第6部 第6話「ラギラブ農牧料理大学」
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第6話開始時点
現在地:ラギラブ農村
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状況 :新大学「ラギラブ農牧料理大学」開校
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ラギラブ農村の一角に、広大なキャンパスが完成していた。
シルトの街の大学街からは離れていた。
土と緑に囲まれた場所に、あえて作られていた。
兎人ラギラブが初代学長として開校式に立った。
ラギラブ:「土を知り、命をいただき、味を極める。
それがこの大学の理念です。
だから土のそばに作りました。
街の生活になれた人たちには不便でしょうけどね」
学生たちは農村で生活することになっていた。
寮が田畑の間に建てられていた。
朝、鶏の声で目を覚ます大学だった。
各学部が紹介された。
農耕学部:ラギラブが学部長兼任
牧畜学部:犬人ラッシーが学部長
栄養学部:羊人クラグルが兼任で教える
調理学部:兎人ダレトが学部長
菓子学部:熊人ショコラが学部長
海産学部:白い兎人イナバが学部長(特別在籍)
各国から学生が集まった。
エルフの植物学を学んだ学生。
ドワーフの発酵技術を学んだ学生。
人間の伝統料理を学んだ学生。
専用インフラの整備
シルトの大学街とラギラブ農村が離れていることが課題になった。
元々、物流の道が既に整備されていたことから、車輪型のバスが新たに開発された。
アッチ:「焔をベースにしたバスとは別系統で作るよ。
大学専用の輸送機関だ」
新型のバスが両拠点を結んだ。
学生たちが毎朝乗り込んだ。
獣人もエルフもドワーフも人間も、同じ車両で揺られた。
イナバとラッコの担当交代
イナバは基本的に海に出ていた。
ベルトたちと共に新しい漁場や食材を探す日々だった。
大学に常駐できなかった。
イナバ:「大学ともなると、海産学部には常任の担当者が必要だと思うんです。
僕は基本海を回っているから」
そこで一人の名前が挙がった。
以前、港町でルトラが助けたラッコの獣人コンカだ。
今まではシーベルトの船団に長く乗っていた。
しかし陸地での生活を望むようになっていた。
コンカ:「俺、陸でやってみたいです。
イナバさんにずっと鍛えてもらってきました」
イナバ:「腕は確かです。
俺が保証します」
ラギラブ:「ラッコ種なのに海から離れるのはいいのかい?」
コンカ:「飛ばない鳥だっているんです。ラッコが全員海が好きという訳ではないんです」
ラッコが海産学部の常任講師として迎えられた。
イナバは特別学部として籍を置いたまま、年に数回、特別講義に来る形になった。
イナバ:「俺が留守でも
大丈夫な体制ができました」
ラギラブ:「頼もしい後任だ」
ラッシーと牧畜学部
犬人ラッシーが牧畜学部の初授業に立った。
解放戦前から動物の世話を黙々と続けてきた獣人だった。
言葉数は少なかった。
しかし動物への観察眼は鋭かった。
ラッシー:「動物は嘘をつかない。
体調も気持ちも全部、態度に出る。
見てやれば、わかる」
学生たちに家畜の世話を一頭ずつ任せた。
ある学生が言った。
学生:「名前をつけてもいいですか」
ラッシーが首を振った。
ラッシー:「名前はつけるな」
学生:「なぜですか」
ラッシー:「情が深くなりすぎると別れがつらくなる」
学生:「はい」
ラッシー:「ただし、優しく接するのはいくらでもやれ。
名前じゃなくて態度で示すんだ」
学生たちが家畜に優しく触れた。
毛並みを整えた。
水を変えた。
声をかけた。
名前は呼ばなかった。
それでも家畜たちは穏やかだった。
初日の授業風景
ラギラブの土の授業が行われた。
ラギラブ:「触り続けるんだ。
土を理解するのは人に教えられるものではないんだ」
学生たちが土に手を埋めた。
ダレトの調理実習も始まった。
ダレト:「美味いものを知らなければ美味いものは作れないぞ」
学生たちが汗を流しながら学んだ。
国境を越えた友情が生まれ始めていた。
主食問題・魔獣肉の減少
大学の食堂会議で問題が浮上した。
ラギラブ:「今の国民の主食の一部は魔獣の肉が占めている。
しかし年々捕獲量が減っている
それに住民も増えているからこのまま進むと肉が足りない」
ダレト:「狩りの腕が落ちたわけじゃない。
単純に魔獣の数が減っていると思う」
探究班による調査
大学の探究班が動いた。
鹿人コダが中心になった。
コダ:「思い当たることがあります。
俺がノームの加護で腐海の森を浄化し続けてきました。
あの森が正常な森に戻りつつある」
腐海の森と魔獣の関係を、より深く調べることになった。
魔獣誕生のメカニズム解明
探究班が長期調査の末に結論を出した。
これまでの定説は、魔獣は負の感情が腐海の森に蓄積されて生まれる、というものだった。
しかし判明した真実は違っていた。
厳密には、幼い獣が腐海の森に迷い込み、捕らわれることで魔獣化していた。
