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一話-6 格付け




 戦闘は終わったと思ったら別のがやって来た。

 今度は悪意と殺意に満ち満ちた人がやって来たみたいで、性格の悪い事に恐らくは義賊と僕たちを戦わせた後に疲弊したところを叩くつもりみたいだった。しかしながら義賊の人が戦おうとしない様子を見て痺れを切らしてやって来たといったところだろう。


「次から次へと……。ちょっと行ってくるね」


「待った」


 戻って来たばかりだけど外に出ようとしたところ、咲夜に袖を掴まれる。


「もう少し出方を見たいわ。貴方が行くのは少し待って頂戴」


 この場合の出方というのは来たばかりの男の方か、それとも魅緒さんの方か。

 それをハッキリと口にしないということは聞かれては面倒だということ。つまり魅緒さんの方を気にしているということだ。

 本気で僕を守ろうとしているのかをこの状況を利用して明確にしたいと思惑を察した。


「……そうだね。もう少し様子を見ようか」


「私が視るから清花と東司は外を警戒していて頂戴」


 言いながら咲夜は目を瞑って力を行使し始めた。

 こういう時に俯瞰視点で状況を視れるのはやはり強みだと思う。

 その間に僕も出来ることを進めることにしよう。


「冬香、渡した霊具は今も持ってる?」


「ありますよ。肌身離さず常に手の届くところに持ってます」


「じゃあ次に僕がここを離れたら戻って来るまで絶対に手の中から外さないようにしてね。それと何かあった時に二人纏めて霊具で守れるようにしたいから出来るだけ咲夜の近くに寄っておいて。倉橋さんはその逆側にいて下さい」


「了解です! 邪魔にならない程度にくっついてます!」


「畏まりました。私も今の内に出来ることをしておきます」


 念の為に咲夜にも倉橋さんにも霊具は持たせてあるし、これなら非戦闘員組に何かあっても大丈夫だ。

 大門先輩は……。あの人は戦闘能力もさることながら隠密行動も出来るからあまり心配は要らないか。

 相手が上級の退魔師でもなければ遅れを取ることはないはず。

 外の様子は分からないものの、今の所は膠着状態といったところか。まだ戦闘音は聞こえてはこない。


「咲夜。外はどんな感じ?」


「まだ口論を続けているわ。内容までは分からないけれど、すぐに戦闘を始めないという点は不自然ね」


 先程の男の叫びを聞くに非常に好戦的であることは明白で、にも関わらず未だに戦闘状態になっていないのがおかしいということ。


「妖魔対策第一課の岩蔵室長さん。あれだけ声高に敵対宣言をした敵を未だに排除しない理由を聞きたいのだけど?」


『我々は政府組織です。あのような発言をされたとはいえ、まだ手を出されていない状況で逮捕することは難しく』


「公共物の破壊に殺人を仄めかす言動でも動けないと?  この際に犯罪者やそれに近い人を誘き寄せて清花を使って処理したいのでしょう? ねぇ、岩蔵室長さん。今すぐに清花の下に来て身の潔白を宣言出来るかしら?」


 咲夜の質問に岩蔵さんは答えない。答えないのが答えだということはあの人も知っているはずで、つまりは……。


「沈黙は肯定と同義よ。岩蔵室長。私たちは……」


「咲夜」

 

 なおも言い募ろうとする咲夜を止め、首を横に振る。

 ここまで言っても岩蔵さんの感情に揺らめきはない。ということは、この件については既に既定路線ということだ。

 僕があの地域から出たことで発生する事柄においてこれは"必然"で、岩蔵さんは占いという台本の示す通りに行動をしているだけ。

 先程の僕と同様に首肯で指針を示した。


「……そう。なら"やりなさい"」


「了解。全力でいかせて貰うよ」


 そもそもな話、岩蔵さんは最初から僕たちの味方と言う訳ではなかった。ただ利用出来るものは利用するべく、そして最大限に有効活用するように動いているだけだ。その行動原理は国の為、ひいては人々の為で。その為ならば僕を敵を誘き寄せる為の誘蛾灯にすらするだろう。

