第6部 第7話「ミネルヴェ魔導大学」
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第7話開始時点
現在地:クロノスリュカ・シルトの街
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状況 :新大学「ミネルヴェ魔導大学」開校
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シルトの街の一角に、白い建物が建っていた。
高い塔が二本並んでいた。
一本は魔法の塔。
もう一本は魔術の塔。
二本が中央の広場で繋がっていた。
ソルマーレのエルネスト皇子が開校式の壇上に立った。
エルネスト:「魔法と魔術。
長い間、別々のものとして扱われてきた。
しかしこの国を見て気づいた。
獣人は両方を扱える。
ならば、両方を一つの学問にできる。
私はそれを『魔導』と名付けた。
この大学でその答えを出しましょう」
続けて大学名が発表された。
エルネスト:「この大学を『ミネルヴェ魔導大学』と名付けます。
この大陸で魔法と魔術の両方に最も精通した者。
その名を冠するのが最も相応しい」
梟人ミネルヴェが前列に座っていた。
ミネルヴェ:「名前の件は、聞いてないんだが」
エルネスト:「はい、言っていませんから」
ミネルヴェ:「あのな、もう既に私の名を関した図書館があるんだぞ」
エルネスト:「いくつあってもいいじゃありませんか!」
ミネルヴェ:「まったく」
各学部が紹介された。
魔法学部:精霊との対話を学ぶ
魔術学部:論理と呪文を学ぶ
ルーン学部:物への干渉を学ぶ
白魔術学部:内への干渉を学ぶ
黒魔術学部:外への干渉を学ぶ
精霊学部:鹿人コダが学部長兼任
実技部門:馬人ルドルフが担当
獣王国の獣人以外にも各国から学生が集まっていた。
エルフの若者、ドワーフの若者、そして人間の若者。
全員が同じ広場に立っていた。
ミネルヴェの秘密・魔術神経と魔法神経
開校式の後、学生から質問が来た。
「ミネルヴェ先生はなぜそれほど魔法と魔術の両方に精通できているんですか」
ミネルヴェが少し間を置いた。
ミネルヴェ:「『瞑想』を行う。
60年間近く、続けてきた結果さね」
全員が黙った。
ミネルヴェ:「我々の身体には魔法と魔術を扱う体内の機関がある。
『魔術神経』と『魔法神経』と呼ばれている。
それぞれを拡張していく方法が『瞑想』だ」
学生:「最初から両方の神経が開いているわけじゃないんですか」
ミネルヴェ:「違う。
元々発露していない神経もある。
瞑想によって発露させる。
これを『開通』という。
私も最初から全ての神経が開いていたわけではない。
長い年月をかけて少しずつ開通させてきたんだ」
全員が静まり返った。
コダが手を挙げた。
コダ:「つまり獣人以外でも両方が使えるようになる可能性があるということですか」
ミネルヴェ:「古文書を確認する限り、その可能性は高い。
ただし瞑想は時間がかかる。
才能の差もあるだろうさね」
この発言が大学全体に広まった。
瞑想の授業が全学部の必修科目に加わった。
エルネストの覚悟
開校後、エルネストが信に打ち明けた。
エルネスト:「俺は皇子としてより魔導の探求者として
生きたい。
父上にはまだ伝えていないが」
信:「いつ伝えるんですか」
エルネスト:「この大学が
軌道に乗ったら。
それを証拠に説得するつもりさ」
信:「国をあげて協力します。
なんでも言ってください」
エルネスト:「ありがとう。
お前に言われると妙に心強い」
カイ・ラガンの竜門学府
魔導大学と連携する形で「異次元研究機関」が設立された。
竜人カイ・ラガンが信に相談した。
カイ・ラガン:「俺は長く生きてきたが教えることはしたことがない。
知識を語ることと教育は違うだろう」
信:「子どもたちと話している時、楽しそうでしたよ」
カイ・ラガン:「それとこれとは別の話だ」
信:「同じだと思います。
どんなにいい内容の授業でも相手に聞く気がなければまったくの無駄です
あなたの話は皆目を輝かせて聞いている 」
研究機関の名前を決める時、学生からの提案で「竜門学府」と名付けられた。
カイ・ラガン:「竜門学府か。
悪くはないな」
最初の研究テーマが決まった。
次元の壁の構造解明。
竜の国とこちらの次元の関係性。
タルタロス・ケイオスの次元的位置づけ。
カイ・ラガンの初講義が始まった。
最初は緊張した様子だった。
しかし学生の質問に次々と答えているうちに、本来の博識ぶりが発揮された。
初講義が終わった後、カイ・ラガンが一人で呟いた。
カイ・ラガン:「なるほどな。教えるというのは教えられるという事でもあるのか」
鈴鳴りのリリィ登場
コダの精霊学の授業中だった。
新入生の一人が手を挙げた。
黒猫人の少女だった。
首に小さな鈴をつけていた。
動くたびに鈴が鳴った。
名前はリリィといった。
コダ:「精霊魔法と錬成魔法の同時発動は基本的に困難です。
なぜかと言うと魔術神経と魔法神経に同時に負荷がかかるため。
