第4部 第12話「竜の国への道」
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建国プロジェクト:状況報告
第4部・共存編 第12話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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国民 :8000名以上
状況 :竜の国への準備が始まる
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ある朝、リュカが神殿から出てきた。
いつもと顔が違った。
信がすぐに気づいた。
リュカ:「クロノスの気配が強くなっているの。
何かが変わろうとしている」
信が梟人ミネルヴェと竜人カイ・ラガンを呼んだ。
三人でリュカの力を確認した。
カイ・ラガンがリュカの前に立った。
目を閉じた。
長い沈黙があった。
カイ・ラガン:「次元の境界を感じられるようになっている。
竜の国の扉に手が届き始めている」
梟人ミネルヴェ:「文献を調べてみる。
空間支配が次の段階に進もうとしているのかもしれない」
竜の国への道の整理
カイ・ラガンが図書館の壁に情報を並べた。
東の大陸の帝都の碑文。
フリッグの伝承。
竜門で感じた次元の境界。
帝都からもらった古地図。
全部を繋げると一つの答えが見えた。
カイ・ラガン:「竜の国は次元の狭間にある。
物理的な場所はきっかけにすぎない。
リュカの次元支配が扉を開く唯一の鍵だろう」
ミネルヴェが記録した。
鹿人コダと鹿人ソラが地図を描いた。
カイ・ラガンが語る竜の国
ミネルヴェがカイ・ラガンに頼み、知っている限りの竜の国を聞く。
カイ・ラガンが珍しく長く語った。
竜の国は次元の狭間に存在していた。
時間の流れが外とは違った。
竜人たちが世界の均衡を保つために次元の壁を内側から守っていた。
竜の国に入れるのは原初神と繋がった者か竜の血を持つ者だけだった。
リュカはクロノスと繋がっていた。
だから扉が開く可能性があった。
カイ・ラガンは竜の国に帰れなくなって長い時間が経っていた。
ミネルヴェ:「帰れなくなった理由は」
カイ・ラガン:「それは今は話せない。
ただ、リュカが扉を開けば俺も帰れるかもしれない」
全員が黙った。
カイ・ラガンが初めて帰りたいという感情を見せた瞬間だった。
竜門での訓練
竜門を使った訓練が始まった。
懐中時計越しに竜門の向こうを感じる訓練だった。
リュカが目を閉じた。
次元の境界に手を伸ばした。
その瞬間だった。
境界がざわつき、竜門の光が乱れた。
カイ・ラガン:「何かが、来る」
次元の狭間から何かが滲み出てきた。
最初は小さかった。
しかし次々と大きくなった。
虫に似た形をしていた。
甲殻が黒く光を吸収していた。
複数の目が並んでいた。
無数の細い脚が空間を掴んでいた。
翅が次元の狭間を引き裂くように動いていた。
近づくと空間が歪んだ。
渓谷にいた幼精霊たちが消えていった。
下位精霊が怯えて逃げた。
カイ・ラガン:「ヴォイド、次元蟲か」
信:「知っているか」
カイ・ラガン:「次元の狭間に住む存在だ。
本来は小さく取るに足らない。
竜人にとっては害虫程度の認識だ。
しかし、これは」
カイ・ラガンが目を細めた。
カイ・ラガン:「これほど大きくなっているとは。
次元の壁が薄くなったことで力を溜め込んでいたか」
通常攻撃が通じない
狼人ロガが真獣化した。
剣を振り下ろした。
刃が次元蟲の甲殻を通り抜けた。
手応えがなかった。
ロガ:「力では対抗できんぞ」
信が紅蓮で砲撃した。
炎の砲弾が甲殻に当たった。
弾かれた。
熊人ジグニが岩を叩きつけた。
効かなかった。
次元蟲が渓谷を動き回った。
精霊が次々と消えていった。
信:「カイ・ラガン、どうやったら倒せるんだ」
カイ・ラガン:「通常の攻撃は通じない。
次元の存在だから。
精霊の力が必要だ」
コダとローフェンが動く
鹿人コダが地面に座った。
目を閉じた。
精霊の欠片に語りかけた。
狼人ローフェンが胸に手を当てた。
精霊の欠片が反応した。
感情の渦が体の中で動いた。
喜び。悲しみ。怒り。安らぎ。様々な感情が一つになった。
それはまとまり光になった。
欠片のいくつかが形をなし始めた。
小さな精霊の姿になった。
コダの手の上に。
ローフェンの肩の上に。
光が次元蟲に向かった。
次元蟲の甲殻が光に焼かれた。
初めてダメージが入った。
次元蟲が初めて怯んだ。
コダ:「効いている」
ローフェン:「もっと出せるか」
コダ:「やってみる」
二人が力を合わせた。
精霊の欠片がさらに形をなした。
光が束になった。
次元蟲の甲殻が割れた。
次元蟲がこの場に留まれないと判断した。
次元の境界に穴を開け、狭間に逃げ込んだ。
穴が閉じ、静寂が戻った。
渓谷に風が吹いた。
戦闘後
全員が息を整えた。