 そうさせてしまうのはやはり僕たちが簡単に操れるような力しか持たないからだろう。

 僕が特級退魔師ですら対抗出来うる力があればもっと交渉も結果も違ったと思う。

 要するに、だ。敵にも味方にも侮られないようにするにはここでガツンと一発強めに殴らないといけないということだ。

 力を示すのが退魔師の流儀ならば、僕もそれに倣うとしよう。


「神意拝領。……涅槃浄界」


 発動した規模は半径一キロを圏内とした結界。

 効果範囲の規模に関しては加減は出来ないので、効果対象を僕が味方と認識している人以外に対して適用している。

 この結界内では戦うという意思が持てなくなるので攻撃や防御といった手段がまず取れない。反抗する意思そのものを無い状態にするから戦闘状態に在る人ほど何も出来なくなるようになっている。

 自由に動ける人は僕に対して何とも感じていないか好意的であるかしかなく、その心理状態で僕に害することは不可能だ。

 加えて結界内のことは手に取るように分かる。空間を切り取り、自分の領域と化すのだから必然的にそうなっている。

 だから岩蔵さんも美緒さんも、義賊の人も、それに大声で叫んでいた男の人も誰もが何も出来ずに倒れ伏しているのを知っていた。

 一キロ以内にいる潜伏していた悪意を持つ人も無力化出来ているので水で運んできて適当に近くに転がす。

 大体総勢で六十人くらいいるだろうか。力量の強弱はあるものの、とりあえず近くのはこれで全部なはずだ。


「たった今、僕を狙う人たちは全員捕まえました。どの人も多くの人から恨みを買っているような犯罪者みたいですし、叩けば余罪は出て来るでしょう。未然に防げた訳ですから僕を狙ったことについては罪に数えなくていいですよ。犯罪者の人たちに良かったねと伝えておいて下さい。牢屋に入るのは変わりませんけどね」


 いくら交渉しょうが結局のところ最後は僕が駆り出されるのだろう。だったら手っ取り早く終わらせた方がいいし、結果を積み上げてから"お願い"をした方が話も通りやすくなるというものだ。


「じゃあ、あとはお願いね。咲夜」


「えぇ、大仕事お疲れ様。……さて、岩蔵室長?」


『……な、何で私まで……』


「一度は体験しておいた方が、戦力としてどの程度のものか把握し易いでしょう? まだご存じではない様子でいらっしゃるみたいだから、この場を借りて披露させてもらうことにしたの。貴方は見えないかもしれないけれど、いま外では清花が結界内にいた怪しい人を片っ端から捕まえたみたいで。……あらあら、私の知っている限りでもそこそこ見覚えのある犯罪者が結構見えるわね」


 悪意の量は分かってもそれが特定の個人名にまでは繋がらないので分からないものの、咲夜にはそれがハッキリと視えている。

 結界にいて捕まえた人たちは最低でも二級程の力を持つ人たちばかりだった。それも最初こそ抵抗もしていたけれど今は大人しい。

 きっと僕の知らない所では有名なんだと思う。浄界を突破出来ないだろうから負けはしないけど普通に戦えば苦戦は免れない相手だと思うから、この際に纏めて捕まえられて良かったと心から感じる。

 それ程の悪人がこれでもかという程にこの近くにまで集められていたことには今更ながら肝が冷えたけども。


「岩蔵室長。大変なところ申し訳ないけれど、私たちはこれで帰らせてもらうけれどいいかしら?」


『お、待ち……下さい』


「だって少し街から離れた程度でこの始末でしょう? 頼みの特級退魔師も使い物にならないみたいだし。それに私たちからの信頼を裏切ったのは他ならぬ貴方達じゃない。退魔師協会がどうの占い師どうの、そんなものは私たちの知ったことではないの。信頼出来ない者に命は預けられない。自明というものでしょう?」


『これには……理由が』


「あぁ、そういうのはいいの。後付けの理由も言い訳も聞きたくないので。それでも話をするのならもっと実利に重きを置いた話が聞きたいわ」


 つまり何を差し出すのかという問いに対して岩蔵さんはどうするのか。


『土地を』


「土地? どうしてまたいきなり……」


『それが望みでしょう』


 それも占いで得られた情報なのか。どちらにせよ、それは正鵠を射ていた。

 僕たちが最も欲しい物の一つにはいま提示された通りに土地がある。現在の僕たちの管理地域は宝蔵家の土地を間借りしているような状況だ。自らの土地だからと宝蔵家が強硬手段に出た場合を考えるとその前に他人から干渉されない自分たちの土地は欲しかった。

