第7部 第1話「竜騎士の告白」
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建国プロジェクト:状況報告
第7部・死滅編 第1話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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状況 :生命の精霊アポロン誕生の翌朝
渓谷に静けさが戻っている
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渓谷全体に静けさが戻っていた。
生命の精霊アポロンが誕生した余韻が残っていた。
住民たちが空を見上げていた。
昨夜の光が夢だったのかと思うほど穏やかな朝だった。
しかし鹿人コダが朝から落ち着かない様子だった。
コダ:「精霊の気配がなにかおかしい。
アポロンが何かを感じている」
アポロンが渓谷の上空で落ち着かなく動いていた。
イツムナの解読完了
蜥蜴の獣人イツムナが全員を呼んだ。
イツムナ:「神代の文字の解読が終わりました。
全部読めました。
ただ……とても恐ろしい内容です」
全員が集まった。
イツムナが読み上げた。
「生命と死滅は常に対となる。
一方が生まれればもう一方が目覚める。
それが世界の理。
生命の精霊が誕生した時、死滅の精霊が活性化する。
死者の世界ゲヘナに眠る軍団が力を取り戻す。
竜の番人がいなければ扉は開かれる。
備えよ」
全員が静まった。
リュカ:「ゲヘナ?」
ミネルヴェ:「死者の世界。
古い文献に名前だけ出てくるさね。
実態は不明だった」
竜人カイ・ラガンだけが別の反応をしていた。
俯いていた。
誰も見たことのない表情だった。
信:「カイ・ラガン」
カイ・ラガンの告白
カイ・ラガンが顔を上げた。
カイ・ラガン:「どうやら今が話す時のようだ。
全員、聞いてくれ」
全員が静まった。
カイ・ラガン:「ワシは次元竜種。
この次元竜が死ぬたびに、次元に亀裂が生まれる。
その亀裂からゲヘナがこの世に滲み出てくる」
信:「竜が死ぬと?」
カイ・ラガン:「神代の時代、次元竜族が大量に死んだ時
次元に無数の亀裂が生まれた。
ゲヘナから死霊が溢れ出した。
竜の国が壊滅した。
国民のほとんどが死んだ。
それ以来、滅亡を防ぐために竜騎士団が組織された。
使命はただ一つ。
ゲヘナに踏み込み死霊と戦い続けること。
竜騎士たちは世代を超えてゲヘナで戦い続けてきた。
太古からずっと」
誰も何も言わなかった。
カイ・ラガン:「しかし竜族は減り続けた。
竜騎士団も縮小していった。
そして俺が最後の一匹になった。
一人でゲヘナを抑えるのは限界に近かった。
それでも続けるしかなかった。
竜騎士の使命だったから」
信:「いつから一人だったんですか」
カイ・ラガン:「もう思い出せんよ」
それだけ言った。
長い、という言葉がその年月の重さを全て含んでいた。
ローフェン:「ずっと一人で」
カイ・ラガン:「そして生命の精霊が生まれた。
アポロンが誕生した。
昨夜の光はこの国にとって最高の夜だった。
しかし同時にタナトスが目覚める夜でもあった。
タナトスが活性化すればゲヘナの死霊たちも力を取り戻す。
俺の老いぼれた力ではもう抑えることなどできはしない」
全員が静まった。
アポロンが渓谷の上空で激しく動いていた。
ゲヘナの説明
梟人ミネルヴェがカイ・ラガンに問いかけた。
ミネルヴェ:「ゲヘナとは何だ。
正確に話してくれ」
カイ・ラガン:「死霊が存在する世界だ。
一部は別次元。
一部はアストラルサイド。
一部は次元の狭間。
一つの概念では説明できない存在自体が揺らいでいる複合的な存在だ。
この世とゲヘナは完全に切り離されてはいない。
次元の境界が薄い場所では相互に干渉できる。
竜が死ぬとその場所に亀裂が生まれ死霊が滲み出てくる」
鹿人ソラ:「地図に載せられる場所じゃない」
カイ・ラガン:「そうだ。
しかし踏み込むことはできる。
竜騎士はそうしてきた」
コダ:「どんな世界ですか。中は」
カイ・ラガン:「暗い。
光が違う。明かりはあるが、太陽はない。
時間の流れが違う。
死霊が七つの勢力に分かれてそれぞれの国を持っている。
国といっても我々が考える国の形とは違う。
