三話-3 視界共有の霊具作り
霊具作りをする人についてはやはり龍健さんで決まったらしく、翌日には彼と彼を補助をする人たちがここへやって来ることになった。
話によればやけに会話が途切れた時間があったとか。聞き取れた内容から龍健さんではなく自分を推せという声がいくつか聞こえたらしい。僕と天王寺家が関わる霊具となれば退魔師や一般人問わず関心も高くなるのでそこで貢献を出来れば霊具師としての腕の喧伝にもなるのだとか。
それでも龍健さんに決まったのはやはり祖父の前園鷹一の声が大きいのだろう。
もしも龍健さんが失礼なことをした場合は即刻追い出していい旨の言質もとれたとのことで命ちゃんとしても安心出来ただろう。
「そういうことだから嫌だったらちゃんと言うんだよ?」
「さっきもだけど、こうしているだけで幸福度が蓄積されていってるから多少のことは笑って洗い流せるから平気だよ〜」
「また変なことを言ってる……」
他ならぬ命ちゃんからの(熱烈な)要望といういうことで一緒にお風呂へ入り、何故か咲夜たちともやったことのない体の洗いっこなどをやることになった訳だけど、姉妹のようなことをしてみたかったと言われては強くは断れず。
今は僕の膝の上に乗って同級生の女の子たちに見せた雑誌に掲載されなかったところを一緒に見ているところだ。
本当の姉妹がこうなのかは分からないのでこの距離感が正しいのか不明だけど。
「そう言えば聞きたかったことがあるんだけどね、清花様が戦い始めた経緯ってやっぱり咲夜様が理由なの?」
「その前にまず質問させて欲しいんだけど、やっぱりってどういうこと?」
「んと、そうネット上で噂されてるんだ。確かその噂がされたのは清花様が咲夜様の所で暮らし始めた当初のことだったらしいんだけど、それが雑誌の件でもっと有名になったことで話題が掘り起こされたっていうのを、最近になって私が知ったって感じ」
「へぇ、そんな前にもう予想されてた事なんだ。鋭い、と言っても少し事情を知っていれば予測しやすいか」
「そ、それはつまり……噂はその通りということなの⁉︎」
「うん。どういう噂か詳細は知らないけど、僕がここに来たのは困っていた咲夜の助けになる為っていうのは本当のことだよ」
話の順序や詳細には多かれ少なかれ差異はあるものの、咲夜から手伝って欲しいと頼まれてやって来たことには違いはない。
まさかあの時期から僕達の事情を推察していた人がいたことは驚きだったけども、それだけこの地域の行末について、そして僕のことについて関心を寄せていた人がいたという事だろう。自分たちの生活に関係しているとなればそれもそのはずか。
それにもう使う人がいなくなったと思われていた浄化の水の力を扱う人が現れたのなら、それは気になる人も出てくるのも納得ではある。だからなるべくしてそうなったのだと思われる。
「はぇ……清花様って、本当に清花様なんだね」
「さっきも似たようなこと言ってたけど、僕っていう名詞がどういう意味で使われているのか気になるな」
聞くと命ちゃんは愛想笑いをしながら目線を泳がせる。
答えにくい質問ではないはずだけど、どうやら答える気はないらしい。
「じゃあさ、僕ってネットではどんな風に言われているの?」
咲夜もネットで色々と調べたりしてくれてはいるものの、僕に情報を伝える時はいい意味でも悪い意味でもかなり言葉を選んでいる。ネットの知識が豊富そうな命ちゃんがどんな情報を持っているかは気になるところだ。
「えっと、浄化の力を持つ人たちが清く正しい心を持っているっていうのは清花様の登場以降で結構広く知られてて。だけど、内心では本当にそうなのかと疑問に思う人もいて、中には法外な治療費を請求されるからって守銭奴って揶揄する人もいるんだ」
今回の命ちゃんたちの件でも相当金額が大きかったし、守銭奴という意見も強ち間違いでもない。
もし僕が治療を広く行うのなら階級に応じて金額を変動させるのが良いのかもしれない。
