第6部 第15話「クロノスリュカ新聞・創刊三周年号」
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第15話開始時点
現在地:クロノスリュカ・編集室
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住民 :12万人超
種族 :43種
友好国:71カ国
状況 :新聞創刊三周年記念号・取材日
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鼠人アルラッテが取材メモを確認していた。
三年前の一周年号を読み返した。
一周年号:
住民:3万2千人
種族:27種
友好国:42カ国
三周年号:
住民:12万人超
種族:43種
友好国:71カ国
アルラッテ:「3年で4倍近くになった。
数字は嘘をつかない。これは信がいつも言っている事」
鼠人ランカが隣にいた。
ランカ:「それで先生、今日は何時間寝ましたか」
アルラッテ:「5時間」
ランカ:「本当ですか」
アルラッテ:「3時間かもしれない」
ランカ:「先生〜」
アルラッテ:「行くよ」
英雄の間
最初に英雄の間を訪れた。
第一回の7名の像が並んでいた。
その後に加わった像もあった。
情報の英雄:シルト
外交の英雄:ドミナス
経済の英雄:アルラッテ、バーナデット
文化の英雄:ラック
精霊の英雄:コダ
アルラッテが自分の像を見た。
アルラッテ:「まだ実感がない」
ランカ:「先生の像が一番険しい顔してます」
アルラッテ:「寝不足だったの」
英雄の間の片隅でニュー・ラスカルズが見学していた。
象の獣人メカラが像を見上げていた。
何かを決意した顔をしていた。
英雄の間の隅に小さな精霊がいる。誰かが像を見上げるたびに光る。憧れの精霊かもしれない。まだ名前はない。しかし確かにそこにいる。
ラック国立演芸場
昼公演の前だった。
モノマネ芸人の琴鳥人リラ、漫才師コンビのポロベロ、スタンドアップコメディの狐人ファロー、ジャグリングの川獺人クルル、火のマジシャン鳶人フレアが準備をしていた。
控室にはまだまだ多くの芸人が控えている。
狸人ラックにインタビューした。
ラック:「3年前は舞台が一つでした。
今では毎日3つの舞台が動いている。
さらに満席が続いています。
忙しくてくて嬉しい悲鳴ってやつですよ」
チンチラの獣人マスデが舞台袖で出番を待っていた。
全身で緊張を表現していた。
舞台の天井でゲロスが踊っている。今日も笑い声が溢れる予感がする。ゲロスにとってここは最高の場所だ。
アルラッテ国立競技場
次期大会の準備が始まっていた。
栗鼠人バーナデットが話した。
バーナデット:「来年の大会は参加国が倍になる予定なのです。
新記録が出るか楽しみなのです」
競技場の壁に大会の記録が刻まれていた。
河馬の獣人トゥエリスの記録。
鷲人アエトスの記録。
鳶人フレアの記録。
トゥエリスが練習していた。
メカラがそれを見ていた。
競技場の上空に速さの精霊と距離の精霊が並んで浮いている。選手が走るたびに二つの精霊が喜んで光る。
記事の束の中の異質な一枚
アルラッテが記事の束を整理していた。
各地からの投稿記事の中に一つ異質な記事があった。
投稿者:世界探求大学・北方遠征隊
「北の辺境にて奇妙な現象を目撃。
人の骨格に似た影が複数、夜の森を歩いていた。
接触を試みたが消えてしまった。
精霊の一種か、あるいは別の何かか。
引き続き調査を継続」
アルラッテが少し手を止めた。
アルラッテ:「骸骨?」
ランカ:「怖いですね」
アルラッテ:「記録しておこう。小さな欄で良いので掲載するよ。
今号は明るい話が多いけど、ちょっとこの件は引っかかる」
小さな記事として一面の端に載った。
ほとんどの住民が気にしなかった。
しかし信が読んだ時、手が止まった。
信:「骸骨か」
手帳に書き留めた。