なので通常は片方ずつ扱うのが原則です」
リリィ:「二つの魔法を同時に発動すればいいじゃないですか」
コダ:「いや、だからそれは難しいことなんだよ」
リリィ:「たとえばこんな風に」
リリィが立ち上がった。
精霊魔法と錬成魔法を同時に発動した。
片手に精霊の光。
もう片手に錬成の文字。
どちらも完全に制御されていた。
授業が止まった。
全員が黙った。
コダが目を見開いた。
コダ:「今、何をしたんですか」
リリィ:「だから同時に発動したんじゃないですか。
難しくないですよ」
コダ:「いや、難しいんです。
普通は」
リリィ:「変なの」
放課後、コダがリリィを呼んだ。
コダ:「いつからできるようになったんですか」
リリィ:「いつも何も最初からですけど」
コダ:「これは新世代すぎる」
その後、リリィが次々と新魔法を実践していった。
二重発動どころか三重発動まで試みた。
ミネルヴェが見に来た。
ミネルヴェ:「こいつは何者だ」
コダ:「学生です」
リリィ:「あの、先生のブラックホール魔術を見せてもらえますか。
あれに精霊魔法を組み合わせたら面白いことになりそうで」
ミネルヴェ:「何故そう思う」
リリィ:「なんとなくです」
この「なんとなく」が恐ろしく正確だった。
リリィの問題点
リリィの才能は本物だった。
しかし性格に問題があった。
授業中に他の学生の魔法を「それより効率的な方法がある」と指摘し続けた。
他の学生が落ち込んだ。
教員の説明を途中で「違います」と遮ることもあった。
エルネストが授業参観に来た時も例外ではなかった。
エルネスト:「魔術の基礎としてまず呪文の形を」
リリィ:「先生、その呪文3段階省略できるよ。
うん、こっちの方が速いです」
エルネスト:「それは高度な応用で」
リリィ:「基礎からやると遠回りじゃないですか」
ルドルフがリリィに話しかけた。
ルドルフ:「リリィさん、才能あるのはわかります。
でも周りへの言い方をもう少し」
リリィ:「めんどくさいのがいやなんですよー」
ルドルフ:「周りの人の事を考えないといけないよ。
自分だけが良ければいいというものではないんだ」
リリィ:「わかんない」
悪意がない分、対処が難しかった。
コダが頭を抱えた。
信の反応
コダから報告を受けた信がリリィに会いに行った。
信:「君の才能は本物だと思う。
一つ聞かせてくれ。
魔法を使って何がしたい?」
リリィ:「なんだろう、考えた事ないな。
ただ、やったことのない魔法をやってみたいです」
信:「それはいい動機だね。
ただ、一人じゃ
限界は遠い。
仲間がいた方がもっと遠くまで行ける。
仲間の作り方をこれから学んでほしい」
リリィ:「それも授業ですか」
信:「大事な授業なんだよ。なんなら魔法よりもっとね」
リリィが少し黙った。
鈴がわずかに鳴った。
第一次魔導祭
大学開校を祝う学内イベントが開催された。
各学部が研究成果を発表した。
最も注目を集めたのはリリィの発表だった。
三重魔法の実演だった。
会場が騒然とした。
エルネストが見ながら呟いた。
エルネスト:「参ったよ。俺より才能がある」
しかし悔しそうではなかった。
誇らしそうだった。
エルネスト:「この大学を作ってよかった」
カイ・ラガンとミネルヴェの会話
夜、二人が廊下で出会った。
カイ・ラガン:「教えることは、やはり教わることでもあるな」
ミネルヴェ:「今日、学生に反論された。
これが正しい反論だったんだ」
カイ・ラガン:「どう感じたんだね」
ミネルヴェ:「悪くなかったね」
カイ・ラガン:「それが教育と言うものなんだろうな」
二人が並んで歩いた。
長命種同士、珍しく穏やかな会話だった。
信が手帳に書いた。
鈴鳴りのリリィ。 誰も見たことのない魔法を使う。 しかし仲間の作り方を知らない。 才能があるほど、それが難しい。 俺も最初はそうだったかもしれない。 一番大事な授業は、教室の外にある。
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第7話終了時点
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ミネルヴェ魔導大学・開校
エルネスト主導
各学部が始動
魔術神経・魔法神経の概念確立
瞑想による「開通」という概念
ミネルヴェが72年かけて習得した理由が判明
全学部の必修科目に瞑想が加わる
竜門学府の設立
カイ・ラガンがトップに就任
異次元研究機関として始動
最初の研究テーマ:次元の壁の構造解明
エルネストの覚悟
皇子としてより魔導探求者として生きると決意
新キャラ:鈴鳴りのリリィ(黒猫人)
精霊魔法と錬成魔法の同時発動を実演
三重魔法まで発動できる天才
悪意はないが言動がトラブルを招く
信から「仲間の作り方」を学ぶことに
次のマイルストーン
→第8話:精霊図鑑の完成
→ミネルヴェとコダの集大成
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第6部 第7話 終了
次話:「精霊図鑑の完成」




