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ワクワク獣人ランド 〜異世界PM:適材適所で虐げられている獣人たちと最強の国を作ります〜  作者: 星麒麟


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9/38

第9話「イノシシは曲がらない」

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建国プロジェクト:状況報告

第9話開始時点

現在地:移動中

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人員 :コア10名/総勢21名

資金 :銀貨5枚

食糧 :安定確保

武器 :ロガの剣が限界

拠点 :移動中・拠点なし

安全度:警戒レベル高

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移動中のことだった。


ロガが使っていた剣が、折れた。

3本目だった。

シルト:「また折れましたね」

ロガ:「人間の作った武器では限界が来る」

シルト:「ロガさんのパワーが規格外なんですよ。

     剣が可哀想だ」

ロガ:「次をどうする、シン」

信:「また奪うしかないか。

   根本的な解決になってないな」


同じ頃、ダレトが信に近づいてきた。

ダレト:「信さん、一つお願いがあるんですが」

信:「どうした」

ダレト:「包丁が欲しいんです。

     ちゃんとした包丁が」

信:「今のじゃ駄目か」

ダレト:「魔獣を捌くとすぐボロボロになって。

     1週間で刃が欠ける。

     食材を活かせていない気がして」

信:「それは困るな」


信が仲間たちを見渡した。

武器の品質。料理道具の品質。移動しながら調達するにも限界がある。

信:「鍛冶職人が必要だ」

ミネルヴェ:「鍛冶といえばドワーフだが」

ドミナス:「ドワーフは中立です。

      獣人の国に協力するとは思えない」

シルト:「実は一つ、面白い情報があります。

     ドワーフを凌ぐ技術を持った

     猪人がいるという噂が」

ロガ:「ドワーフを、凌ぐ」

シルト:「ドワーフの工房で技術を叩き込まれたが

     用済みになって捨てられた。

     今は廃工房に一人で潜んでいるらしい」

信:「会いに行きます」



廃工房


街道から外れた山の裾野に、古い石造りの工房があった。

煙が出ていた。中から金属を叩く音が聞こえた。

信・ロガ・シルトの3人で近づいた。

扉は開いていた。

中に、猪人がいた。

がっしりした体躯。灰色の毛並み。大きな鼻。手が異様に器用そうだった。今は小さな金属の板に、細かい紋様を刻み込んでいた。

首輪に傷跡があった。自分で外そうとした跡だった。

猪人は信たちを見た。目が細くなった。

フォーヌ:「人間か」

信:「はい」

フォーヌ:「用はない。帰れ」

信:「少し話を聞いてほしい」


フォーヌはハンマーを信に向けた。

すると、ロガが折れた剣を取り出した。

身構えたフォームの前に、無言で置いた。

フォーヌはその剣を手に取った。断面を見た。刃の厚みを確かめた。鋼の質を爪で確かめた。

フォーヌ:「なんだこれは、ひどい作りだ。

      よくこれで戦えたな」

ロガ:「折れた」

フォーヌ:「当然だ。

      どこの工房が作った」

ロガ:「人間の兵士から奪った」

フォーヌ:「……なるほど」

     (剣を置く)

     「直す価値もない。

      一から作ったほうがいい」

ロガ:「作れるか」

フォーヌ:「作れる。

      だが、なぜ俺が作らなければならない」


フォーヌは作業に戻る。

信が前に出た。

信:「フォーヌさん、ドワーフの工房で

   技術を学んだと聞きました」

フォーヌ:「誰から聞いた」

信:「情報屋から」

フォーヌ:「……新しく確立した技術を盗まれて捨てられた。

      それだけだ」

信:「一つだけ、違う見方をしていいですか」

フォーヌ:「何が違う」

信:「盗まれたんじゃない。

   あなたがドワーフに伝えたんだ」

フォーヌ:「……伝えた?

      俺は伝えたくなかった」

信:「結果として伝わった。

   あなたの技術が本物だったから

   伝わってしまった。

   それは誇っていいことだ」

フォーヌ:「……」

信:「そして今、あなたはここで

   ドワーフが知らない次の技術を

   一人で作り続けている。

   誰も追いつけない場所に

   もういる」

フォーヌ:「……俺が、次の技術を」

信:「ここで腐らせるには

   もったいない技術だ」


フォーヌは黙った。

長い沈黙だった。

金属を叩く音が止んでいた。

信:「もう一つ聞いていいですか」

フォーヌ:「……何だ」

信:「魔獣の肉に耐える刃は作れますか」

フォーヌ:「魔獣の肉?」

信:「うちに11歳の料理人がいます。

   魔獣を捌くたびに包丁がボロボロになる。

   1週間で刃が欠けてしまう。

   解決できますか」


フォーヌの目が変わった。

職人の目になった。

フォーヌ:「魔獣の肉に耐える刃か。

      魔獣の素材を鋼に混ぜれば

      あるいは」

     (考え込む)

     「……面白い課題だ」



適性鑑定

その瞬間、信の視界に文字が浮かんだ。

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適性鑑定:猪人・フォーヌ(推定40歳・男)

