第6部 第3話「笑いの精霊ゲロス」
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第3話開始時点
現在地:クロノスリュカ・シルトの街
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状況 :芸人文化が生まれ始めている
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笑いの精霊ゲロスが生まれた直後から、国中に笑いの気配が増えていた。
最初は本職の合間に芸を磨く者たちが現れた。
ラギラブ農村の農夫が作業の合間に一発芸をやっていた。
ルトラ港の港湾労働者が仲間を笑わせていた。
フォーヌ工場の職人が面白い動きで作業していた。
それぞれが仲間に笑われた。
嬉しかった。
もっとやりたくなった。
芸を専業にする者が現れる
いくつかの才能が突出していた。
琴鳥の鳥人・リラ
モノマネが上手かった。
国の有名人を次々と真似した。
ロガのモノマネが特に似ていた。
ロガ:「俺はそんな声ではない」
しかし本当に似ていた。
リュカのモノマネも行った。
リラ:「ワクワクする! ワフッ!」
リュカが見て笑い転げた。
ブラックなネタも辞さなかった。
国の有名人が次々と標的になった。
だが、不思議と皆いやな気分はしなかった。
芸の奥に、その対象への敬意を感じられたからだ。
馬人ポロと鹿人ベロのコンビ・ポロベロ
漫才コンビだった。
馬人ポロがのんびりした性格だった。
鹿人ベロが天然なボケだった。
二人がすれ違いながらなぜか同じ結論に至った。
ポロ:「俺たちの名前、ポロベロ。
馬と鹿のコンビです」
ベロ:「信宰相の世界では馬鹿って書いてバカって言うんだって」
ポロ:「それ俺たちの事じゃん」
ベロ:「否定しろよ」
ポロ:「下手したら俺たちの事を見てそう言い出した可能性もある」
ベロ:「なら、お礼を言わなきゃな」
会場の皆が笑う。
梟人ミネルヴェが一度見て言った。
ミネルヴェ:「馬鹿とはよく言ったもんさね」
狐の獣人・ファロー
一人喋りの芸人だった。
「人間がこうやって獣人を騙そうとしたんです」という防犯を兼ねたおもしろトークが得意だった。
実際の手口を面白おかしく語った。
しかし必ずフォローを入れた。
ファロー:「でもいい人間もいっぱいいます。
ガルディウスさんとか。
ガルディウスさんは本当にいい人です。
俺は好きですよ
あの眉間のシワ」
そう言ってファローは眉間にシワを作る。
皆がそれを見て笑う。
信のところにガルディウスから連絡が来た。
ガルディウス:「噂が俺のところにも来ているぞ、なぜ俺が出てくる」
信:「人気者って事ですよ」
ガルディウス:「困ったものだ」
川獺の獣人・クルル
ジャグリングの芸人だった。
手先が異常に器用だった。
刃物を使ったジャグリングをやっていた。
最初は「危ない」と言われた。
しかし一度も落とさなかった。
川獺人ルトラとは親戚らしかった。
ルトラ:「戦いの世界に進まず、なぜこの道を行く」
クルル:「楽しいから」
ルトラ:「まあ、お前の人生だし好きに生きればいいけど」
鳶の鳥人・フレア
