第6部 第14話「クラグル医療大学と国民の健康」
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第14話開始時点
現在地:クロノスリュカ・各拠点
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状況 :人口が爆発的に増加している
国の豊かさが頂点に近づいている
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国が豊かになっていた。
エンタメが充実した。
文化が成熟した。
経済が安定した。
食が豊かになった。
農業が発展した。
その結果、人が集まった。
各地から獣人が来た。
人間が来た。
エルフが来た。
ドワーフが来た。
住民数が急増した。
シルトの街は毎日人で溢れた。
ラギラブ農村には学生が増えた。
フォーヌアッチランドには列が途切れなかった。
しかし問題が起きた。
小さな伝染病の発症
ある日、クラグルの元に報告が来た。
クラグル:「シルトの街の一区画で同じ症状の者が複数出ている。
主な症状は熱と咳。
一人ではなく隣り合って住む複数の家族に広がっています」
クラグルが現場に向かった。
患者を診た。
白魔術で体内を確認した。
クラグル:「伝染している。
空気か接触かまだわからりません。
しかし広がっている」
信に報告が来た。
信が現場に向かった。
街の一角に人が集まっていた。
咳をしている者がいた。
熱で横になっている者がいた。
隣の家にも同じ症状の者がいた。
その隣にも。
信が立ち尽くした。
見たことがある。
これにみた状況を経験している。
信の記憶
信が静かに言った。
信:「クラグル、今すぐこの区画を隔離してください。
症状のある者とその家族を他の住民から離すんだ」
クラグル:「隔離?」
信:「人が密集しているから広がる。
離せば広がりを抑えられる」
クラグルが動いた。
カティの治安隊が動いた。
区画が閉鎖された。
患者が隔離された。
住民:「なぜ閉じ込めるんだ」
信:「守るためです。
あなたを。
周りの人を。
どちらの人も」
数日後、広がりが止まった。
患者は全員回復した。
死者は出なかった。
クラグルが信に聞いた。
クラグル:「なぜわかったんですか。
隔離という発想がすぐに出てきた。
これまでの話と違う」
信:「俺の元いた世界で同じことが起きた。
世界が結びついていた結果、爆発的に広がったんだ。
結果、大勢の人が死んだ。
見えない敵だった。
予防することが一番大事だとその時に学んだ」
全員が静まった。
ミネルヴェ:「見えない敵か。
詳しく話せ」
信:「空気で伝わる病気がある。
触れることで伝わる病気もある。
一人が発症すれば
周りに広がる。
防ぐためには衛生管理、隔離、換気が重要だ。
この国は人口が増えた。
密集している場所もある。
今のうちに備えなければならない」
クラグル医療大学の設立
クラグルが動いた。
長年温めてきた構想を形にする時だった。
クラグル:「白魔術だけでは限界がある。
学問として体系化しなければ次に繋がらない」
白魔術に魔術と薬学と精霊医療を統合した。
「医療魔導」という新しい学問が生まれた。
大学の学部構成が決まった。
白魔術学部:回復魔法・内への干渉
医療魔導学部:複合的な治療技術
薬学部:パナシアが学部長
精霊医療学部:コダとの連携
解剖学部:体の仕組みを研究
公衆衛生学部:信が強く推した最重要学部
付属病院も同時に建設された。
クラグルが初代学長となった。
公衆衛生学部の整備
公衆衛生学部が最重要学部として設置された。
衛生指導員の育成が始まった。
手洗い場が国中に整備された。
換気システムが浣熊人アッチの技術で作られた。
隔離施設が各拠点に用意された。
アッチ:「換気の仕組みを建物に組み込む。
新しい建物には全部入れる」
フォーヌ:「既存の建物は」
アッチ:「順番に改修する。
弟子たちに任せる」
国民健康診断の実施
クラグル医療大学の最初の大事業だった。
クラグル:「国民全員の健康状態を把握する。
知らなければ守れない」
栗鼠人バーナデッドが記録管理を担当した。
鼠人アルラッテが統計処理を担当した。
診断の結果が出た。
クラグル:「予想より健康状態は良好だ。
しかし問題があります」
肥満気味の国民の割合が以前より増えていた。
クラグル:「国では食が豊かになりました。
そして、狩りは減り、ロボットの普及も進み、動かない者が増えました。
このまま放置すれば将来的な病気リスクが高まります」
信が苦笑した。
信:「そうなりますよね。
俺の元いた世界でも同じことが起きた。
豊かになるほど体を動かさなくなる。
産業として解決策を作った」
リュカ:「どんな産業?」
信:「健康産業だ。
運動、食事管理、定期的な診断。
それを組み合わせる」
