第4部 第11話「ロガとローフェン」
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建国プロジェクト:状況報告
第4部・共存編 第11話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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国民 :8500名以上
状況 :帰還後・日常が戻っている
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日常の稽古が続く
夜明け前から訓練場に人影が二つあった。
毎朝の光景になっていた。
狼人ロガとその息子、狼人ローフェンだった。
言葉は相変わらず少なかった。
しかし剣で多いに語りあっている。
ロガの剣がローフェンの癖を指摘し、ローフェンの剣がその指摘を受け入れた。
ローフェンの成長速度が異常に速かった。
精霊の欠片が体の中で燃えていた。
その稽古をジャッカルの獣人ジャックが眺めていた。
複雑な顔をしていた。
コヨーテの獣人コヨル:「難しい顔をしてる」
ジャック:「俺よりローフェンに熱心じゃないか」
コヨル:「嫉妬ですか?」
ジャック:「そんなんじゃねぇ!」
ジャックが黙った。
ローフェンの過去
鹿人コダとローフェンが話す機会が増えた。
歳も近しく、精霊に通じた者同士気軽に話せる間柄となっていた。
精霊の話をしながら、ローフェンが少しずつ過去を話した。
母親の話。
奴隷として生きた話。
ロガへの怒りと悲しみが混在していた。
コダが黙って聞いた。
コダ:「精霊の欠片は感情と言ってもいいのかも。
怒りも、悲しみも、全部お前の力になっているんだと思うよ」
ローフェンが少し楽になった。
ランキングバトル・ローフェン対ジャック
今月の獣楽祭でのランキングバトルが開催。
ローフェンが従騎士級に昇格していた。
試合の組み合わせでローフェン対ジャックになった。
実況台にラックが立った。
解説席に信が座った。
試合が始まった。
ジャックが先に動いた。
速い攻撃だったが、ローフェンが受ける。
ジャック:「俺は本気でロガ越えに挑んでいる。
悪いが負ける訳にはいかないぞ」
激しい打ち合いになった。
ジャックの技術が光った。幾多の実践で培われた技術だ。
しかしローフェンの動きが変わり始めた。
体の中の精霊の欠片が反応した。
喜び、悲しみ、怒り、安らぎ。
様々な感情が力になった。
その時、ローフェンの剣が光った。
それは小さな光だった。
剣の精霊だった。
幼精霊、まだ形が定まっていなかった。
しかし精霊の欠片が持つ感情と共鳴した。
剣が一瞬だけ重さを忘れた。
ローフェンが踏み込んだ。
速さが力となり、力が重さとなった。
ガードしたジャックの木刀ごと弾き飛ばす。
体制を崩したジャック。
立て直しつつ、ローフェンの姿を探すが見つけられない。
気配を探ろうとしたその瞬間、肩に剣を置かれた。
ラック:「決まりました。
ローフェンの勝利です」
ジャックが自分の木刀を見た。
ルーン魔術が施され、これわる事は無いと言われた木刀が割れていた。
その力を認めざるを得なかった。
コヨル:「ジャックはジャックで強い」
ジャック:「うるさい。慰めなどいらん」
コヨル:「本心だってば」
しかしジャックの口元が少しだけ緩んだ。
試合後、ロガがローフェンに近づいた。
ロガ:「よくやった」
ローフェンが固まった。
初めてロガに褒められた。
何も言えなかった。
ロガが去った。
ローフェンが拳を握った。
信が遠くから見ていた。
夜の対話
夜、訓練場でローフェンが一人でいた。
足音がした。
狼人ロガだった。
そして梟人ミネルヴェも来た。
ローフェンが驚いた顔をした。
ミネルヴェが隅の石に座った。
ミネルヴェ:「気になっただけだ。
親子の団欒を邪魔はしない」
隅でミネルヴェが静かに見ていた。
長い沈黙の後、ため息をつきミネルヴェが口を開いた。
ミネルヴェ:「一つ、話しをしよう」
二人が見た。
ミネルヴェ:「ロガは真獣化をしてから嗅覚の能力が上がっている。
狼の嗅覚は感情も嗅ぎ取る。
恐れ、怒り、悲しみ、安らぎ。全部、匂いとして感じられる。
おそらくロガはローフェンの感情の変化を
ずっと感じ取っていた。
言葉にはしなかったが知っていたんだろう」
ミネルヴェは立ち上がり出口へ向かった。
ミネルヴェ:「そろそろ、お互い素直になってもいいと思うぞ」
ミネルヴェは立ち去った。
それを見届けロガがローフェンの向かいに座った。
長い沈黙があった。
ロガが口を開いた。
初めて自分の過去を話した。
剣闘士としての奴隷生活のこと。
闘技場のこと。
家族を探していたこと。
ローフェンが生きていたと知った時のこと。
ロガ:「捨てたわけじゃない。
でも、守れなかった。
それは俺の最大の失敗だ」
ローフェンが黙って聞いた。
長い沈黙があった。
ローフェン:「母さんは…」
ロガ:「ああ、聞いている。奴隷生活の中で死んだんだな。
俺が闘技場で戦っている間に」
また長い沈黙があった。
ローフェン:「俺は怒っていい」
ロガ:「ああ、怒っていい。
俺が悪い」
ローフェンの目に何かが浮かんだ。
しかし泣かなかった。
ロガが何も言わなかった。
しかし否定しなかった。
ローフェンがロガを見た。
ロガが正面を向いたまま座っていた。
ローフェン:「明日も、稽古に来るか」
ロガ:「来る」
翌朝
いつもと同じ朝の稽古だった。
しかし何かが違った。
二人の間の空気が軽かった。
犬人女王リュカが遠くから見ていた。
信に小声で言った。
リュカ:「なんか変わった気がするね」
信:「そうだな」
リュカ:「よかった」
信:「よかった」
ジャックの変化
ジャックがコヨルに愚痴った。
ジャック:「ローフェンはずるい。
稽古をつけてもらって」
コヨル:「ジャックがロガさんに稽古をお願いすればいい」
ジャック:「それはダメだ」
コヨル:「プライドの問題か」
ジャック:「違う、俺は自分の力で強くなるんだ」
コヨル:「稽古をつけてもらっても、強くなるのは自分の力じゃないか」
ジャック:「それは……」
しかし翌日の朝、ジャックがロガの前に立った。
頭を下げた。
ジャック:「稽古をつけてほしい」
ロガ:「いいぞ」
ジャックが嬉しそうにした。
すぐに真剣な顔に戻した。
コヨルが遠くから見ていた。
コヨル:「ジャックはジャックで、素直ないいやつだよね」
信が手帳に書いた。
ロガとローフェンの話は
まだ終わっていない。
でも始まった。
それで十分だ。
人の心は国づくりより
時間がかかる。
でも、それが一番大事なことだ。
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建国プロジェクト:状況報告
第4部・共存編 第11話終了時点
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ロガとローフェン
ロガが初めて過去を話した
完全な和解ではないが確かに始まった
剣の精霊の目覚め
ローフェンの剣に幼精霊が宿った
精霊の欠片との共鳴が勝利を生んだ
ミネルヴェの分析
真獣化後のロガは嗅覚で感情を感じ取れる
ローフェンの変化をずっと感じていた
ランキングバトル
ローフェンが従騎士級に昇格
ローフェン対ジャックの一戦
ローフェンが勝利
ジャックの変化
ロガに稽古を頼んだ
プライドを捨てた一歩
次のマイルストーン
→第12話:竜の国への道
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第4部 第11話 終了
次話:「竜の国への道」