竜人カイ・ラガンに連絡した。
カイ・ラガン:(懐中時計越しに)
「知っている場所だ。次元の境界が薄い場所に近い。
何かが起こっている可能性がある。注意が必要な件だろう」
二人の間に少しの沈黙があった。
信:「とにかく今は続報を待つだけかな」
カイ・ラガン:「それしかあるまい」
世界探求大学
鹿人ソラが最新の世界地図を広げていた。
ソラ:「3年前より地図が3倍になった。
でもまだ白い部分がある。それが楽しみだね」
海亀人カルタが海域の地図を更新していた。
カルタ:「海の果てまで描きます」
蜥蜴の獣人イツムナが神代の文字の解読を続けていた。
まだ終わっていなかった。
イツムナ:「もう少しです。
でも読めた部分が少し怖い内容で」
アルラッテ:「どんな内容ですか」
イツムナ:「まだ途中なので迂闊な事は言えません。ちゃんと解読が終わってからです」
図書館の本の精霊が今日も踊っている。ヘロンも来ている。新しいひらめきを嗅ぎつけているようだ。
ラギラブ農牧料理大学
収穫の季節だった。
学生たちが畑で実習していた。
兎人ラギラブが言った。
ラギラブ:「3年前より土が豊かになった。これは精霊デメテルのおかげだ」
デメテルが畑の上を漂っていた。
光の粒が作物を照らしていた。
農村の畑にデメテルがいる。今日も作物が育っている。デメテルの光が豊かさを照らしている。
クラグル医療大学
付属病院が賑わっていた。
羊人クラグルが言った。
クラグル:「3年前より患者数が増えた。
しかし重症者の割合が大幅に減りました。
これは公衆衛生の成果でしょう。
国民皆に言ってる事ですが、治ることは義務ですからね」
猫人パナシアが薬草の研究をしていた。
パナシア:「また新しい薬草が見つかったの。
効果は……まだ研究中なんだけどね」
クラグル:「どこで見つけたんですか」
パナシア:「山の奥ですけど」
クラグル:「また一人で行ったんですか」
パナシア:「学生も2人いました」
クラグル:「2人じゃ少ないです!」
パナシア:「次は5人連れていきます」
病院の廊下に白い精霊がいる。回復した命のそばにいつもいる精霊だ。まだ名前はない。
信へのインタビュー
夕暮れだった。
信が渓谷を歩いていた。
アルラッテ:「インタビューさせてください。
3年前と同じ質問をします。
この国の一番いいところは何ですか」
信が少し考えた。
信:「変わっていない。
住んでいる全員が主役だということですかね。
3年前も今もね」
アルラッテ:「帰りたいと思ったことはありますか」
信:「ズバッと聞いてくるね。
今はね、全く思わないよ。
ここにいたい。それだけだよ」
アルラッテ:「最後に。
この国は完成しましたか」
信が笑った。
信:「完成しない。
完成したらそれは終わりの時だよ。
まだまだ続く、この先もずっとね」
信の隣に小さな精霊がいる。別の世界の精霊の欠片だ。3年前より少し大きくなっていた。信がここにいたいと思うたびに大きくなる精霊だ。まだ名前はない。しかし確かにここにいる。
リュカへのインタビュー
夜だった。
時計塔の下で犬人女王リュカが空を見ていた。
3年前より少し大きくなっていた。
アルラッテ:「国王として一番嬉しいことは何ですか」
リュカ:「みんなが笑ってること。3年前から変わってないよ」
アルラッテ:「次にやりたいことは?」
リュカ:「もっとワクワクする楽しい国にすること。
これも3年前と同じだね。多分ずっと同じだと思う」
時計塔の鐘が鳴った。
光の精霊が塔を照らした。
生命の精霊の誕生
その夜だった。
渓谷全体に光が満ちた。
演芸場から笑い声が聞こえた。
農村から歌声が聞こえた。
競技場から歓声が聞こえた。
病院から回復した者の声が聞こえた。
子どもたちの声が聞こえた。
人間と獣人が笑い合う声が聞こえた。
全ての命が喜んでいた。
その瞬間だった。
渓谷の中心に光が集まってきた。
全ての精霊たちが同時に光り始めた。
