表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の目印  作者: ヒロ
30/34

30

皆さんが神様のところへ通いだして半年が過ぎた神学の時間


「みんなどんな感じだ?何か変化があるか?」


「変化というのか、わたしは神様に近くなった気がするというのか、祈りの最中に後少しで繋がるような気配を感じました。」


「僕は、田舎の領地で小麦の畑が一面と広がる光景が一番好きなんです。幸せとか、満たされたものというのか、生きてきて良かったっていうのが、あの小麦一面の光景を見ていると感じるのです。神様の前で祈る時、いつもその小麦畑が広がるような気がするんです。豊穣の女神様のところでも、祈れば祈るほど、心が満たされていきます。幸せだなって・・・え。・・・え!・・・・・。せ、せ、先生。今、加護をいただきました!豊穣の神様から加護をいただきました!!!!」


「な、なに!本当か!」


「ええ、頭の中に言葉が浮かびました。『いつも真摯な祈り受け取っています。純粋で綺麗な心映えに加護を授けましょう』と、豊穣の女神様から加護をいただきました!」


そういうと、マッシュ先輩は泣き出した。涙がぼろぼろ出てきて止まらないようだ。涙も拭かずに感動しているのか茫然と立っている。先生と周りの先輩たちが慌てている。

3年のシグリッド先輩が、覚悟を決めた顔をして祈りだした。


「知の神様、いつもありがとうございます。わたしも知らないことを学ぶこと、知識は増える瞬間がとても好きです。いつも祈る時に、自分のことを考えてはいけないと思いつつ、何かが満たされる感じは受け取ってきました。これからも真摯に知について学び続けたいと思っています。純粋に新しいことを知ることが楽しくて仕方がありません。今後もよろしくお願いいたしま・・・・・・・・す・・・・・。あ。あああああ。」


「シグリッドどうした!大丈夫か?」


「せ、先生。わたしも今、知の神様から加護をいただきました。『いつも真摯な祈りをありがとう。君の純粋な気持ちに加護を授けましょう』と。いただけたんです!加護です!加護をいただきました!!!!」


いつも冷静で物静かなシグリッド先輩が両手を上にあげて、こちらも滂沱の涙だ。なんだろうこの連鎖って。ちょうどぴったりのタイミングだったのか。教会でなくても加護を受けられるのか?あ、そうか英雄や勇者はドラゴン倒した時に武人の神様から加護いただけたりしたんだ。


マッシュ先輩が泣き、シグリッド先輩が泣き、先生がおろおろしている。

リカルド先輩が焦った顔をしている。自分だけ加護をいただけないのは悔しいんだろう。グレイ様だって、先生だってまだなんだけど、同級生と後輩がいただけたっていうのが発火点だろうか。

リカルド先輩はおもむろに、土下座の姿勢になり頭を床につけて、祈りだした。


「武人の神様。俺、本当は騎士になりたかったんです。でも、俺弱いから、戦っても勝てなくてどうしようもなくて、騎士を諦めたんです。でも、神様に毎週感謝の気持ちを祈っていたら、騎士になりたくて気持ちがあふれ出してきました。俺、どうせできない。どうせダメだって、自分で線引きして、何も努力せずに、早々に諦めていました。でも、本当は強くなりたい。どんなに努力してもいい。強くなりたいです。それがよくやくわかったんです。もう3年生だけど、後1年残り1年頑張ってみようと思っています。これからも見守っていてください。いつもいつもありがとうございます!!」


半泣きながら、リカルド先輩は神様に懺悔のような自分の素直な気持ちを吐き出したのか、自分の言葉を噛みしめて興奮した気持ちを飲み込もうとしていた時、目が見開く。びっくりして大きく見開いた。


「せ、せ。先生。俺も加護いただきました。武人の神様から『いつもおまえの素直な気持ち受け取っていた。これから頑張るために加護を授けよう』って、俺の気持ちちゃんと通じていたんですよ!!お、俺。騎士になりたい。騎士になれるよう頑張りたいです。」


「み、みんな。良かったな。先生も嬉しいよ。でも、この流れでいけば、わたしもホスター君も頑張れば加護がいただけるかも?」


「先生、真摯な想いですよ。エゴが入るとダメになっちゃいますよ。」


「ん-。難しいね。真摯な願いもあるし、エゴも入り混じっているね。でも、やらないよりやってダメなら、また教会通いを続ければいいしね。うん、やってみるよ。わたしも。

そうだね。大地の神様、この地に生きる人として、安心できる大地をありがとうございます。大地があるからこそ、人は生きていけます。毎日感謝しています。今もこの地でここに立てていることに感謝しています。どうかこれからも人を見守り下さい。わたしもマッシュ君と同じで一面に実る小麦に、満開に咲く花々に、木陰を作る木々を優しく包容してくださる大地に感謝しています。今後ともよろしくお願いいたします。・・・そうですよね。そう上手く続くわけがないですよね。・・・・」


