第5部 第1話「空を結ぶ」
========================================
建国プロジェクト:状況報告
第5部・世界編 第1話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
========================================
国民 :8000名以上
状況 :竜の国帰還後・新プロジェクト始動
========================================
信がコアメンバーを集めた。
いつもより広い場所だった。
主要な国民も集めていた。
信:「一つ、大きなプロジェクトを発表する。
この世界を航空機で結ぶ。
それが次の目標です」
渡した資料を全員が見た。
航路図の草案だった。
アルカナ大陸全体が描かれていた。
クロノスリュカを中心に線が伸びていた。
鼠人アルラッテが質問する。
アルラッテ:「転移ゲートがあるのにどうしてわざわざ航路を?」
犬人女王リュカ:「転移ゲートは維持するだけで負担がかかるの。
精霊の力が強い場所では安定して維持できるんだけど
精霊の弱い場所では一時的に作れてもすぐに消えてしまう」
信:「だから世界全体を繋ぐには航空機を作るんだ」
リュカ:「航空機なら誰でもどこにでも行ける」
信:「そうだ。
精霊の加護がない場所にも届くんだよ」
アッチへの依頼
信:「だからアッチ、新型機の開発を頼む」
浣熊人アッチが前に出た。
アッチ:「わかっているよ。
ただし一つ条件がある」
信:「どんな?」
アッチ:「今回の開発は弟子たちを中心に進める。
俺はサポートに回るよ」
全員が少し驚いた。
アッチ:「俺がいなくても動ける工場にしなければならないからな。
この先の未来を考えれば弟子たちの時代が来る。
今がその準備だ。
信、お前がいつも言ってる事だろ」
信:「ええ、それでお願いします」
アッチの弟子たちが顔を見合わせた。
緊張と興奮が混じっていた。
土竜人アルキ:「鍵は浮力だな」
鴨嘴人ワラチタ:「蒸気の力も試したい」
鼠人ニテラ:「電気の力も活用しないと」
浮石の発見
鹿人コダが手を挙げた。
コダ:「あの一つ、報告がありますが。
竜の国から戻ってきたら、感覚が変わったんですよ。
それで新しい鉱石を発見したみたいで」
コダが鉱石を取り出した。
コダは「見てください」と言い石を手放した。
すると鉱石は落ちずに浮いた。
コダ:「魔法に反応して浮く特性がありみたいで。
とりあえず浮石と名付けました」
アッチ:「これは使えるな」
フォーヌ:「ルーン文字と組み合わせたら制御が楽かもしれん」
アッチ:「新型飛行船に活用しよう。
揚力の問題が一気に解決する」
弟子たちが浮石を取り囲んだ。
設計図を広げた。
アイデアが飛び交った。
空港の整備
シルトの街で空港の整備が始まった。
土竜人タルパが地下インフラと連携した設計を担当した。
タルパ:「地下に格納庫を作るモグ。
地上は発着スペースのみ。効率的モグ」
ジグニ:「それは面白い。
建設は俺が担当する」
ビョルン:「俺も手伝うよ」
整備と並行して、他国への連絡も動き出した。
他国への打診
メールバードが各国に飛んだ。
航空機と航空便の件を各国に伝えた。
航路を繋ぐか否かを確認する内容だった。
まずは同盟国の海人国シーベルトへの航路を最初とすることも伝えた。
返答が届き始めた。
カルシアのガルディウスから。
「航空機とは何か。
完成したらまず見せてくれ。
判断はそれからだ。
ガルディウス」
ソルマーレのエルネストから。
「貴国のことだ、また楽しませてくれるんだろう。
完成を心待ちにしている。
必ず見に行く。
約束する。
エルネスト」
マルカンドのマンサから。
「完成したら値段を教えろ。
取引になるなら
すぐに動く。
マンサ・バティート」
ドワーフ三親方連名で。
「空飛ぶ機械か。
技術が気になる。
見せてもらおう。
オラーリグ・サークスム・クラーピス」
狐人ドミナスが全ての返答を整理した。
ドミナス:「全員、完成したら見たいという反応です。
まず作ることが先ですね」
新型機の完成
数ヶ月が経った。
アッチ工場の弟子たちが三機を完成させた。
工場の前に並べた。
鳳凰
中型・人員輸送型。
翼を広げると優雅だった。
胴体に10名が乗れる空間があった。
金と赤の塗装だった。
不死鳥の模様が側面に刻まれていた。
大鵬
大型・貨物輸送型。
鳳凰の倍以上の大きさだった。
胴体が広く荷物を大量に積める。
重厚な青の塗装だった。
大鷲の模様が刻まれていた。
飛燕
小型・偵察型。
三機の中で最も小さく速い。
1〜2名が搭乗できる。
白と銀の塗装だった。
燕の模様が刻まれていた。
信が鑿を手にした。
一機ずつ、漢字を刻んだ。
命名式だった。
信:「鳳凰。大鵬。飛燕。
俺がいた世界の言葉だ。
これがこの三機の名前だ」
アッチ:「弟子たちが作った。
俺が作ったわけじゃない」