マジックショーの芸人だった。
火の魔法使いだった。
実戦では役に立たないと言われていた。
所属した隊長からは「攻撃力が低すぎる」と評されていた。
しかし舞台では別の力を持っていた。
炎で鳥を表現した。
炎で星を作った。
炎で物語を描いた。
初めて見た者が全員黙った。
その後、歓声が上がった。
フレア:「これが俺の魔法」
周囲の反応・賛否両論
芸を専業にする者が増えた。
周囲から批判が出た。
「ちゃんと働かないのは愚かだ」
「芸で飯が食えるのか」
「国に必要な仕事か」
芸人たちが悩んだ。
特に若いフレアが狸人ラックに相談した。
フレア:「芸に生きようとする俺たちの生き方はやはり無理なんでしょうか」
ラック:「あなたの芸は素晴らしいですよ。
それにね、必要かどうかはお客さんが決める事です。
お客さんが来るなら必要ということでしょう」
フレア:「でも、色々と言う奴らが」
ラック:「言わせておけばいいじゃない。
お客さんはどんな顔をしてる」
フレア:「楽しんでくれています」
ラック:「じゃあそれが応えじゃないですか。
自信を持って」
ラックが動き始めた。
ラックの動き・権威づけ
ラック:「批判があるうちは芸が文化として定着しない。
大会を開く。
権威をつける。
それしかない」
さらに国立の演芸場を提案した。
ラック:「国立演芸場を作りたいんです。
国が芸術を認めるということを形にしたい」
信:「いいね。
最近芸達者なもの達も増えたしね。
ファローの一人喋りは本当に笑えるよ」
ラック:「本人にも言っておきますね。
シンさんが褒めてたって」
信:「俺は思うんだ。
国の文化は戦う力だけじゃないってさ」
リュカ:「私もそう思う。
ラック、ただし一つだけお願いがあるの」
リュカの要望
リュカが全芸人の前で言った。
リュカ:「他者をバカにしたり傷つけたりする芸は禁止して欲しい。
笑いは楽しいものです。
誰かが泣く笑いは笑いじゃないと思う」
全員が静かに頷いた。
ファローが手を挙げた。
ファロー:「人間へのヘイトはどこまでいいですか」
リュカ:「笑って許せる範囲なら。
ガルディウスさんに確認してみて」
ガルディウス:「なぜ俺に確認する。俺はお笑いは分からんぞ」
会場が笑った。
ラック国立演芸場の建設
熊人ジグニの弟子たちが担当した。
土竜人タルパが地下に楽屋を設計した。
浣熊人アッチが舞台装置を作った。
猪人フォーヌがルーン文字で音響効果を高めた。
建設中、芸人たちが見学に来た。
フレア:「ここで演れるのか」
クルル:「緊張するな」
ポロとベロ:「俺たちのための舞台か。
すごいな」
ファロー:「ネタを書き直おさなきゃな」
リラ:「こけら落としは誰のモノマネにしようかしら」
獣楽祭・こけら落とし大会
国立演芸場が完成した。
ラックの名を冠して「ラック国立演芸場」となった。
獣楽祭の一幕としてこけら落とし大会が開催された。
会場が満員になった。
人間も獣人もエルフもドワーフも来た。
リラのモノマネが始まった。
ロガのモノマネで会場が沸いた。
信のモノマネが続いた。
手帳を持ちながら「リソースの最適化」と言った。
会場が爆笑した。
そしてリュカのモノマネになった。
リラ:「ワクワクするっ!ワフッ!