少し、しゅんとした先生が、静かに椅子に座った後、ガタンと音がしたら、椅子が倒れていて、先生が立ち上がっていて、先生も泣いていた。

手を胸の前で組み更に祈る。


「ありがとうございます。ありがとうございます。」


先生と、先輩方が3人寄ってきて、皆で抱き合っている。そうか。そうか。先生も加護受け取ったんだね。感動するね。

あ、1人残された感のグレイ様がどうするのかなと思ったけど、彼は割りと動じないよね。

みんなが感動している姿を見て、彼も感動しているようだ。

わたしもジーンと感動を味わっていると、グレイ様がすっと片膝を床につけて祈りのポーズだ。


「神様、俺、美が自分に必要かどうかわからない。ただ、何故呪いや加護があるのか知りたいって思うようになった。そんなのエゴだと思うけど、知りたいと思う気持ちには嘘はない。純粋にただ本当に知りたいだけなんだ。俺は神様は存在するって信じている。何度も教会に通うたびに、身近に感じてこられた。だからなんなんだっていうことなんだけど、あー。上手く言えないけど、神様が好きなんだー。」


最後ちょっとグレイ様叫んでいた。心の叫びっていう感じだった。なんか告白しているみたいだった。それを聞いて不敬だけど、神様にちょっと嫉妬してしまった。グレイ様は神様が好きなんだって・・・。馬鹿だな。人を好きと神様が好きじゃぜんぜん次元が違うのに。


「あ。あ。俺にも加護いただけた・・・。神様、ちょっと笑っていた。真摯な祈りをいつも受け取っていた。今後も素直でいてくれって。なんだか嬉しい。あ、めちゃくちゃ嬉しい。加護をいただけるなんて、半信半疑だった。最初は貰ったら儲けもの程度だった。でも、今は違う。神様に真摯でありたい。ああ、見守っていただけるってどれだけ心強いかってわかった。ああ、俺強くなれた気がするよ。」


「ホスター君もいただけたんだね。良かった。これで神学のみんなは全員加護持ちになれたんだね。はぁ。まだ頭が回らないけど、これは神学会に報告しなくてはいけない案件だ。これだけ例外もなく数十年に1度あるかどうかといわれている加護を数か月で全員が受け取れてしまうだなんて、今でも信じられないよ。でも、この心の安定は確かなものだ。神学を学んできて今日本当に良かったって思えたよ。」


「先生、僕も自分の人生を肯定された気分です。神学会に報告されるのであればご協力いたします。」


「わたしも協力は惜しみません。」


「俺も、出来る限りのことはします。」


「先生、俺らは何をしたらいいのでしょうか。」


「そうだな。多分、神学会の人が派遣されて、鑑定を持っているものが調べることになるだろう。それに協力してもらうことになると思う。」


「ん?鑑定?先生鑑定持っていたらどうなんですか?」


「おや、ノーチェ嬢は知らなかったのか。鑑定は人も鑑定できるからね、どんな加護を持っているか調べることができるんだよ。」


え、鑑定って人も出来たのか!わたし鑑定持っていたのに、人に対して鑑定してきたことなかったわ。あ、自分に対しても鑑定したことなかった。異世界に転生したならと、ステータスオープンはやったんだけど、見ることができなかったから、そこで諦めてしまった。そうか、鑑定でそれが代用できたんだ。


「先生!わたし鑑定使えます!!」


「おお、ノーチェ嬢は鑑定が使えるのか、じゃ、調査に来る前にみんなの加護を確認してもらおうか。」


「はい。人に鑑定を使うのは初めてなので、上手くいかなかったらすみません。」


「いいよ、ノーチェ嬢。僕からやってみて。」


「はい。マッシュ先輩を鑑定します。んんん。『マッシュ・ノベール、16歳、レベル1 魔法 水魔法 植物魔法 豊穣の神様の加護 植物魔法で植物の成長を促進することができる。』と、出ました。どうでしょう。」