炎の精霊。
信頼の精霊。
デメテル。
アストル。
アイリス。
テルミ。
ゲロス。
フォルトゥナ。
ヘロン。
アキラとハヤオ。
全ての精霊が集まってきた。
光が一点に集中した。
形になった。
人でも精霊でもなかった。
しかし全ての命の輝きを持つ存在が現れた。
鹿人コダが息を飲んだ。
コダ:「来た!」
ミネルヴェ:「生命の精霊」
生命の精霊が渓谷全体を満たした。
全ての住民が空を見上げた。
何かが生まれたと感じた。
言葉にできなかったが全員が感じていた。
生命の精霊が信とリュカの前に降りてきた。
リュカが手を伸ばした。
精霊が触れた。
リュカ:「温かい」
信:「ああ」
精霊が渓谷全体を巡り始めた。
全ての住民のそばを通った。
一人ずつのそばを。
老いた獣人の女性のそばを通った。
「空がこんなに広いとは知らなかった」と言った人のそばを。
獏人スティーパンと百舌鳥人シュオルトのそばを。
燕人ウィンのそばを通った時、歌声が一瞬大きくなった。
狼人ローフェンと狼人ロガの前で精霊が少し止まった。
二人が並んでいた。
二人が同時に空を見上げた。
全員のそばを巡り終えた後、精霊が夜空に上がった。
星と混じった。
消えなかった。
ただ、空に溶けていった。
コダ:「消えていない。
この国全体に宿ったんだ」
ミネルヴェ:「この国が生命の精霊の依代になった」
新聞の一面
翌朝、新聞が出た。
旋が国中に届けた。
住民が広げた。
読んだ。
クロノスリュカ新聞 創刊三周年記念号
住民数12万人超。
種族43種。
友好国71カ国。
昨夜、生命の精霊が現れた。
数字より大事なことがある。
この国の命は、輝いている。
アルラッテが一面を見た。
アルラッテ:「我ながらいい記事」
ランカ:「先生が書いた記事で一番いいと思います」
アルラッテ:「私もそう思うよ。ただ次はもっといい記事にするよ」
珍しく素直に頷いた。
信とリュカ・締め
信が手帳の最後のページを書いた。
生命の精霊が来た。 この国が呼んだんだ。 豊かさが呼んだんだ。 全員の命が呼んだんだ。 しかし、これで終わりじゃない。 次が来る気がする。 準備しながら前に進む。 それがこの国だ。
信が手帳を閉じた。
新しい手帳を開いた。
第一ページに書いた。
まだまだ続く。
リュカが隣に来た。
リュカ:「ね、信。次は何をする?」
信:「リュカが決めるんだ。俺はサポートに徹するよ」
リュカ:「じゃあ、もっとワクワクする、楽しい国にする」
信:「いいね。クロノスリュカはそうじゃなきゃ」
リュカ:「約束だよ」
信:「うん、約束だ」
時計塔の鐘が鳴った。
渓谷の灯りが見えた。
国民の声が遠くに聞こえた。
笑い声だった。
歌声だった。
生きている音だった。
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第15話終了時点
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三周年号の数字
住民:12万人超
種族:43種
友好国:71カ国
第7部への布石
骸骨の記事が小さく掲載された
「北の辺境で歩く骸骨を目撃」
信とカイ・ラガンが把握した
イツムナの解読が「怖い内容」と示唆
生命の精霊の誕生
国全体の命の輝きが呼んだ
全ての精霊が集まって誕生
この国全体に宿った
「依代になった」とミネルヴェが言う
第1話との対比
信の言葉:「変わっていない」
リュカの言葉:「ずっと同じ」
精霊の数が圧倒的に増えた
締めの言葉
「まだまだ続く」
信が新しい手帳を開いた
第6部「発展編」完結
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第6部 第15話 終了
第6部「発展編」完結
「まだまだ続く」 ― 牧野信、新しい手帳の第一ページに
第7部「死滅編」へ続く