健康産業の発展
健康管理の専門職が生まれた。
運動指導者の育成が始まった。
各拠点に運動場が作られた。
狼人ロガが住民向けの運動プログラムに関わることになった。
最初は渋っていた。
ロガ:「俺は運動指導者ではない」
信:「でも一番信頼されています」
ロガ:「ふー、
仕方ない」
朝の集団体操が各拠点で始まった。
住民が集まった。
ロガが前に立った。
ロガ:「体を動かすことは戦う準備でも生きる準備でもある。
始めるぞ」
住民が倣った。
ラギラブ農村では農作業そのものが運動プログラムとして認定された。
ラギラブ:「土を耕すことは体にいい。
昔からわかっていたことだ」
フォーヌアッチランドのロボット競技が健康増進目的でも使われ始めた。
住民の診断数値が少しずつ改善していった。
パナシアの薬学部
猫人パナシアが薬学部で活躍していた。
パナシア:「薬草の研究をずっとしてきた。
でも記録が足りなかった。
大学ができたから体系化できる」
世界各地の薬草が集まった。
ドワーフの鉱物知識と連携した。
エルフの長命な知識が活きた。
パナシアが興奮しながら薬草をどこからか持ってきた。
クラグル:「また一人で採ってきたのか」
パナシア:「学生と一緒に行きました」
クラグル:「進歩しましたね」
薬の標準化が進んだ。
同じ効果の薬がどの拠点でも手に入るようになった。
感染症対策の布石
信が公衆衛生学部の最初の研究課題を設定した。
「見えない病気」の研究だった。
信:「精霊は見えない力と対話できるよね。
それなら見えない病気も精霊と連携して発見できるかもしれない」
コダ:「面白い発想だ。
精霊が病気を感知する可能性がある」
クラグル:「白魔術で体内の異常を感知することはできている。
しかし精霊との連携は考えなかった」
研究チームが組まれた。
クラグル、コダ、パナシア、ミネルヴェ魔導大学の研究者。
最初の発見が出た。
コダ:「生命の精霊は生命が喜ぶ場所にいる。
逆に言えば生命の精霊がいない場所は生命にとって危険な可能性がある」
精霊が健康診断の補助をできるという仮説が生まれた。
ミネルヴェが言った。
ミネルヴェ:「生命の精霊がまだ現れていない。
しかし現れた時にこの研究が活きる」
信が心の中で思った。
見えない敵には見えない力で対抗する。
俺の元の世界では医療と予防が感染症に勝った。
この世界では精霊と医療が同じ役割を果たすかもしれない。
生命の精霊が来る日が近いかもしれない。
その時の準備を今しておく。
クラグルと信の夜の対話
大学が軌道に乗った夜だった。
クラグルが信に言った。
クラグル:「なぜ公衆衛生にこだわったんですか」
信:「大勢の人が見えない病気で死んだのを見てきたんだ。
予防できたはずなのにできなかった。
この国で同じことはさせたくなかったんだ」
クラグル:「わかりました。
全力でやります。
治るのは義務ですから」
信:「頼みます」
二人が並んで付属病院の灯りを見ていた。
国民への広報
鼠人アルラッテが新聞の特集を組んだ。
「健康は財産だ。クラグル医療大学がこの国の命を守る」
住民の反応は様々だった。
住民A:「健康診断、怖いな」
住民B:「太ったのがバレる」
住民C:「先生に運動しろと言われた。
ロガさんに教えてもらうことにした」
ロガが遠くで聞いていた。
ロガ:「俺はそんなに運動指導者ではないが」
信が手帳に書いた。
食が豊かになれば体が鈍る。 人が集まれば病気が広がる。 豊かさには必ず影がある。 しかしその影を知っていれば 対処できる。 クラグルが全力でやると言った。 それで十分だ。 この国の寿命はまだまだ続く。
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第14話終了時点
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きっかけ
人口爆発による人の密集
小さな伝染病が発症
信の元の世界の記憶が動く
クラグル医療大学・設立
白魔術→医療魔道に発展
薬学部:パナシアが学部長
公衆衛生学部:信が強く推した
付属病院も同時に建設
公衆衛生の整備
手洗い場・換気システム・隔離施設
衛生指導員の育成
国民健康診断の実施
肥満気味の国民が増えていた
食の豊かさと運動不足の問題
健康産業の発展
運動施設の整備
ロガが運動指導に関わる
住民向け運動プログラム
感染症対策の布石
精霊と医療の連携研究が始まった
生命の精霊が健康診断を補助できる可能性
第7部の死滅の精霊タナトスへの
決定打になる布石が生まれた
信の言葉
「見えない敵には
見えない力で対抗する」
次のマイルストーン
→第15話:充実した国
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第6部 第14話 終了
次話:「国のカタチ」