「そんな中でまだ学生くらいの女の子なのに一人きりでも友人の為にならどんな妖怪とも戦うっていう話は美談以外の何者でもないでしょ? だから世間の人たちも凄く関心を持っているんだと思う」
「なるほどね。確かに綺麗な言葉だけ並べたら確かにそう見えるのかもね。でも、咲夜を助ける為だけに来た訳でもないんだよ。相互の利益ってやつかな」
「それにしては清花様に旨みが少ないような気がしますけど。どんな対価だとしても釣り合っていない気がするような……」
「ははっ、別に対価とかそんなじゃないよ。咲夜は僕の助けが必要で、僕は誰かの助けになりたかった。もっと言えばこの力で色んな人を助ける機会が欲しかったんだ。だからある意味では僕にとって渡りに船でも合ったんだよ。ただそれだけのことなんだ」
「こ、この人は……っ」
あの頃は今のような状況まで予想は出来てはいなかった。僕は妖怪を倒すことだけの為の訓練に全てを費やしていたし、咲夜だって僕についてのことで周囲への対応に追われるばかりで一杯一杯だった。
今は僕が力を示したことで咲夜が多少強硬な姿勢を取っても問題がなくなり、相手をするのが面倒だと思った場合には相手をしなくても良くなった。それだけで負担は大きく減ったろう。
僕もこうして命ちゃんやこれから来るだろう龍健さんの力を借りてもっと多くの人を助けられるようになるかもしれないことに手が掛かった。当初思い描いていた未来予想図とは違っていたとしても、何も後悔はない。
「……命ちゃん? そんなに俯いたりしてどうしたの?」
「……うぅ、そんな無邪気な顔で言われたら信じるしかないよー! というか何で噂よりも良い話になってるのーっ⁉︎」
膝に載っていた命ちゃんは反転して僕に強く抱き着きながら叫んでいた。
どうやら感極まったらしく、少し鼻声である。
「別に美談とかじゃないよ? 無償でやってる訳じゃないし、他の退魔師の人だって同じようにしているんだからさ」
「それでもだよぉ……。私だったら無理だもん」
「戦える力とそうじゃない力とかあるからね。天王寺家の術は特にそうじゃないかな?」
「それを言ったら浄化の力だってそうだよ!」
「ところが僕には戦えるだけの素養と力があった。それだけの話だよ。他の浄化使いの人だって同じくらいの霊力があったら直接戦っていたかもしれないし」
例えば土地に干渉する浄化の力があるという。もし地面を思うがままに操れるのであれば強力だろうと思う。
しかしそのもしもを命ちゃんは真顔でバッサリと斬った。
「いや、それはないよ。だって後方支援でいい力ならその方がいいもん。私だったら退魔師なんだから戦えって言われたら嫌だし。知り合いの退魔師の女の子だって清花様に憧れはしても同じように戦おうなんて思う人は少ないのが現実だし」
「それでいいんだと思うよ。そういう人を守る為に退魔師がいるんだからさ」
「それはちょっと違うような……。何だか清花様って、少し浮世離れしているところがあるよね」
「えっ。……まぁ、うん。そうだね。でも退魔師って大なり小なりそういうものでしょ」
「確かにそうなんだけど、何というか清花様の場合は更に特殊というか……何というか、女の子らしくない感じがする」
「女の子らしく、ない……?」
その言葉は簡単に流すことは出来ない問題だ。その意識が表に出てしまったのか、命ちゃんは少し顔を強張らせてしまった。
「あぁいや! 清花様が可愛くないとかそういう意味じゃないんですよ⁉︎ ただ、今の世の中の人を大別すると守る側と守られる側じゃないですか⁉︎ その枠組みの中で女の子は守られる側として育てられてきたはずなのに、清花様には守る側としての意識が根強いんだなって思って! そ、そういう意味で女の子らしくないと言いますか。……その、怒ってますか?」
慌てながらもきちんと言葉にして説明をしてくれたのは凄くありがたい。そしてその内容に関しては僕では否定しきれない部分で、だからこそ納得するしかない。