カイ・ラガンが静かに言った。
カイ・ラガン:「精霊の力が有効だとわかった。
次元の壁が安定すればこちら側には来られない。
文化を育てることが最大の防衛になる」
信:「また来るかな」
カイ・ラガン:「来るというより、どこにでもいる存在だ。
しかし今は弱い状態だろう。
精霊の力で傷ついた。
回復に時間がかかる。
あと考えるのは、あれの他にもいるのかどうか」
ミネルヴェが記録しながら言った。
ミネルヴェ:「ケイオスの眷属とは違う気配だった。
何か別の存在が関わっているかもしれない。
調査する」
カイ・ラガン:「次元蟲についてはまた改めて話す」
カイ・ラガンが何かを知っている様子だった。
しかし今は話さなかった。
リュカの練習再開
次元蟲が去った後、渓谷が静かになった。
リュカが竜門に向けて時空魔法を展開した。
次元の境界に手を伸ばすが、届かなかった。
しかし感じることはできた。
リュカ:「もう少しだ」
カイ・ラガン:「焦るな。
焦ると、本来届くものも届かなくなる」
リュカ:「でも急ぎたい」
カイ・ラガン:「確実に進めることが、一番の近道だ。
気を平に保つよう心掛けるんだよ」
カイ・ラガンが笑った。
全員が静止した。
全員が初めてカイ・ラガンの笑顔を見た。
信:「笑うんですね」
カイ・ラガン:「余計なことを言ったかな」
ミネルヴェ:「いや、俺も同じように考えていますから」
信への影響
訓練が終わった後、信がミネルヴェと二人になった。
ミネルヴェが静かに言った。
ミネルヴェ:「リュカの力が育てば次元を越えられる。
お前の元いた場所にも届くかもしれない」
信:「…………」
ミネルヴェ:「どうするか、考えているのか」
信:「いや、考えていない。
というより、考えないようにしている。ですかね」
ミネルヴェ:「まあ、決めるのはお前だからな」
信が手帳を握った。
ミネルヴェがそれ以上は言わなかった。
リュカと信の会話
夜、時計塔の頂上に二人が並んだ。
リュカが練習の話をした。
信が聞いた。
しばらくして、リュカが聞いた。
リュカ:「ねえ、しん。
元の世界に、帰りたいと思っている?」
信が少し間を置いた。
信:「今は、ここにいる」
リュカ:「うん」
信:「リュカが竜の国の扉を開いたら一緒に行こう。
その先のことはその時に考えるよ」
リュカ:「……うん」
リュカが信の服の端を掴んだ。
信が気づいていた。
何も言わなかった。
二人で夜の渓谷を見ていた。
光の精霊が時計塔の周りを舞っていた。
さっきよりも少なかった。
次元蟲に消された精霊が戻っていなかった。
カイ・ラガンとローフェン
深夜、図書館でカイ・ラガンが一人で竜の国の記録を書いていた。
狼人ローフェンが来た。
眠れなかったという。
カイ・ラガンが記録を見せた。
ローフェン:「精霊の欠片が夢に出てくるだ」
カイ・ラガン:「精霊の感情だ。
夢で話しかけているんだろう。
何を言っている」
ローフェン:「色々だ。
嬉しいとか。
怖いとか。
帰りたいとか」
カイ・ラガン:「帰りたい、か」
カイ・ラガンが少し黙った。
ローフェン:「竜の国には精霊もいるか」
カイ・ラガン:「いる。
というか、全ての存在が近しいところだ」
ローフェン:「俺が行ってもいいか」
カイ・ラガン:「お前は鍵だ。
むしろ行かなければならない」
ローフェンが初めて竜の国への旅に前向きになった。
信が手帳に書いた。
次元蟲が現れた。 精霊の力で撃退した。 コダとローフェンが鍵だった。 竜の国への道は正しい。 でも、道には番人がいる。 精霊を育てることが最大の準備だ。 文化が国を守る。 信じてきたことが証明された。
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建国プロジェクト:状況報告
第4部・共存編 第12話終了時点
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竜の国の真実
次元の狭間に存在する
リュカの次元支配が唯一の鍵
カイ・ラガンが帰れなくなった事実
次元蟲の出現
次元の狭間から滲み出てきた
通常攻撃が通じない
精霊の力でダメージを与えた
狭間に逃げた
ミネルヴェが調査開始
カイ・ラガンが何かを知っている様子
コダとローフェンの活躍
精霊の欠片が形をなした
精霊の力が次元蟲に有効だと判明
リュカの成長
次元の境界を感じられるようになった
カイ・ラガンの変化
初めて「帰りたい」という感情を見せた
初めて笑った
信の帰還問題
「考えないようにしている」
リュカに「今は、ここにいる」と答えた
ローフェンの変化
竜の国への旅に前向きになった
精霊の欠片が夢に出てくる
次のマイルストーン
→第13話:謎の精霊ナゾの正体
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第4部 第12話 終了
次話:「謎の精霊の正体」




