迷惑かけてごめんなさい。
「いかん、少しここを離れますが、決して触ってはいけませんぞ」
カイヤは火を一番小さくして、私に怖い顔で伝えてきた。私がコクコクと頷いたのを確認したら、今日見た中で一番早く歩き、1階に行った。
私はカイヤが離れたキッチンで、焦げないようにフライパンをジーっと見つめていると、数分してからカイヤだけじゃなく、他の人の足音とともに戻ってくる音が聞こえた。
「たくさん探しましたよ、オシリス」
「え?」
声に驚き振り向くと、そこにはお母様とリゲル、ヘクトールにシリウスがいた。
「お、お母様?! どうして、ここに……」
「イオから、オシリスがいないと連絡を受けたのです。幸いサイドテーブルに手紙があったので、ここにいるということは分かりましたが……」
「ただ、最初にイオがその手紙に気付かなかったのもあって、全員でお前を捜索してたんだよ」
「え!ちゃ、ちゃんとわかりやすいところに置いたと思ったのですが……」
「えぇ、分かりやすく置かれていましたよ。ただ、書いた方を下に向け、その上に本を置くのは、いかがかと思いますが?」
リゲルの言葉に「あっ」と私は声を漏らした。書いた後に、メモスタンドがないか探したが見つからなかったから、とりあえず本を重し代わりにした記憶はある。はやくここに来たかったから、メモを書いたということに満足して、どういう風に置いたか気にしていなかったのだ。
「ご、ごめんなさい……」
私がしたことの重大さを理解し謝罪すると、お母様は小さくため息をつき、私の頭をなでてくれた。
「……あなたが、領民のために頑張っていることは分かります。ですが、あなたはまだ子供です。日付が変わるまであと、3時間もないこんな夜遅くに誰もつけず部屋を出ることは、してはいけません。あなたに何かあれば、私は、わたしは……」
「ごめんなさい!次は必ず誰かに言います!」
私は、目の前にいるお母様に抱き着き、許しを請うた。そんな私をお母様はやさしく抱きしめてくれた。
「これからは必ず、言うんですよ。私は二度とあんな思いをするのは嫌ですからね」
「はい!」
私はお母様の顔を見て頷くと、お母様は少しだけ笑ってくれた。
置き手紙は分かりやすいところにおこうね。