コダ:「腐海の森がなくなれば、魔獣はそもそも生まれなくなります」
全員が複雑な顔をした。
魔獣がいなくなることは良いことのはずだった。
しかし主食の問題と直結していた。
ラギラブ:「それなら別の道を探さなければならないね」
培養肉研究の本格化
以前から議論されていた培養肉研究が本格的に動き出した。
背景には二つの理由があった。
魔獣肉の供給が減少していくこと。
そして、牧畜にも嫌悪感を示す獣人が一部存在することだった。
牧畜学部の牛人の学生が言った。
牛人の学生:「正直、家畜を育てて食べることに抵抗がある時があります。
かつての自分たちと重なってしまって」
ラッシー:「その気持ちは大事にしろ。
無理に否定することはない」
クラグルとコダが培養肉研究チームを組んだ。
ラギラブ大学が研究を支援した。
最初の試作は失敗続きだった。
味がしなかった。
食感が再現できなかった。
発明の精霊ヘロンが研究室に現れてひらめきを後押しした。
ある日、小さな成功が生まれた。
培養肉の小片が完成した。
ダレトが味見した。
ダレト:「肉。
これは、肉の味だ」
信が方針を示した。
信:「選べることが大事だ。
強制はしない。
魔獣肉も、牧畜も、培養肉も。
全部の選択肢を残そう。
それでいい」
アピキウス・評価システムの誕生
並行して食の評価制度の構想が育っていた。
梟人ミネルヴェが古い獣文字の文献を読んでいる中で、ある名前を見つけた。
ミネルヴェ:「アピキウス。
獣人がまだ自分たちの国を持っていた時代。
グルメ家として名を馳せた獣人の名前さね。
獣人の豊かな食文化の時代が過去にはあったのだな」
その名を冠した評価制度が立ち上がった。
「料理店評価アピキウス」と呼ばれることになった。
アルラッテ:「審査員を集めましょう。
観光産業の目玉にもなります」
各国から審査員が招かれた。
ガルディウスの食通の副官。
エルフの繊細な味覚を持つ者。
ドワーフの豪快な味覚を持つ者。
マルカンドの商人ネットワークによる情報収集も使われた。
アピキウスはやがてクロノスリュカの枠を超えた。
大陸中の店の評価を始めるようになった。
ユーザーも獣人だけでなく、人間、ドワーフ、エルフへと広まっていった。
この評価組織は非公開とされていた。
審査員の正体は伏せられた。
お忍びで店を回る信やリュカ。
人間に変身して回るドミナス。
何人もの「覆面審査員」が国中、大陸中の店を巡っていた。
しかし組織の実体は誰にも明かされなかった。
マンサ:「アピキウスに認められた店は商売が10倍を越える。
誰が審査しているのか問い合わせが多くて困る」
信:「企業秘密ですからね」
マンサ:「分からんでもないが。
いちいち対応するこちらの身にもなれ」
信:「それは、すいません」
ラックが新企画を立てた。
ラック:「『美食の旅』として売り出しましょう」
アルラッテ:「試算します」
年間優秀店舗の表彰式が、獣楽祭の新コンテンツとして決まった。
新精霊の気配
夕暮れ、ラギラブ農村の畑だった。
ラギラブが一人で収穫前の作物を見ていた。
光の粒が畑の上に集まってきた。
人型に近い、柔らかな輪郭を持つ精霊が現れた。
見たことのない精霊だった。
豊かな実りに満ちた気配だった。
ラギラブが息を呑んだ。
精霊はすぐに姿を消した。
ラギラブが立ち尽くした。
ラギラブ:「今のは」
誰も名前を知らなかった。
ただ、その場にいた誰もが、確かに「何か」を見たと感じていた。
信が手帳に書いた。
大学ができた。 魔獣肉が減っていく理由がわかった。 それは悪い知らせじゃない。 腐海の森が癒えているということだ。 選択肢を増やしながら、前に進む。 それがこの国のやり方だ。
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第6話終了時点
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ラギラブ農牧料理大学・開校
ラギラブ農村内に設立・学生は農村で生活
専用の魔道バスでシルト大学街と接続
新キャラ:犬人ラッシー(牧畜学部長)
新キャラ:ラッコの獣人(海産学部常任講師)
イナバは特別学部として在籍継続
牧畜の方針
家畜への命名はNG
優しく接することはOK
魔獣減少の真相
コダのノーム加護で腐海の森が浄化
魔獣は幼獣が森に捕らわれて生まれると判明
腐海の森消滅=魔獣消滅という構図が見えた
培養肉研究の本格化
牧畜への複雑な感情を持つ獣人がいる事実
最初の培養肉が完成
「選択肢を残す」という信の方針
評価システム「アピキウス」誕生
獣人の古文献から発見された名前
大陸規模に展開・人間種族にも普及
組織の実体は非公開・覆面審査員が国中を回る
謎の精霊
名前も正体も分からない
ラギラブの前に一瞬現れて消えた
次のマイルストーン
→第7話:魔導大学の開校
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第6部 第6話 終了
次話:「魔導大学」




