提案!
よければ評価をお願いします!
爪切りの作成のために、いろいろ描いているとイオが夕飯の支度が整ったと迎えに来てくれた。
「今日は、奥方様もご一緒に夕食をとられると仰っていましたよ」
「え、ほんとう? ……そっか、久しぶりだなぁ……」
いつも1人で食事をとるのも、別に苦ではなかったけれど、家族と一緒に食事をするというのはやっぱりうれしいものだ。
「お母様に提案しよう……」
私は、今まで描いていた爪切りの作図をもって、食堂へ向かった。
食堂に着くと、お母様がすでに座っていた。
「遅くなって申し訳ございません、お母様」
「いいえ、私が少し早かっただけですよ。……それより、何をもっているのかしら?」
「え?あ、これは食事の後に、ご提案したいと思っています」
お母様は私が持っているものに対し、興味を示したが、食事をとってからの方が時間が取れると思い、そう告げた。
「……そう、では、いただきましょうか」
「はい、いただきます」
用意された食事は、いつもと変わらずパンと葉野菜のスープだけだったが、スープの中にタイスが入っていたので、少しずつ試してくれているのが嬉しくなった。
食事が終わると、早速お母様に爪切りについて提案をした。今の爪を切る(剥ぐ?)のはとても危険であること。そのためには『爪切り』という道具を作ってほしいこと。そして、その『爪切り』を我が領の名産品にすること。そのすべてを伝えると、お母様はすぐに見本を作ってもらえるように、お抱えの鍛冶師に依頼するようにリゲルに伝えた。
「でも、宣伝するにはどうしたらいいか、思いつかなくて……」
「確かに、そうね……」
お母様と二人で首を傾げていると、イオがおずおずと提案してくれた。
「あの、私は再来週学校へ行きます。その際に、主人の身だしなみを整える試験があります。そこで使うのはいかがでしょか?」
その言葉にお母様と顔を見合わせ、イオを見た。
「それはとてもいいわね!その時のテストの相手を務めるのは誰かしら?」
「はい、マールス様がお時間を作っていただける約束をしております」
「マールスが……。だったら、手紙を出して説明をした方が良いわね。見本を作って、使い方をオシリスがイオに説明。その内容をマールスとアレースの2人に手紙を送りましょう。手紙を送るまでに生産量などが分かれば、それも伝えましょう。うまくいけば、マールスと同じクラスにいる第1王子のレオン様の耳に入るかもしれないわ」
「マールス兄さまのクラスに第1王子様がいらっしゃるのですか?」
「えぇ、とても有能な方ですよ。レオン様は最新のものがとてもお好きだと聞いています。その方の耳に入れば、王妃様の耳にも入るかもしれません。そうすれば、王都にいるお義父様たちに宣伝をお願いできるわ」
「でも、我が領の名産品にするためには、何か手を打たなければなりません」
「それは、大丈夫よ」
「え?」
「この国では、新しく作ったもの。この場合は爪切りね。そういったものは、すべて商業ギルドで手続きをする必要があるの。その際にアイデアを奪われないように、誰が発明したのか、誰が作ったのかを必ず登録しなければならない。それは、作った人の権利を守るためよ。だから、生産するとなるとオシリスが発明者になるわ。そして発明者に使用料、つまりお金が入ってくるという決まりになっているの」
「でも、そうすると、領にお金が入りません!」
「そうね。でもこれは決まりなのよ。だから、販売者を我が家が担うの。そうすれば、国に納める税金と使用料以外に販売したお金は我が家に入るわ。そのために、我が家直属の専門のお店を作る必要があるわね。ほかに、お給料などもあるけれど、それは、商品価格を決めてからがいいわね。……今は、リゲルが鍛冶師にお願いして、作れるかどうかを待ちましょう。見本が作成できたら、その後にどうするかを改めて決めましょう。……それでもいいかしら、オシリス?」
「はい、大丈夫です!」
お母様は私の返事に頷かれ、この話はいったん終了となり、解散した。
販売ルートを確立するのは難しいよね。