「少し驚いただけで、別にそのくらいでは怒らないよ。ただその言葉には考えさせられるところがあっただけなんだ。確かにその視点で言うと僕は女の子らしくないかもしれないね」
「か、勘違いしないで下さいね⁉︎ 清花様に魅力がないとかそういう話じゃないので!」
「分かってるって。僕ももっと女性らしさを磨かないとなって思ってるし、そこまで気にしてないよ」
「えっ? もっと、磨かない……と? な、何を?」
「命ちゃんの言う女らしさとは別方向だけど、今でもそういう教育をしてくれている人からは指摘されることばかりなんだ。淑女教育の道はまだまだ長いっていつもいつも思い知るばかりでさ」
今までは十段階の中で四段階くらいのところで及第点と許されていたところ、注目度が上がるにつれて及第点の値も高くなってしまった。今では七か八段階辺りを目標にしていると倉橋さんからは言われているほどだ。基礎自体は出来上がっているので、これからは作法などの知識を入れて実践し体に教え込むと息巻いている。
僕としては山をようやく登ったと思ったら向こう側の景色に更に高い山があったようなものだった。
「清花様はどこまで進化するおつもりで?」
「進化は少し違うような気がするけど。ただ知識や経験が増えるだけだよ?」
「だって! ただでさえ清楚美人な清花様が更に女性らしさを磨いたりしたらどうなるか! 分かりますか⁉︎」
「どうなるの……?」
「物凄いことになりますよ!」
つまりどういうことなのだろうか。
しかし迫真の様子で断言する命ちゃんの姿にそんなことはないと言い切ることは出来なかった。
世間一般の人たちに対してはまだ見せていない姿と、そう言っていいのかは定かではないけど、あの会合用に練習した言葉遣いや姿勢は多くの人には知れ渡ってはいない。ということは命ちゃんもまだ知らないはず。
ここは物は試しということで、膝に乗った命ちゃんを一旦横に置いて。
「つまり、こういうことでしょうか? 少しは印象が変わりましたか?」
「————————」
教わった通りの淑女然とした仕草。そして雰囲気も変える。
この仕草にももう随分と慣れてしまった自分がいた。少し意識を切り替えればあの時と同じ、いやアレからも教育され続けてきたことによって更に洗練された仕草を身に付けていた。倉橋さん曰く、少しやり過ぎたとかなんとか。
本当の僕からはかけ離れた印象を与えるはずだけど、どうもこの見た目としてはこの仕草の方が見た目の印象と合致するらしい。
どうにも解せないけど、この仕草を見た全員がそう言うのだから間違いないのだろうと思う。
他ならぬ僕だってそう感じたのだから、他の人が強くそう思ってしまっても仕方のないことだ。
「教育の一環でこのようなことも覚えたんですよ。命ちゃんから見てこれはどうですか? さっき言っていた物凄いことというのは起こりそうですか?」
ここは堅苦しい場でもないし年下の子ということで新鮮な意見が聞けるかもしれない。
そう思ったのだけれど、命ちゃんは口を開いたまま固まっていた。
「…………お」
「お?」
直後に物凄い勢いで両手を握られた。
「お姉様って呼んでもいいですか?」
頰を赤らめて心拍数を上げて明らかに興奮した様子を見せている。
何というか、今日一日で感じていた彼女に対する違和感はこれだったのだと今察した。
ただこの違和感の名前についてよく知らない。何と称するべきなのだろうか。
ともあれ、このままでは何をしでかすか分からないので雰囲気を元のものに戻すことにした。
「ちょっと落ち着こうか」
「あいたっ」
悪い気はどっか行けと軽く頭を叩いてやると命ちゃんも正気を取り戻したのか、別の意味で顔を真っ赤に染め上げていた。
もしかしたら長い間お兄さんが意識不明の状態にあったせいかもしれない。そのせいで歳の近い兄や姉を求めているのだろうと解釈した。