アルキ:「アッチさんがいたから作れたんです」
アッチ:「まだ早い。
喜ぶのは無事テストを終えてからだ」
国民が拍手した。
子どもたちが大騒ぎした。
タルパ:「乗りたいモグ」
ルドルフ:「俺も乗りたいッス」
馬人ルドルフとタルパが並んで三機を見上げた。
カイ・ラガンが静かに見ていた。
カイ・ラガン:「人間と獣人が
空を制した。
世界が変わる」
テスト飛行と空の魔獣
翌日、テスト飛行が始まった。
海人国シーベルトまでの空路でテストとなった。
鳳凰にイェラキが搭乗した。
大鵬にアエトスが搭乗、荷物を積んで飛ばした。
飛燕にシルトが搭乗した。
三機が編隊を組んで空に上がった。
国民が見守った。
高度を上げた時だった。
空から影が来た。
翼を持つ大型の魔獣だった。
空の魔獣ワイバーンだった。
鳳凰に向かって突進してきた。
イェラキ:「早速魔獣のお出ましだ。
これから攻撃機能を試す」
鳳凰の翼が展開した。
烈風から受け継いだ攻撃機能だった。
風の刃が放たれた。
魔獣が弾かれた。
飛燕が高速で回り込んだ。
偵察機能で魔獣の動きを全て把握した。
大鵬が防衛機能を発動した。
魔獣が近づけなくなった。
三機の連携が機能した。
魔獣が諦めて去った。
アエトス:「攻撃、防衛、偵察の連携が機能しました。
問題なし」
信:「よし」
地上で見ていた国民が歓声を上げた。
三機は無事シーベルトとの往復を果たした。
各国への完成報告
メールバードが一斉に飛んだ。
「新型航空機、完成。 テスト飛行成功。 見学の日程を調整したい。
クロノスリュカ国王リュカ」
数日後、来客が揃った。
聖王教国ガルディウス将軍が来た。
魔術王国ソルマーレのエルネスト皇子が来た。
商業国家マルカンドのマンサ・バティートが来た。
ドワーフ国から三親方のオラーリグ・サークスム・クラーピスが来た。
シルトの街の空港前に三機が並んだ。
ガルディウス:「これが飛ぶのか。
我が国の飛空挺とは大きさが違うな」
エルネスト:「なんて美しいんだ。
早く乗ってみたいものだ」
マンサ:「大きさが違うな。
これは貨物をどのくらい積める」
オラーリグ:「材質は何だ。
詳しく教えろ」
サークスム:「あの浮いている感じは
何だ。
ルーンか?」
クラーピスは無言で翼を触っていた。
三機が一斉に飛び立った。
全員が空を見上げた。
しばらく誰も話さなかった。
ガルディウス:「航路を繋ごう。
カルシアと」
エルネスト:「ソルマーレも」
マンサ:「マルカンドも当然だ」
オラーリグ:「技術を教えてくれるならドワーフも参加する」
四便のテスト運行
各国の合意を得て、テスト運行が始まった。
鳳凰/機長:イェラキ
第1便:クロノスリュカ→聖王教国カルシア
大鵬/機長:アエトス
第2便:クロノスリュカ→商業国家マルカンド(積荷あり)
鳳凰/機長:イェラキ
第3便:クロノスリュカ→魔術王国ソルマーレ
大鵬/機長:アエトス
第4便:クロノスリュカ→ドワーフ国(積荷あり)
全機無事に往復を遂げる。
これにより時間が大幅に短縮された。
世界を繋ぐプロジェクトの始動
信が全員に告げた。
信:「テスト運行は成功した。
次の目標は取引のない国、未知の国の発見だね。
世界全体を航空機で結ぶ。
それが最大のプロジェクトになる。
各国内の調整を進めてほしい」
狐人ドミナスが信の隣に立った。
全体を見渡した。
ドミナス:「忙しくなるわね」
大変そうだった。
しかし微笑んでいた。
鼠人アルラッテと狸人ラックが隅でコソコソと話し合っていた。
アルラッテ:「これは観光をビジネスにできます」
ラック:「当然、もう考えてます。
鳳凰で世界を巡るツアー。
各国の食、文化、景色。
売れるわー」
アルラッテ:「収益試算を出します」
ラック:「演出は任せてちょうだいだわさ」
アルラッテ:「頼もしーい」
二人が同時に動き始めた。
信が手帳に書いた。
空を結ぶ。 世界が小さくなる。 小さくなれば、繋がれる。 繋がれば、理解できる。 理解できれば、共存できる。 それがこの国の目指すものだ。 まだ見ぬ国が、世界にある。 行こう。
========================================
建国プロジェクト:状況報告
第5部・世界編 第1話終了時点
========================================
新型機完成
鳳凰(人員輸送)
大鵬(貨物輸送)
飛燕(偵察)
浮石の発見
コダが竜の国経験後に発見
魔法に反応して浮く特性
新型飛行船に活用予定
空港整備
シルトの街に空港が完成
タルパが地下格納庫を設計
テスト運行成功
四便が同時に成功
各国が航路参加を表明
新プロジェクト始動
世界を航空機で結ぶ
未知の国の発見が目標
新ビジネス
アルラッテ×ラックが
観光ビジネスを企画開始
次のマイルストーン
→第2話:航空便の本格運用
========================================
第5部 第1話 終了
次話:「空路の時代」