 しかしながらそう簡単には得られないのが土地というもので、ある程度開発出来ている所は個人や国が所有権を持っているもの。買うにせよ貰うにせよ、その過程で何かしらの繋がりが出来てしまう。何の貸し借りもなく手に入れたいというのは業突く張りの考えだと理解しつつも、いつかそれを為したいとお金を貯めていたのは事実。

 岩蔵が本当は何も知らず、ただ揺さぶりをかける為にハッタリを仕掛けている可能性を考えて何も言わないように頑張る。そうじゃないとつい口に出てしまいそうだから。


「私たちのことに詳しいのね」


『調べましたから』


「そう。でもその口約束をどの程度信じればいいのか分からないの。この場合、私たちはただ黙って貴方を信じるべきなのかしら?」


『資料を、お出ししろ』


 指示の声に運転手の人が前方にもたれ掛かりながら何かを操作している。

 すると車両後部の一部分が機械的に動き出し、その内部にある物を露出させた。

 紙束のようなそれは岩蔵さんの言った通りに資料なのだろう。それを手に取って咲夜に手渡す。


「これを全部くれるの?」


『管理しきれるのであれば』


 お互いにそんな人員はいないと分かっているのでただの冗談だ。


「一つだけでいいわ。……そうね。皆と話し合いたいから結論を出すのは後でもよくて?」


『勿論です。それよりも……』


「えぇ。清花、もういいわ。茶番はここまでにしましょう」


「茶番って」


「最初から決まっていた事をただなぞるだけの作業を茶番と呼ばずに何と呼ぶのよ」


 つまり僕たちのこの行動もまた未来視の中で映った結果に過ぎないと。

 そう判断するだけのことが咲夜の手にある資料にあるのかもしれない。

 退魔師協会の情報網で僕たちが土地を欲しがっていることを知っていることも踏まえるとその線は濃厚と言えるだろう。

 結界の効果から外れた岩蔵さんは軽く息を整えてから話し出す。


『後処理にいま暫くお時間を貰ってもよろしいですか?」


「それはいいけれど、確か罪を犯して逃走した退魔師を捕まえれば報奨金が出るって話だけどご存じ?」


『勿論です。その金額は退魔師協会が設定したものですから。”偶然”にもこの場所に集まった犯罪者をこれ程見事に捕まえて頂き誠に感謝しております。報奨金については文字通りそのまま全額お支払いしますよ。何せ偶然襲い掛かってきた者たちを撃退したのは清花様のお力ですからね』


「そうね。"偶然"ではあるけれど結果としては悪くはなかったんじゃないかしら」

 

 二人ともやけに偶然の部分に関しては強調して話している印象だ。

 向こうとしては占いでこの出来事を知っていたのではなくただの偶発的事故だということにしたいらしい。

 それを咲夜はこちらもあえて偶然と返すことで分かっているぞと伝えるのと同時に恩を売っているのだろうと思う。


『ではまた後程、作業が終わり次第ご連絡します。……それと結界については捕縛作業が完了した後に解いて頂けると助かります』


 そう言って岩蔵さんは車を離れたみたいだ。車の戸が開くと同時に張り上げた指示の声がこちらにまで聞こえてきた。

 と思ったら、なぜかまた声が聞こえてきて。


『……すみませんが、道元様も解放して頂いても宜しいでしょうか?』


「あぁ、そういえば居たわね。存在感が無さ過ぎて清花に指示を出すのを忘れていたわ」


 嘘である。あの人の強烈な存在感を忘れる訳がない。

 これが僕が動くのを待って何もしなかったあの人に対する当てつけであることは岩蔵さんも理解しているはず。しかし共謀者として美緒さんに指示を出すことをしなかったので庇うことは出来ない。