みんな、誰も捨てないよ!」
リュカが笑い転げた。
リュカ:「もう全然違う! 私あんなんじゃない!」
ポロベロの漫才が始まった。
ポロ:「馬と鹿のコンビです。
私が馬のポロ」
ベロ:「私が鹿のペロ」
ポロ:「二人でポロペロと申します」
ベロ:「なんでお前の名前が先なの」
ポロ:「そりゃお前、賢い方が先だろう」
ベロ:「賢さで言ったらオラの方だろう」
ポロ:「自分をオラって言うやつに賢い奴はいないだろう」
ベロ:「オラは方言だから賢さは関係ありません。
バカなのはオラのせいです」
ポロ:「ほら、自分で認めちゃったじゃない。
でも、そんな正直なお前、……嫌いじゃないぞ」
ベロ:「やめてよ。
オラにはもう彼女がいるから」
ポロ:「違う違う告白じゃないからー!」
独特の間と天然ボケが炸裂した。
会場が温かい笑いに包まれた。
ファローの一人喋りが始まった。
実際の詐欺の手口を面白おかしく語った。
ファロー:「こう言ってくるんですよ。
『お仲間がピンチだ。着いてきてくれ! 早く!』って。
信じちゃいますよね。着いて行っちゃいそうなりますよね。
でもまずは確認しましょう。
懐中時計があるじゃないですか。
連絡してください。
それだけで解決します」
笑いながら防犯を学べた。
最後に言った。
ファロー:「でもガルディウスさんみたいないい人間もいますから。
だめですよ、見た目で判断しては」
懐中時計越しにガルディウスが聞いていた。
何も言わなかった。
しかし聞いていた。
クルルのジャグリングが始まった。
刃物が10本宙を舞った。
一度も落ちなかった。
会場が息を飲んだ。
落ちないとわかってから歓声が上がった。
クルル:「もう10本足します」
20本になった。
それを連続で壁に投げ刺していく。
全て投げ終わると壁には笑顔のマークが出来上がっていた。
会場は割れんばかりの拍手で満ちた。
フレアのマジックショーが始まった。
炎が立ち上がった。
炎は大きな鳥の形になり、翼をはためかせ空を飛んだ。
天井高くに舞うと鳥は星になった。
フレアは別の炎を立ち上げる。
それは炎が川になり、山になった。
最後に炎が国の形になった。
「クロノスリュカ」という文字になった。
会場が静まった。
次の瞬間、全員が立ち上がった。
拍手が止まらなかった。
フレア:「これが俺の魔法」
信が隣のリュカに小声で言った。
信:「実戦向けじゃないと言われた魔法が一番の喝采を受けた」
リュカ:「適材適所だね」
信:「そうだな」
ゲロスの最大化
大会の最中、ゲロスが演芸場の上でどんどん大きくなっていた。
これだけの笑い声は初めてだった。
ゲロスの笑い声が会場全体に降り注いだ。
笑いがさらに笑いを呼んだ。
会場が止まらなくなった。
竜人カイ・ラガンが空を見上げた。
カイ・ラガン:「笑いの精霊が喜んでいる」
ミネルヴェ:「珍しいな。
お前が精霊を見て嬉しそうにしている」
カイ・ラガン:「そうでもないさ」
しかし口元が緩んでいた。
ラックの登場
大会の最後にラックが現れた。
ラック:「ラック国立演芸場、開幕しました。
ここは笑いの聖地になります。
この舞台に立てることを誇りにしてください。
これを作ったのはあなたたちです。
お客さんが来るから舞台ができる。
ありがとうございます」
会場が拍手した。
芸人たちが舞台の上で並んだ。
リラ、ポロベロ、ファロー、クルル、フレア。
全員が頭を下げた。
信の言葉
帰り道、信がリュカに言った。
信:「武力も大事だと思う。
でも、笑力ってのも国にとっては大事だと思う」
リュカ:「笑力?」
信:「笑う力。
笑わせる力。
笑える国は、強い。
だって、笑ってる間は、他国を攻めようなんて思わないだろう」
リュカ:「笑力。
いい言葉だ」
二人が歩いた。
演芸場からまだ笑い声が聞こえた。
ゲロスがどこかで笑っていた。
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建国プロジェクト:状況報告
第6部・発展編 第3話終了時点
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新キャラクター
リラ(モノマネ・琴鳥人)
ポロとベロ・ポロベロ(漫才・馬鹿コンビ)
ファロー(一人喋り・狐人)
クルル(ジャグリング・川獺人)
フレア(マジックショー・鳶人)
笑いの精霊ゲロス
大会中に最大化した
笑いが笑いを呼ぶ循環が起きた
ラック国立演芸場
完成・こけら落とし大会開催
リュカの要望
「他者を傷つける笑いは禁止」
信の言葉
「笑力は国にとって大事だ」
「笑える国は、強い」
次のマイルストーン
→第4話:フォーヌアッチランドの開業
→遊園地という新しい文化
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第6部 第3話 終了
次話:「フォーヌアッチランド」




