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2人の出会い、旦那様目線です。
2章は旦那様目線で進んでいきます。
あれは伯爵領で水害が起こる約1年前のことだ。
5月にしてはやけに暑くて、ただでさえ嫌いな夜会がいつも以上に憂鬱だった。
王家主催の夜会で王直々に書かれた便箋10枚にも及ぶ招待状がなければ絶対来なかった。
ちなみに内容を簡単にまとめると、「今回こそは絶対に来いよ!誰でもいいから嫁にしてはやく後継ぎを作りやがれ!」とのことだ。
国王は子供のころからの悪友だ。俺が一方的にからまれていただけとも言えるが。
このことはほとんどの人は知らない。
あいつ、優秀だが文学だけは昔から苦手で、頑張ってオブラートに包んで書いたつもりらしい招待状は包みきれていない。
封筒があまりの厚さに破裂しそうという意味でも。
後で採点して送り返そう。
せめてもの仕返しだ。
氷の騎士と呼ばれる俺だが、猫をかぶるのが上手いだけで心を開いている人の前ではそうでもない。
国王にはガキっぽいと言われたこともある。
あいつには、あいつだけにはどうしても言われたくない言葉ランキングNo.1だ。
執事はいまだに坊ちゃんと呼んでくるし、古くから家に仕えている使用人たちは時折温かい視線を向けてくる。
彼らにとっての俺は、いまだに子供なのだろう。
とはいえ俺ももう24歳。
公爵としては最年少でも、結婚年齢としては遅い方だ。
今までたくさんの女に求婚されたのだが、この人ならと思えたことが1度もない。
高いドレスも、丁寧に手入れされた髪も、化粧を施された顔も、流行りの香水も。
俺にとっては気持ち悪いものだった。
色も匂いも強いと頭が痛くなる。
それを分かっている王は俺を無理に夜会に呼ぶことはなかったが、いよいよそういうわけにはいかなくなってきたようだった。
当然だ。
伝統ある公爵家に跡継ぎがいないなんて事態、絶対避けなければならない。
そうは言っても...。
俺はバレないようにため息をついた。
そろそろ帰ってもいいだろうか。
そう思って出口の方へ足を向けた時だ。
天使を見つけた。
いや、違う。
偶然目に映った女性が天使のように見えた。
淡い色でシンプルなドレス。
栗色の柔らかい髪とヘーゼルナッツ色の瞳。
屈託なく笑う様子。
俺の、女性に対する偏見はうち砕かれた。
装いは地味かもしれない。
なのに、誰よりも眩しい。
その姿があまりにも綺麗だから。
この人なら、と思えた。
いや、この人がいい、と思えた。
貼り付けられた笑み、その下でどうやって自分を見せられるかを考えている、そんな人たちの間にいるのはもうごめんだ。
だから、だから、あの人と一緒にいたいと思った。
多忙だったこと、区切りがよかったことを理由に数日間お休みをいただきました。
これからはまた、毎日更新を行う予定です。