「え。ノーチェ嬢、僕、植物魔法は持っていなかったよ。でも、増えた?植物魔法使えるようになったっていうこと?えー。凄い。本当に加護だ。おおお・・・。」


マッシュ先輩がまた感動して膝をついて祈りだした。


「次は俺、俺を見て。」


「はいはい。リカルド先輩ですね。『リカルド・ウルサーラ、17歳、レベル10 魔法 火魔法、身体強化 武人の神様の加護 身体強化で戦力が上がる。』です。」


「おお!!!身体強化!俺持っていなかった。やったー!これで少しは強くなれる。身体強化使えるように頑張るよ。神様ありがとうございます!!」


リカルド先輩もマッシュ先輩の横で祈りだした。神学の学生だ。祈りのポーズがきまっている。


「わたしもいいかな。」


「はい。シグリッド先輩見せてもらいます。『シグリッド・アアルト、17歳、レベル1 魔法 風魔法、水魔法 知の神様の加護 知力が上がる 隠された知恵に出会いやすくなる。』

とありました。」


「そうか。魔法は増えていないけど、知力が上がって、知らなかったことを知る機会が増えるのは嬉しいよ。これからの先の未来が楽しみになったよ。」


シグリッド先輩も2人の横に並んで祈りだした。3人祈りの姿が綺麗で輝いて見えるよ。


「ニーチェ嬢、俺もよろしく頼む。」


「ええ、わかったわ。『グレイ・ホスター、15歳、レベル15、魔法 風魔法 身体強化 日/夜の女神様の加護 老いにくくなる。』・・・え?え?美の女神様じゃないの!?」


「お。俺?いや、この街で一番大きくて古い教会へ通っていたよ。みんな美の女神様だって教えてくれたよ。」


「先生・・・。もしかして美の女神様は名前を間違えられておられるのではないでしょうか?」


「そ、そんな。もし、そうだと大事件です。加護を受けられるようになったことも大事件ですが、名前が違っていた方も、もっと大事件です!ノーチェ嬢の加護はどうなっています?」


あ。自分に鑑定してなかった。そうだ。わたしは最初に美の女神様の加護をいただいたはずだ。


「え?あ、はい。わたしは・・・日/夜の女神様の加護となっています・・・。」


「加護を受けられる人は数十年に一人ぐらいだと言われています。それも最近は武人の神様の加護が多く、美の女神様の加護は聞いておりません。ずっとずっと昔にもし加護をいただいた人がいて、その効果が“老いにくくなる”であれば、の女神様じゃなくて、の女神様じゃないかと噂になってのかもしれません。どこの段階か調べてみないといけませんが、教会の古い本を読む必要があるかもしれませんが。古い本は崩れやすく最近は誰も読めていないと思います。」


「先生!わたしのインベントリは収納すると収納したものが復元します!古い本も読めるようになります!」


「おお、そうなのか。何代か前の公爵家にそのようなスキルを持った者がいたという話は本当だったのか。では、ノーチェ嬢、準備ができたら一緒に教会へ行って欲しい。」


「わかりました。」


「わたしは、これから大至急、神学会に報告してきます。加護の件、名前の件、このままにしておけません。」


そうおっしゃると、先生は物凄い速さで教室を出て行ってしまわれた。残された先輩方とグレイ様は興奮の渦の中で口々に己の推測を語り合っている。

まさか、美の女神さまが、日/夜の女神様だったなんて。神様はご自分の名前が間違えられていることに関して、無関心なんだろうか。ああ。神様から見ればそんなことどうでも良いことなんだろう。


じゃ、呪いって何だろう?何故、黒目黒髪に?加護ってなんだろう?

ぼっとただそのことを考えていたら、頭の中に声が響く


『日の名前と夜の名前を持つものよ、呪いではなく、目印ですよ。興味のある方に印をつけるのです。母のお腹にいる時から他のものと波動が違っていたから、そなたに興味が出て目印をつけたの。今はそなたが、日の名前と夜の名前を持つようになったので、絆が深まったので目印なしでもわかるようになったわ。』


は?か、神様!?から回答?え?まって、思考が追い付かない・・・。でも、はっきり聞こえた。呪いではなく目印だった。マーキング?加護ももしかして同じ?

波動が違う?転生者だったからか!日の名前と夜の名前って、サンディ(日)ノーチェ(夜)になったのは偶然だったのに!