「間違えて清花の術の効果範囲に入ってしまったようね。あの時は私たちを狙う悪漢たちが大勢でここを取り囲んでいるのを見て清花も冷静さを失ってしまっていたの。許して……下さるわよね?」


 岩蔵さんの傍にいる美緒さんを視ている咲夜は冷たくそう言い放った。

 特級退魔師に対してやっていい態度ではない気はするけれど、この結界の中で咲夜に対して敵意を抱こうものならすぐに結界の効果が適用されて無力化されるだろう。それを見越してやっているので質が悪いというか。

 しかして、挑発的な物言いをされた魅緒さんは応じずに冷静に答えていた。


『許すも何も間違えただけだろう。間違いは誰にでもあるものさね。強いて言うなら久々に地面の感触を味わって懐かしいと感傷に浸っているところだ。私としてはもう少しこのままでいいんだがね』


『特級退魔師がこのままでは沽券に関わります』


『こうして無様に寝そべっている時点で威厳もへったくれもないと思うけどね』


 僕としては結界の影響下にあるにも関わらず、体は動かせずとも平然とお喋りをしているのは驚きだ。

 本当に自由にしていいものか悩むところだけど悪意は隠そうとして隠せるものではないので問題はそうないはずと自分に言い聞かせる。

 術の効果範囲から外れて体を動かせるようになった美緒さんは身体のあちこちを確かめていた。


『……おぉ。本当に効果対象を自由に決められるのだな。力の扱い方が上手くなってきたんじゃないか?』


 この人からは、本当に僕を甘やかすような意識しか感じない。

 今抱いているのも倉橋さんからの課題を終え、褒められている時のような感情だ。


「……恐縮です」


『しなくていい。それよりも私は感心をしているんだ。まさかその齢で私を完全に無力化出来る術を持つ術師が生まれるとはな。好奇心ゆえ無抵抗に術を受けてみたが、これでは万全であっても危ういな。うむ、うむ』


 特級退魔師の割にやけにあっさりと無力化されたなと思っていたらそんなことを考えていたらしい。

 すると唐突に、機会に乗って「そうだ」と声が聞こえてきた。

 

『これは是非とも私のひ孫の嫁に────』

「余計なお世話よ」

 

 ブツッという音を立ててそこで通信が途切れた。

 どうやら通信装置の起動の仕方を見て学んだらしい咲夜が会話途中で切ったみたいだ。

 

「全く……どいつもこいつもそればっかりね」


「と、特級の会話をブチ切るなんて咲夜さんは怖い物知らずですね」


「普通はしないけれど、今のは孫の結婚相手を斡旋してくるお節介なアレだったでしょ。なら無視が何よりの正解よ」


「確かに? ……いやいや! 流石にマズいですって!」


「現に怒ってないからいいのよ。あれでね」


 退魔師として生活していると"そういう話"は常に付きまとうもの。冬香も最近は結婚話が話題に上がることがあって大変だと愚痴っていたし他人事ではないらしく、少し苦々しい顔をしている。


「他人事のような顔をしているけれど、この中で……というより今の日本で一番多く求婚されてるのは貴方だからね」


「うっ」


 他の事を考えて忘れようとしていたのに。

 このままこの場にいると冬香からも弄られそうなので逃げるとしよう。


「また外の様子を見て来るよ。どれくらいで出発出来るか気になるしさ」


「それなら丁度いいから、二度と歯向かわないように犯罪者たちのお尻を蹴り上げて来なさい」


「まだやる気があるならそうするよ」


 気まずい話題から逃れつつ外に行くと、そこでは実に沢山の人たちが腕や脚を拘束されながら地面に寝転がされていた。

 一級や二級ほどの力の持ち主たちが何も為せないままに無力化されているのを直に見ると、やはり狙われるだけの理由が自分にあるのだなと感じる。力関係に相互作用がある訳でもなく、ただただ一方的に蹂躙出来る関係性ならばこうなるのも半ば必然か。


「これは清花様。こちらに何か用事がおありですか?」


 車から出たところですぐに僕に気付いたらしい岩蔵さんが指示も早々にこちらにやって来る。

 魅緒さんも気付いてはいるようだけど、どうやら犯罪退魔師の対処に忙しいようだ。

 