「あ、あの……その……」
「ごめんね。僕は君のお兄さんと結婚は出来ない。だから姉妹にはなれないよ」
「あっ、そういう……い、いえ! 何でもありません! 分かりました。その意味でのお姉様は諦めます」
「その意味での……?」
「何でもありません。どうぞお気になさらず」
どうやら僕の認識と齟齬があったみたいだけど、そうではないなら何なのだろうか。
気にしてもあまりいいことではなさそうなので聞かないことにするけども。
この夜は命ちゃんの怪しい気配を感じながらも特に何もしては来なかったのでそのまま一緒に寝ることにした。
就寝時にやけに密着してきたのは人恋しいのだろうと勝手に解釈をしておいて。
そうして命ちゃんの保護を名目とした一夜は過ぎ、僕達の下へは大荷物を抱えた集団がやって来ていた。
「おはようございます。お久しぶりですね。清花さん、咲夜さん、そして天王寺命さん」
恭しく礼をしたのは近い内の再会となった龍健さんだ。
その後ろでは彼以上に深く頭を下げる黒服の大人の男性たちがズラリと並ぶ。
彼らは全員が手荷物に背嚢を背負い、実に重たそうな格好をしている。
龍健さんと会うのは清光として一回、清花としてはこれで二度目となる。一回目の時と同様に側には咲夜がいるけれど、彼の態度はかつての不遜なものではなくて。
「この度は御二方の偉業に心よりお祝い申し上げます。清花さんの雨……浄罪という術については九尾の狐襲来の報告書を読んでその有用さは心得ているつもりです。そのお力がより広範囲に用いられれば多くの人の助けになる一助となることはいち退魔師として誠に光栄の極み。……さて、再会に際してですが、まずは前回の非礼をお詫びさせて下さい」
このお詫びというのは咲夜や命ちゃんに向けてのものだろう。
何故そのことを彼が謝罪するのか。それは遠距離に向けて浄罪を行使する方法では二人の協力は必要不可欠だからだ。
例え戦う為の力がなかったとしても、それは役に立たないことと同義ではないのだと彼は思い知ったのだろう。
「頭を上げて頂戴」
深く頭を下げる彼に対して咲夜の声は淡々としたものだった。
「謝罪は結構よ。あの時点では私は退魔師として役に立つ存在ではなかったことは確かだもの。それでも謝罪をしたいというのなら、この依頼を見事成功して見せて。私からの要求は以上よ」
「……必ずや。前園の名に懸けて誓いましょう」
「意気込みは結構なことだけど、兄弟の中でも若手の貴方に任せても本当に大丈夫なの?」
「ご懸念はご尤もですが、こと霊具作りであれば兄弟の中では私が一番だという自負はあるつもりです」
咲夜の言い方は彼を怒らせるのではないかと心配したけれど、どうやら龍健さんは心の持ち様を本当に変えたらしい。あくまでも丁寧に、それこそ僕と同等の扱いをしていると感じた。少なくとも本気で彼を怒らせるようなことをしない限りは彼は今の対応を変えることはないだろうことは分かった。
咲夜もそれは理解したらしい。特に反応を返すでもなく、あくまで仕事上の関係だとでもいうように態度は変えないみたいだ。
「では早速だけどその手腕を発揮してもらいましょうか。それだけの大荷物なら広さは必要でしょう。場所は修練場でも構わなくて?」
「お気遣い痛み入ります。……それから、アレを持って来なさい」
「了解致しました。すぐにお持ちします」
龍健さんが後ろにいた黒服の人たちに合図を送る。すると厳重な箱に入った何かが台車に乗ってやって来る。
やけに堅い外装に守られた何かのようだ。硝子でも運ぶかのように慎重に扱われているところを見るに大事な物のようだけれども。
「これは何ですか?」
「これも前園家で制作された霊具の器です。他の物と違いあまり粗雑には扱えない代物なので念の為に持ち運びには注意しています」
彼の説明に咲夜が僕の方を見る。何か怪しい物ではないかの確認だ。
問題がないことを首肯して伝えると龍健さんの方と向かい合った。