印、印、目印。黒目黒髪がそんな意味だったなんて。わたしの10年間はなんだったんだろう?嫌、十分楽しんではいたけどね。そうだ、構ってもらえなかったし、教育も愛情も貰えなかったけど、自分的には楽しんだね。たくさん本を読んで離れを探検して筋トレして楽しかった。絶望ではなかったよね。


そうだ、じゃ、前世からのマイナス感情が消えてしまっていたことも加護だったかもしれない。ここまで能天気に過ごすことができた。うじうじしたり、卑屈になったり、人を羨んだり、恨んだりすることなんてなかった。悲しかったり寂しかったり切なかったりも割とすぐに消えてしまった。

毎日どの本を読もう。どう過ごそう。どの部屋探検しようって楽しいことばかりしていた。ああ、あれは加護だったかもしれない。小さい頃、自分に鑑定で調べようとしてこなかったけど、調べてみれば良かった。やっぱり呪いなんかじゃなかったんだ。


か、神様、じゃ、お母様は何故、黒目黒髪に?


『そなたがわたくしの目印を外した時、うっかり他のものと混ざってしまってわからなくならないように、ちょっと一番血の濃いものに目印をつけたのよ。そなたが直後に日の名前と夜の名前を持つようになったので、絆が深まったので目印なしでもわかるようになったけど、そなたの母もマイナス感情がたくさんあって、面白いから残しておいたのよ。』


あ、領地の離れのお母様。お母様を鑑定すれば呪いじゃない、目印だってわかるかも。最近は大人しく地味に離れで暮らしているらしいけど、まだ一度もお会いしたことはない。

鑑定のスキルは持っている人が多いから、領地の鑑定持ちの人に見てもらうのもいいかもしれない。


お母様も呪いではなく、わたしと同じ目印だったのならば、同じようにマイナス感情消えているのかな。

あ、神様はわたしのこと、日の名前と夜の名前を持つものだって言っていた。それで日/夜の女神様と絆が深くなるなんて、考えたこともなかった。


興奮のまま、授業が終わり、その日は家に帰った。帰ってから急いでお兄様に会うために家令に時間を取ってもらうことにした。


「どうしたんだい?珍しいね。帰って早々わたしに話があるなんて。」


「お兄様!聞いて下さい!!」


「大丈夫だよ。ちゃんと聞いているよ。」


「美の女神さまが、美の女神様じゃなかったんです!日/夜の女神様だったんです。それで、わたしの黒目黒髪も、呪いではなく、神様からの目印だったんです!呪いじゃなかったんですよ!だから、お母様も呪われたのではなく、わたしにつけた目印を移したそうです。」


なんだか思う。マーキングしたけど、外されたなら、身近な人にわかるように付けておこうかっていうような感じ?軽い?神様がなんか軽い!?


「え、なんかノーチェからの情報が多い。ちょっと待って。美の女神様のお名前が違っていたということ。黒目黒髪は呪いではなかった。単なる目印だっということか?」


「そうです。お兄様、お母様に鑑定依頼してください!」


「ああ。そうか。もし、母上の黒目黒髪が呪いではなければ、鑑定結果でそうではないと出るね。呪われたことを誰にも知られたくないということで、鑑定することなんて気が回らなかったよ。わかった、領地の母上の鑑定をさせるよ。それにしても大変だったね。どうしてわかったんだい?」


お兄様に聞かれて、今日の神学の授業の話をしたところ、加護を受けた話になるとお兄様もびっくりされていたし、わたしがいくつも既に加護を持っているというと、聖女か!とテンション上がられていたけど、他の方に説明したとおり、わたしは癒しの魔法使えないからね、聖女じゃないからねと念を押しておいた。神様とお話したことは絶対黙っていようと思った。

前世の記憶からいっても、聖女はヤバイ。ヤバイ匂いしかしない。なりたくないのだ。できればこのまま聖女じゃないで突き通したいところ。


「経過はわかったよ。なんだか聞いてはいけないことまで聞いたような気もするけど、とにかくノーチェも大変だったね。母上のことはこちらで対応するよ。ノーチェ自身は大丈夫か?」


「ええ、お兄様、わたしはもともと自分のこと呪われているだなんて思っていなかったので、そこは大丈夫です。ただ、黒目黒髪が、神様が興味があってちょっとつけてみた目印よっていう軽いノリには疲れましたが。」


「はは。確かにね。それでノーチェは10年間も離れで軟禁されていたんだからね。父上もちゃんとお調べになれば良かったのに。神様の目印を解除したことは不敬になるかもしれないけど、それでもノーチェが自由に暮らせたのであれば、解除して良かったと思っているよ。」


「お兄様、ありがとうございます。わたしずっと幸せです。大丈夫です。」


お兄様はお母様の鑑定をちゃんとするからねと約束してくださった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