わせている。

「国家、組織別にですか?」とソフトな女性の声。

「両方お願い」


 秒を経ずして回答が戻ってくる。

 これだって、おれらの世界でも少し前までは魔術の域だった。それがいまでは普通になっている。


『候補と一致度』

 アンサーだった。


 環太平洋王国:つまり我々内部ですが、一致度は十二%です。

 オルマン帝国:十九%。

 民間ゲリラなどのブラック技術:二十三%。

 ヨーラシア魔国:八十七%。


 最終推測ログ。

 群体同調アルゴリズムが非公開理論域です。


「つまり?」

「どこの国でも可能な技術ではないということです」


「魔術理論と量子同期モデルの痕跡《こんせき》があります」


 これは、高度な魔術と科学が融合発達していなければ不可能なことだとAIは言う。


「生体模倣のように見えますが生命を直接模倣していません。むしろ軍隊理論に基づいています」

「そこから窺《うかが》えることは?」

「背景に、生物工学と合体した強力な軍事力があるということ」


(なんか、すごくね?)


「あくまでも推測ですが、結論を申し上げます」

 クォンタムとか呼ばれているAIが女性の声で答えた。

「このレベルの即時再構成型の群体技術は、ヨーラシア魔国以外では、再現不可です」


(ヨーラシア?)

 おれは初めて聞いたが、安寿はそうではなかった。

 やはりそうかというように、うなずいて見せたのだ。

 そして、おれにとってもっと驚くべきことが、そのとき判明した。 


 蟻だった。


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