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神様の目印  作者: ヒロ
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トゥレーとフューラにお店は任せて、今度はセクスとシューのために絵本を作ることにする。前に家令に頼んでいた絵師と会うことになった。もちろん家令も一緒だ。


「はじめまして。サンディです。この度はお忙しい中こちらの希望を聞いてくださり、ありがとうございます。」


「は、わたしはアルヴァ・サーリネンと申します。こちらこそ絵を描く仕事を注文してくださり、ありがとうございます。絵を描くだけでは食べていけず副業もしていますが、今回久しぶりに絵の仕事に専念できそうで、とても嬉しく思っています。特にこの絵本というものは、すごく素敵です。子ども向けの本だと聞いていましたが、ちゃんと物語があり、絵も子ども騙しではなく丁寧で美しいものを指定していただいて、本当に光栄です。」


アルヴァさんは、繊細な画家というより、気に良いお兄ちゃんといった感じで、前世でいうところのオタクっぽい空気感があるけど、よく話していると芸術っぽいところもある。

好きなことを好きなだけしたいという欲求と、それだけでは食べていけないという諦めを抱えて生きてきたのだろうと思う。


そんな人に、絵本の仕事だ。

まずはセクス向きのS級冒険者がドラゴンを倒す冒険譚。そしてシューが愛してやまない騎士とお姫様の溺愛系のお話。とりあえず2冊。前世の絵本のように、開くと見開きで絵があるものがいい。


もともとあった、こっちの世界の物語を絵本向きにアレンジして、絵も希望のものをイメージとして伝えた。アルヴァさんはそれに応えてくれて、物凄く素敵な絵本を作ってくれた。全部手書きだ。ほんと凄い!


この絵本は、セクスとシューだけではなく、エットをはじめみんなから評判が良かった。S級冒険者はめちゃくちゃ強くてカッコよく描いてもらったし、ドラゴンは迫力がある。

大剣はキラキラしている。


「俺、こんな大剣欲しい。今は重くて使えないけど、いつかきっと使えるようになる!」


と、フェムが断言していたぐらいだ。

シューはこれまたカッコよく描いてもらった騎士様にめろめろになった。

少し恥ずかしいような甘い言葉に、きゅんきゅんしている。


「おねえちゃん、わたし騎士様に会いたい!」


「それじゃ、フューラに頼んでブティックに連れていってもらうといいよ。お店で働いているユーリさんが元騎士様だよ。」


「え、元騎士様!フューラおねえちゃん、ユーリさんってかっこいい?」


「んっとね。まぁまぁカッコいいかな。今は騎士服着ていないから騎士には見えないけどね、お貴族様だったから立ち振る舞いは綺麗だね。」


「じゃ、わたしユーリさんと結婚する!」


「いやいや。シュー。今は騎士様じゃないし、お貴族様でもないからね。」


「えー。」


「まだ、シューは小さいから、もっと大きくなったらもっと素敵な人に出会えるよ。」


「わたし騎士様に会えるように、もっとマナーも勉強もしたい!」


「シュー、応援するよ。マナー一緒に頑張ろう。」


「うん!」


シューが毎晩読み返すことになった絵本は他の子も読みたいということで、アルヴァさんに増産してもらった。それをフューラがお店でミミとメグに見せていたら、お客様のご令嬢が目ざとく気づいて、あれよあれよという間に、美しい絵のついた素敵な本ということで、絵本がお貴族様のご令嬢に広がっていった。


うちとすれば、セクスとシューが喜んでくれたらそれでいいので、絵本を欲しい方には、アルヴァさんを紹介した。同じ絵本を量産しても構わないよと言ったから、彼は頑張って絵本を描いている。


時々この物語を絵本にして欲しいという依頼もあり、新しい物語もどんどん絵本化されていった。自分の好みの男性のイメージにしてもらい、お相手を自分に似せて描いてもらうこともあるらしい。夢女子はどこにでも存在するのだ。


子ども用にと作ってみた絵本が、美しい挿絵の素敵な本ということで、ご婦人やご令嬢に好まれるものになるとは思ってもみなかった。

アルヴァさんからは、絵を描くだけで食べていけるようになってとても嬉しいと教えてもらった。

今はほんと一部だけど絵本文化広がるといいな。あ、でもそうなるとアルヴァさんが激務になるか。みんなが幸せになれる速度でよろしくお願いします。


後で聞いたら、アルヴァさんの画家仲間たちが協力してくれたらしい。絵で食べていけるのは嬉しいですって報告があった。良かった。良かった。


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