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神様の目印  作者: ヒロ
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学園は広い。広いぞー。食堂の前でお別れしてからもう10分は歩いていると思う。図書室って結構離れているのね。構内図を見る限り本館ではなく別館の奥に図書室はあるみたい。


図書室にやっと着いた。着いてわかった。大きい。別館のその奥って結構広い。前世でいう体育館っていう感じかも。でーんと建っている。でも、これだけ大きなところだとどれだけ本があるんだろう。3年間通う間に全部読めるだろうか。


入口の扉をそっと開けると、吹き抜けの広いホールにカウンターがあり司書らしき方が2人座っておられるが、生徒らしき人は、ぱっと見たところいない。ふふふ。わたしだけの場所なら嬉しい。


「ようこそ。どんな本をお探しでしょうか?」


眼鏡美人のカウンターの司書さんに声かけられて、少しドキドキしてしまった。チョコブラウンの髪を綺麗に纏められていて、きりりとした知的な感じが素敵だ。


「加護についてわかる本はありますか?」


「加護の本はございます。ご案内いたします。」


にこりと微笑まれると、きりりとした印象かが少し崩れて一気に親しみが湧いてきた。この人がいるだけで図書室の楽しみが増えたかも。


「ありがとうございます。」


学校の図書室なのにかなり大きい、前世の市民図書館より大きいと思う。たくさんの本にふかふかの絨毯。いつもの本の匂いがしてなんだか嬉しい。司書のお姉さんが本棚を案内してくれつつ、時々こちらを振り向きながら、声掛けしてくれる。


「新入生さんですよね。今日は入学式のみで帰られる方の方が多いんですよ。本がお好きなんですね。」


「ええ、今日から学園に入りました。本大好きです。よろしくお願いします。」


無事に加護の載っている本のあるコーナーを教えていただけた。次回からは案内なしでも良いそうだ。通うぞー。


しばし集中して本を読んでいたら、ふと人の気配を感じて、本から目線を上げると、少し離れたところだけど、一人の生徒が本を読んでいるのが見えた。あの黒っぽい髪の毛は同じクラスのグレイ様かな。彼も本が好きなんだ。それだけで自分の中の好感度が上がる。本好きに悪い人はいないだろう。


加護の本を1冊読んで、何か借りて帰ろうと思って、加護の本のコーナーを見ていると、加護のコーナーなのに、呪いについて書いてある本がある。神様関係だからだろうか。

その本に手を伸ばそうとした時、同じように手を伸ばしかけた人がいて、え?この乙女なシチュエーション!?


グレイ様と目と目があった。あ?あ?グレイ様、髪も目も黒じゃない。図書室内の少し明るい室内で間近に見たら、ダークグレイだ、髪も目も。色がグレイだから、名前がグレイ様?

少し情報過多でパニックになっていたら、


「それ読むのか?」


なんだ、この響くようなとてもいい声だなんて反則だ。


「あなたが読みたいならお先に譲るわ。」


「お前は俺が呪われていると思っているのか?」


「え?どうして?グレイ様は呪われていないでしょ。」


「え?俺の髪と目の色をみたものは高確率で呪われていると思い込んで距離を置こうとする人が多いから、本を譲るってそういうことなのかと。」


少しだけ、ほんの少しだけ悔しそうな顔をしたけど、わたしが呪われていないって断言したからか、始終不思議そうな感じだ。

なんだ。なんだか彼になら言ってもいいような気がしてしまった。


「あなたは呪われていない。だって、その髪も目もダークグレイで黒じゃないもの。本当の黒を知っているの。だから、わたしが本を譲ったのは、単なる好意よ。」


「本当の黒を知っている?」


「ええ、わたし昔、真っ黒だったの。髪も目も。」


ああ、いっちゃったー。彼絶句している。そうだろうな。でも、何故か言いたくなったんだよね。

図書室だから、ほんと、彼にだけ聞こえるぐらいの小さな小さな声だったけど、胸を刺すような威力はあったと思う。

あ。そうか、わたし彼に自分を覚えていて欲しかったのかもしれない。


「呪われていたって言うのか?今はまったくその痕跡はないが。」


「呪いかどうかはわからないけど、黒目黒髪は解除したからね。」


「そんなこと出来るのか!?」


「もっと小さい頃だったけどね、女神像の前で髪を剃ってつるっぱげにいて、神様に真摯にお祈りしたら解除してもらえたよ。」


「おまえ、同じクラスだったよな。ええと。」


「ノーチェと呼んで。」


本当はサンディって呼んで欲しかったけど、公爵家令嬢に擬態している間は無理だ。残念。


「ああ、ノーチェ嬢、あ、ノーチェって夜っていう意味だな、じゃ本当に黒目黒髪だったのか。それにしても、ノーチェ嬢、口調がお嬢様じゃないぞ。それにしてもつるっぱげって・・・。」


グレイ様の表情が優しくなる。目を細めて声を出さずに笑う。いい笑顔!やっぱり素敵だ。


「ノーチェ嬢の噂は聞いたことがある。お披露目も出来ないぐらい病弱で家にずっと閉じこもっていると。黒目黒髪なら、お披露目できないよな。俺は見た目呪われているように見えてしまうけど、本当は呪われていないから、お披露目もしてもらったし、堂々と生きていけって激飛ばされてきた。おまえ大変だったんだな。」


めいいっぱい同情されたけど、物凄く充実した15年間だったよ。


「今日は俺がこの本借りるわ。ノーチェ嬢の話を聞いて、余計読みたくなった。読み終わったら渡すわ。」


「うん、そうして。読み終わったら、感想聞かせてもらえると嬉しい。」


「ああ、黒目黒髪のことは衝撃的だったし、ノーチェ嬢とはまたゆっくり話したい。図書室は今日はあまり人がいなかったけど、会話するには向いていないから別の場所にするか?」


「談話室はどう?別館にあるんだよね。」


「ああ、そこでいいか。予約しとくか。」


「じゃ、明日、午前中は授業の見学になると思うので、昼食後ぐらいでいいかな。」


「ああ、よろしく。」


「じゃ、明日。」


また、明日も会えるんだ。まぁ同じクラスだからクラスでも会えるんだけど、ぼっと胸に火が灯るように温かくなる。心が弾んでいる。前世で好きな人も推しもいなかったけど、いたらこんな感じだったんだろうか。少しふわふわしている。


そんな自分の気持ちを押し込め、自分用に加護の違う本を選び、グレイ様は呪いの本を持って一緒にカウンターに行く、メガネの司書のお姉さんが別々に来た二人が一緒に帰ることに少し不思議そうにしていたけど、仕事優先で貸し出しの手続きをしていただいた。


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