19 夕焼けの告白
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「お、そろそろ時間でござるな」
三太や父さんから羽田や悪山についての話をしていたら、いつの間にか夕方になり、帰る時間になったようだ。
「私もそろそろ帰らないとね。 その前に陽愛ちゃん達にも挨拶しないと」
「その後は俺が近くまで送っていくよ」
「うん、ありがとね」
小梅崎さんもそろそろ帰らないといけない時間らしいので、陽愛達に挨拶をした後で俺が近くまで送ってあげる事にした。
「母さん、友達を家の近くまで送っていくよ」
「お邪魔しました」
「あらあら、また遊びに来てね」
「はい」
「もちろんでござる」
まず、由佳里母さんに友達が帰ることを伝える。
母さんは陽愛達と絵本を読んでいたようで、母さんの周りで陽愛達がわちゃわちゃとしていた。
「かれんねー、かえっちゃうの?」
「そうだよ、お姉ちゃんも家族がいるからね。 でも、また遊びにくるからね?」
「わかったー♪」
「かれんねーたま、やくそくでしゅ」
「さんたおにーたんもまたねー」
「もちろん、また来るでござる」
由奈が気付いて、小梅崎さんに駆け寄った事で、陽愛や愛菜も一緒にこっちに駆け寄った。
だが、三歳児とはいえ流石にわがままは言わず、また遊ぼうと約束をした。
ここまで聞きわけがいいと、安心する反面で寂しくもあるが……。
玄関を出て、三太は小梅崎さんの進む方向とは真逆なので、その場で別れた。
そして、俺は小梅崎さんと二人で、彼女の家の近くまで一緒に歩いていく。
もう外は夕暮れに差し掛かっている。
「色々と情報量が追い付かない部分はあったけど、ひとまず解決になるのかな?」
「だろうなぁ。 まさか、陽愛達の実の父が務めていた会社も悪山の手に渡ってたなんてな」
三太と父さんの話の内容が膨大すぎたので、情報量が追い付かない部分が多々あったが、ひとまず悪山の件は解決という事にはなるだろう。
しかし、陽愛達の実の父が過労死した原因も悪山のブラックな思想が原因だったとはなぁ。
「ここ付近でよかったか、小梅崎さん」
「そうだね。 でも、私としてはいい加減に下の名前で呼んで欲しいんだけどね」
「え……?」
彼女の家の近くに着いた時、小梅崎さんは不満そうな表情で突然下の名前で呼んで欲しいと言った。
つまり、『花蓮』と呼んで欲しいと……。
「こう見えても私はわがままな女でね。 いつも幼い妹ちゃんを大事にしている優しい君を独占したいって思ってたのさ。 それくらい、この短期間で惚れてしまったんだよ。 ただ、彼方くんは失恋のショックもあるから割り切れるかどうかは未知数だけどね」
夕焼けに映える彼女からの突然の告白。
茶髪のセミロングかつボブカットが淡い風で揺らいでいる。
そんな様子の彼女を俺はただ、呆然として見ていた。
「まだ、陽愛ちゃん達を交えての誘いが多いけど、機会があれば二人で遊びに行けたらなって思うよ」
「それってつまり……」
「まぁ、デートって奴かな。 キミがよければだけどね」
いつかはデートに誘いたいって事なのか?
彼女がここまでグイグイと押してくるあたり、その心は本当なのだろうけど。
「さっきも言ったけど、暫くは陽愛ちゃん達と交えてがメインになりそうだから、今はこれでマークをしておくよ」
そう言って彼女は……。
「え……!?」
俺の頬にキスをしたのだ。
頬ではあるが、彼女のファーストキスのようなものだ。
それを俺にという事は……本気なのだろう。
キスをした後の彼女の笑顔は、心なしか頬を赤らめたように映った。
「じゃ、また明日学校で会おう!」
「ああ、またな……、『花蓮』」
俺が何とか彼女の願いに応えるように、彼女の事を下の名前で呼んだ。
すると、彼女は嬉しそうに笑顔を浮かべた。
その笑顔は、夕焼けに染まったせいなのか、とても眩しかった。
「よし! これからも私をそう呼ぶようにねっ♪」
そう言いながら小梅崎さん……もとい花蓮は、スキップしながら自分の家へと帰っていった。
俺は、少しの間彼女にキスされた左の頬を触り続けていた……。
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