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鍛冶技術 ★★★★★

ルーン魔術 ★★★★★

金属への親和性 ★★★★★

設計・構造把握 ★★★★★

土木・建設 ★★★★☆

現在の状態: 孤立した職人気質

怒りから誇りへの転換点

新しい課題への燃焼

現在の能力発揮値:35%

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35%。この人はまだ、本来の力の3分の1しか出せていない。


条件と加入


フォーヌ:「条件がある」

信:「聞きます」

フォーヌ:「1つ。作った物の使い道は俺が決める。

      人を傷つけるためだけの武器は作らない」

信:「了解です」

フォーヌ:「2つ。粗悪な物は作らない。

      妥協はしない。

      時間がかかっても文句を言うな」

信:「むしろそうしてほしい」

フォーヌ:「3つ。ドワーフとは取引しない」

信:「今のところ、その予定はないです」

フォーヌ:「……それ以上の条件はないか」

信:「ないです」

フォーヌ:「……人間にしては、まともだな」

ロガ:「俺も最初はそう思った」

シルト:「ロガさんが珍しく喋った」

ロガ:「うるさい」



出発前


フォーヌが工房の中を見渡した。

棚に並んだ金属の塊。道具。材料。

一つ一つ手に取って確かめた。持って行くものと残すものを選り分けた。

バーナデッド:(傍で待機しながら)

       「分類しながら教えていただけますか。

        管理台帳に入れます」

フォーヌ:「……台帳?」

バーナデッド:「物資の管理台帳です。

        何がどこにあるか、常に把握します」

フォーヌ:「……それは、助かる」

バーナデッド:「では、こちらの金属から」


2人が黙々と作業を始めた。

言葉は少なかった。でも手が止まらなかった。

シルト:(信に小声で)

    「あの2人、相性がいいですね」

信:(小声で)「職人同士だからな」

シルト:(小声で)「バーナデッドは

          職人だったんですか」

信:(小声で)「物と向き合う人間は

        みんな職人だよ」



夜、フォーヌが作業台に向かった。

移動中でも、手を止めなかった。

火打ち石で小さな炉に火を入れた。金属を熱した。叩いた。

夜明け前、ダレトのところに来た。

小さな包丁を差し出した。

フォーヌ:「使ってみろ」

ダレト:「え、もうできたんですか」

フォーヌ:「試作品だ。

      魔獣の爪を鋼に混ぜて、

      刃にルーン文字を刻んだ。

      魔獣の素材に耐性を持つ紋様だ」

ダレト:(受け取る)

    「……重さが、全然違う」

フォーヌ:「刃を見ろ。文字が見えるか」

ダレト:「……細かい紋様が入ってる」

フォーヌ:「そのルーン文字が

      魔獣の毒素と硬度を

      刃が受け流すようにしている。

      切れ味はどうだ」

ダレト:(試し切りで魔獣の肉を両断)

    「……すごい」

フォーヌ:「感想はそれだけか」

ダレト:「刃が吸い付く感じがします。

     食材に、ちゃんと向き合える気がする」

フォーヌ:「……なるほど」

     (メモを取る)

     「ルーン文字の配列を変えれば

      まだよくなる。次の試作に活かす」

ダレト:「もっとよくなるんですか」

フォーヌ:「当然だ」



ロガが遠くからそれを見ていた。

ロガ:(信に)「俺の武器は」

信:「順番を待ってよ」

ロガ:「……わかった」

シルト:「ロガさんが素直に待つと言った。

     また記念すべき瞬間です」

ロガ:「うるさい」

シルト:「はいはい」



朝、全員で歩き出した。

フォーヌが大きな荷物を背負っていた。材料が全部入っていた。

信:「重くないですか」

フォーヌ:「材料を置いていくほうが重い」

信:「職人のこだわりですね」

フォーヌ:「当然だ」


11人になった。


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建国プロジェクト:状況報告

第9話終了時点

現在地:移動中

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人員 :コア11名/総勢22名

資金 :銀貨5枚

食糧 :安定確保

武器 :改善中(フォーヌが製作開始)

拠点 :移動中・拠点なし

安全度:警戒レベル高

    カルシアの追跡が迫っている


仲間の能力発揮値

 リュカ  :12%(変化なし)

 ミネルヴェ:30%(変化なし)

 ロガ   :55%(変化なし)

 シルト  :45%(変化なし)

 ラギラブ :35%(変化なし)

 ドミナス :40%(変化なし)

 ジグニ  :25%(変化なし)

 バーナデッド:20%(変化なし)

 クラグル :20%(変化なし)

 フォーヌ :35%(新規加入)


組織の変化

 フォーヌ×バーナデッド:

 職人コンビの相性が抜群


リュカの能力:兆候継続

 Stage 2発現の兆候を注視中


次のマイルストーン

 → 物流の確保

 → カルシアの追跡を振り切る

 → フォーヌによるロガの武器制作

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第9話 終了

次話:「ウマは止まれない」



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