同じ性質、思想、起源を持つ死霊たちの集まりだ」
七つの勢力が説明された。
カイ・ラガン:「タナトスの直轄が最深部を支配している。
レイスとスペクターが統率する。
中間部には
スケルトンの荒野、
ワイトの城砦、
ファントムの記憶宮殿、
ネクロマンサーの塔。
外縁部には
幽霊の霧の街と
呪霊の沼がある。
どの勢力にも属さないシャドウの回廊も存在する」
信:「全員がタナトスに従っているわけじゃないですよね」
カイ・ラガン:「ああ、タナトスの命令に従いたくない者もいる。
しかし逆らえない。
それがゲヘナの現状だ」
北からの報告
鴉人シルトの情報網が反応した。
シルト:「北の辺境から報告が来ています。
骸骨の影が複数、夜の森を歩いていたと。
今朝から数が増えています」
全員が緊張した。
カイ・ラガン:「始まった。
ゲヘナの扉に亀裂が生まれている。
死霊が漏れ出し始めた」
信:「どのくらいの時間がありますか」
カイ・ラガン:「わからんな。
タナトスの力次第だ。
しかし早くはないが遅くもない」
信の整理
信が全員を見た。
信:「整理します。
ゲヘナから死霊が来る。
これはケイオスやタルタロスとは全く別の脅威だ。
死霊は七つの勢力があって全員がタナトスの意思に従っているわけじゃない。
つまり戦い方が一つじゃない。
俺たちには二つの戦線が必要だ」
ミネルヴェ:「この世での防衛と」
信:「ゲヘナへの遠征。
源泉を断たなければ死霊は増え続ける。
両方同時に進める」
狼人ロガ:「ゲヘナに踏み込むとは生きた者が
死者の世界に入るということか」
カイ・ラガン:「竜騎士の術で生命力を保護すれば踏み込める。
しかし危険は伴う」
狼人ローフェン:「行く」
信:「わかっています。
しかし今日すぐではない。
準備がいる。
全員の役割を決める。
一つずつ進めます」
アポロンの反応
信が話し終えた後だった。
アポロンが渓谷に降りてきた。
全員の前に現れた。
コダが感じた。
コダ:「アポロンが言っています。
守る、と。
この国を。
みんなを」
リュカが手を伸ばした。
アポロンが触れた。
渓谷全体が少し温かくなった。
カイ・ラガンがアポロンを見た。
カイ・ラガン:「生命の精霊がこの国にいる。
俺が一人だった時とは違う。
今回は一人じゃない」
信が頷いた。
信:「一人じゃない。全員でやるんだ」
夜の渓谷
夜だった。
カイ・ラガンが一人で渓谷を見ていた。
コダが近づいた。
コダ:「となり良いですか?」
カイ・ラガン:「ああ」
コダはカイ・ラガンのとなりに腰をかける。
コダ:「これからは俺たちも一緒にいます。
この国でくらすなら全員仲間ですから」
カイ・ラガン:「お前は竜の使命はないんだぞ」
コダ:「関係ないです」
カイ・ラガンが少し笑った。
初めて見る笑い方だった。
信が遠くから見ていた。
信が手帳に書いた。
カイ・ラガンが 全てを話してくれた。 ずっと一人で 世界を抑えていた。 その重さを 今日初めて知った。 これからは一緒に背負う。 それが俺たちの答えだ。
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建国プロジェクト:状況報告
第7部・死滅編 第1話終了時点
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明かされた真実
竜が死ぬと次元に亀裂が生まれる
竜騎士団がゲヘナで戦い続けてきた
カイ・ラガンが最後の竜騎士だった
一人でゲヘナを抑えていた
ゲヘナの全容
死霊が存在する複合的な世界
七つの勢力がそれぞれ「国」を持つ
タナトスの直轄領が最深部を支配
現状
アポロンの誕生でタナトスが活性化
北の辺境で死霊が出始めた
ゲヘナの扉に亀裂が生まれている
イツムナの解読
「竜の番人がいなければ扉は開かれる」
「備えよ」という神代の警告
信の方針
この世での防衛
ゲヘナへの遠征
両方同時に進める
アポロンの誓い
「守る」とコダに伝えた
カイ・ラガンの変化
「今回は一人じゃない」
コダに笑いかけた
次のマイルストーン
→第2話:七つの派閥・死霊の軍団
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第7部 第1話 終了
次話:「七つの派閥」