「理解したわ。それ程大事なものなら落とさないように注意して頂戴。敷地内で壊されても弁償しかねるわ」
「勿論です。落下防止の為の措置は幾つも講じているのでご安心下さい」
見れば丈夫そうな紐で縛られているし、箱自体も装置のような何かが取り付けられている。
それほど大切に扱わなければいけないような霊具の器となる物を持ってきたというだけでも前園家の力の入れようは手に取るように感じる。僕達のやろうとしていることを知っていて、その為に必要な物を持ってきたのだというのは考え過ぎではないだろう。
あの文奈さんや彼女の生家である弓削家ならここまで見通していてもおかしくはないからだ。
「命ちゃん、大丈夫そう?」
前を歩く咲夜たちとは少し離れた位置で、声が聞こえないくらいの声量で問う。
彼が来てから声一つ出さなかったのでもしかするとと思ったけれど…………どうやら違うらしい。
「命ちゃん?」
「すんすん……あっ、いえ何でもありません。私は全然平気です。はい」
「? 分かった。何かあったら言ってね」
何やら匂いを嗅いでいた様子だけど、どこか臭うところでもあったのだろうか。
様子を見るに何でもないのならと気にしないでおく。とりあえずは命ちゃんが龍健さんに気後れしていそうな気配はないので今のところは大丈夫と見ていいか。これなら霊具作りに特に影響はなさそうだ。
先を歩いて行った咲夜たちを追いかけるように僕達も歩き出す。
修練場に着くと、先に着いていた黒服の人たちが荷物を下ろしてテキパキと床に広げていっている。
見た所だと霊具の器以外にも何かしらに使うのだろう霊具や機械類があるように見える。
「それらも霊具作りに使うんですか?」
聞くと龍健さんは柔和な笑みをこちらに向ける。
「そうですよ。こちらは霊力量の数値を測る機械に、こちらは圧力を、それから性質や波長などを測る物もあります」
「そうなんですね。触らないようにするので見てもいいですか?」
「おや、霊具制作にご興味が?」
「知識欲としてですが。今は作るとしても精々が使い捨てになってしまうので器が勿体なくて。知識があればもっと良い物が作れるのかなと思うのですが」
少し聞いただけでよく分からないような機器を使用しているみたいだし、本格的に学ぶとなるとどこかに弟子入りでもしなければいけなくなりそうだ。そうなると流石に色々と面倒事が多すぎる。最悪は嫁に来いだとか言われそうだ。
そうなるとやはり専門家に制作を頼むというのが一番簡単かつしがらみも少ないことになる。
それはそれで高く付くのが問題だと咲夜は言っていたけど。
「使い捨ても馬鹿には出来ないですけどね。我が家でも使い捨ての器は多数制作していますし」
「霊具師としては使い捨てに良い思いを持っていないのではと思っていましたが違うんですか?」
「完璧を追い求め物を制作する側としてはそれを否定しませんが、投擲道具などは使い捨ての方が有用な場面もありますからね」
それにと龍健さんは付け加える。
「基本的には再利用出来た方が効率は良いですが、それだけを作っていても霊具師の売り上げには繋がらないのですよ。売上としては使い捨ての霊具も馬鹿にできない割合ですから。……おっと、これはここだけの話ですよ?」
繰り返し使える物となると霊力の補充だけで済む場合が多いからこその言葉なのだろう。
確かにそれなら器の用意も術を刻むのも自前でやってる使い捨ての方が高くなり、収益も上がるというものか。
「興味を持ってもらえたのは霊具師冥利に尽きますが、最初に全て説明するよりも準備を進めながら必要なことを話していく方が分かり易いかもしれません。用意ももうすぐ完了すると思うので今暫くお待ち下さい」
「分かりました。邪魔にならない程度に見させて貰います」
自分の知らない器具が置かれていく光景に好奇心を抑えきれず、命ちゃんも伴って少し見て回ることにした。