「あとどれくらいで終わりそうのかを確認しに来ました。今はこの人たちを護送する人を待っているんですよね?」


「はい。これだけの数となると別の車も必要ですし、封魔術師の派遣にも今少し時間が必要になりますので」


「封魔術師ですか。あまり聞かない名前ですね」


「魔の者を封印することに特化した術師ですから。殲滅が主目的になる退魔師とは運用が異なるのであまり聞き馴染みのないのも自然なことかと。ですがこういう時には何よりも頼りになる方たちですよ」


「そうなんですね。ちょっと見ていたいので見学していてもいいですか?」


「構いませんよ。……ただ、別段見ていて面白いものではないですが」


「浄化の力でも似たようなことが出来ないかの参考にしたいだけなので。面白いかどうかというよりただの勉強ですね」


「そういう意味では……いえ、清花様がいいのならどうぞお好きになさって下さい」


 許可も貰ったので今し方到着したらしいその封魔術師を見てみる。

 その人たちは僕の方を見て驚いた顔をしながらも仕事に専念していく。

 原理としては以前に天王寺家で見た命ちゃんのお兄さんと似たようなものだろう。

 相手の霊力の源を術で無理やり封じ込めて霊力そのものを使えなくさせるというもの。

 一級相当の相手の霊力を無理やり押さえつけるのは骨が折れるはずだけど、そこは熟練の術師といったところか。

 とはいえ、流石に数が多過ぎるから時間が掛かるかと思いきや。


「あれ? やけに抵抗しないな」


「そっちもか? こうもすんなり行くと逆に不気味だが」


 術師同士が何やら相談をしているようで、他にも疑問を抱いたらしい封魔術師たちが集まってくる。

 そして数分の議論の後、一人が代表して僕のところへやって来た。


「この結界を張っているのは貴方で間違いありませんか?」


「はい。涅槃浄界といって相手の戦意や反抗心といったものを強制的にゼロにさせるものです」


「なるほど。奴らは抵抗しないのではなく出来ないのですね。……そういうことだ! お前たちは仕事に戻れ!」


 つまりそうなのだろう。図らずとも術師たちの手伝いをすることになっていたようだ。

 号令を掛けられた術士たちはそれぞれに封印の術を掛けに行く。

 目の前の人はそうして命令をする立場の人らしく、にこやかな笑顔で一礼をした。


「いやはや、ありがとうございます。お陰様で仕事が捗りますよ」


「いえ、邪魔になってないといいのですが」


「そんなとんでもない。これだけの数ですからね。万が一がないように念入りにする為にもこの結界は有難い限りですとも」


「それは良かったです。これは出来ればでいいんですが、後学の為にお仕事の様子を拝見させて頂いても宜しいですか?」


「えぇ、勿論構いませんとも。寧ろこちらからお願いしたいくらいですよ。——聞いたなお前ら! 手ぇ抜くんじゃねぇぞ!」


 喝を入れるような声に男性たちの声が重なって響く。中には女性の術師もいるようだけど、その人はやれやれといった様子で肩を竦めていた。このノリというか、雰囲気は学校に近しいものを感じた。

 それから彼らの仕事振りに感心しながら見回っていたらあっという間に作業を完了したらしい。

 本来なら死に物狂いで抵抗をされていたところを呆気ないほど簡単に制圧出来たから再度お礼を言われてしまったくらいだ。

 報告によると警察の方達も狙撃犯を捕まえたようだし、何はともあれこれで気兼ねなく前に進めるというものだろう。




※今話における敵陣営の考え方

・義賊(頭目除いて四〜五人程度、他は連れて来ていないか既に捕まっている)

 全面戦争になると弱い退魔師が死に、巻き込まれて一般人も大勢死ぬ。それだけは阻止したい

 なお清花がいない場合の未来については考えないものとする

・重犯罪退魔師(残り全員)

 退魔師が勝とうが妖怪が勝とうがどっちでもいいが、清花がいる状態で退魔師側が勝つと自分たちの活動が難しくなるので清花だけは生かしておくことは出来ない。その結果として妖怪の世になっても自分たちは上手く生き残る謎の自信がある

・妖怪

 勝手に人類側の戦力減らしてありがとう

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