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ラナとの結婚生活は控えめに言っても最高だった。
いつも大量の仕事を押し付けてくる王も今回ばかりは自重して長めの休暇を取らせてくれた。
仕事のことを考えずに毎日ラナのやりたいことを一緒にやった。
基本的にアウトドア派のラナとは趣味が合う部分も多い。
ちょっと出かけるだけで自領があるので馬に乗っては遠出して2人でピクニックをしていた。
たくさんあった問題も全て片付いたため、ここしばらくは平穏な日々を送っている。
ついにこの日がやってきてしまった。
仕事が再開する日が。
今までは文句を言いつつもなんだかんだ楽しんでやっていた仕事だが、ラナと離れなければいけないと考えると憂鬱で仕方がない。
しかもしばらく休暇を取っていたから、おそらく大量の仕事がたまっている。
王は休暇中の俺のことを慮って代わりに仕事を片付けてくれるほど優しくないし、そもそもそんな時間はないと思う。
そのためしばらくの間は山のように積み重ねられた仕事を片付ける必要があり早く帰ることができない。
早寝早起きのラナとは朝食以外で顔を合わせることができないかもしれない。
そんなことを考えてギリギリの時間までラナを抱きしめてベッドで寝転がっていたのだが、さすがにこれ以上は仕事に間に合わない。
仕方なく、着替えて朝食へ向かう。
ラナの提案で運び込まれた小さなテーブルは、2人だけでの食事にちょうどいい。
この大きさならラナの表情もよく見える。
向かいに腰掛けたラナを見ると今にも鼻歌を歌い出しそうなほど上機嫌だった。
もちろんこれは私がいなくなるのが嬉しい、わけではない、だろう。
おそらくだが、今日はレナと2人でうさぎの世話をすると言っていたからそれが楽しみなのだと思う。
かわいらしい表情のラナをずっと見ていたいのにそれができないのが悔しい。
名残りを惜しむように最後の一口を飲み込み席を立った。
ラナもちょうど食べ終わったところのようで少し慌てて席を立っている。
見送りをしてくれるようだ。
執事に渡された上着を着て外へ出ようとする私をラナが呼び止める。
ハル様、少しかがんでください、と言われ深く考えずに軽く膝を曲げた。
するとラナは私の頬に口づけをして、真っ赤な顔でいってらっしゃいを言ってくれた。
おかしくなりそうな心臓の音を無理やり抑え込んで、ラナに向かって言う。
「行ってくる。明日は頬じゃなくて唇に頼む 」
ラナの焦った声が聞こえたが後ろは振り向かない。
もし振り向いたら仕事に行くことなんてできそうもなかったから。




