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陣痛はいきなりだった。
旦那様は仕事に向かった直後で、騎士たちが慌てて医者や旦那様のもとへ向かった。
旦那様が来るまではほんの一瞬だった。医者よりもよっぽどスピーディーだ貴族街の中心部近くには医者待機している場所があり、我が家に来るまでにほとんど時間がかからないのにもかかわらず、だ。
まあそれは旦那様だからということにしておこう。
そうしておかないと心臓に悪い。
まともに考察をし始めたら脳までおかしくなりそうだ。
旦那様のあまりの早さに私は驚いて痛みを忘れた。
すぐにまた痛みは再開したが。
それから二刻後、私は赤ちゃんを抱いていた。
お医者様もびっくりなレベルで安産だった。
よかったと喜ぶべきなのか、私と赤ちゃんの生命力に驚くべきなのか。
いや、もちろん喜ぶべきなのだが、驚きが強すぎて喜びが遅れた。
私が生まれる時はひどい難産でまる3日もかかったとお母様に聞いていたから。
ちなみに旦那様が生まれてくるまでも1日はかかったそうだ。
でもそんなことはどうでもいい。
当たり前だけれど、何事もないのが一番である。
赤ちゃんを抱きしめた私、赤ちゃんごと私を包み込むように抱きしめた旦那様。
そこには素晴らしい家族団欒の風景が広がっているの、だ、が、
問題があるのだ。
この子の名前をどうするかという問題。
旦那様が考えた名前の候補気づいたら400になっていた。
男性の名前だけでである。
ああ、言い忘れていた。
生まれた子は男の子だった。
生まれた瞬間から大きな産声をあげていて、きっと私以上に元気で旦那様以上にかはわからないけれど将来強くなりそうな男の子だ。
この400にものぼる名前の中からたった一つを選ばなければならないのか。
もしも半分まで減らすだけだったとしてもなかなか大変だ。
だって切り捨てようにも、どの名前にも素敵な意味が込められているから却下なんて言うことができない。
だが、届け出をするひと月後以内にはこの中からたった一つを選ばなければならない。
もしも旦那様にセンスがなかったのなら簡単に決められたかもしれないけれど、どの名前も素敵すぎた。
たった1つだなんて私には選べない。
とりあえず地道に1つずつ候補を絞っていく。
名前が決まる頃には、出産による疲労ととこの候補の中からたった一つを選ばなければいけないというストレスで私が倒れないかがとても心配だ。




