第4部 第2話「新しい学校の先生たち」
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建国プロジェクト:状況報告
第4部・共存編 第2話開始時点
現在地:クロノスリュカ・シルトの街
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国民 :8000名以上
状況 :学校拡大が急務
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朝、定例の国議会が行われる。
国が大きくなり始め、毎朝、各分野の代表が集まり目標や課題を共有する。
ミネルヴェ:「生徒が溢れている。
既存の学校では対応できない。
教育の機会を全国民に与えなければならない」
信:「そうですよね。
新しく加わった人たちにも学んで欲しいですし。
今の学校を大きく改築しましょうか」
ミネルヴェ:「いや、シルトの街に新設した方がいいな。
校舎の建設は追々としてまずは青空教室でいいだろう」
信:「いいね。青空教室。
俺も生徒で参加したいな」
ミネルヴェ:「お前にはやるべきことが沢山ある」
信:「はい。分かってます……」
信が基本方針を全国民に発表した。
信:「仕事・教育・余暇。それぞれの充実。
これがこの国の新しい柱です。
全国民が学ぶ機会を持つ。
子どもだけではない。
大人も学べる場所を作ります」
大人向けの日曜学校も開設することが決まった。
青空教室の初日
シルトの街の広場に机と椅子が並んだ。
空の下だった。
風が吹いていた。
新規の生徒が大量に参加した。
年齢も種族もバラバラだった。
子どもの横に大人が座った。
大人の横に老人が座った。
ミネルヴェが教壇に立った。
ミネルヴェ:「うるさい。静かにしろ」
風の魔法を使ってマイクの様に広場に声が響く。
全員が静かになった。
ミネルヴェ:「今日から教える。
学びたくない者は帰っていい。
ただし、後で後悔しても知らないぞ」
誰も帰らなかった。
魔法と魔術の基礎授業
新規生徒が多かったため、基礎から説明することになった。
ミネルヴェが黒板に書いた。
魔法とはー
精霊の力を借りて起こす現象。精霊との対話が必要だった。感覚・感情が重要だった。
魔術とはー
呪文で起こす現象。仕組みの理解が必要だった。記憶と論理構築が重要だった。
白魔術ー
内に干渉する力。自分や他者の力を高める。
回復力の強化・体力増強が得意だった。白魔術で無から物を作ることはできない。
黒魔術ー
外に干渉する力。外界の現象を操る。
火の力の強化・風の操作など。
ただし黒魔術で無から火を起こすことはできない。火があってこそ、その力を高められた。
ルーン魔術ー
物に干渉する。道具・武器の性質を変える。
硬度の向上・切れ味の強化など。黒魔術の一派。
精霊魔法ー
上位の精霊と共鳴して使う力。
通常の魔法より桁外れの力が出た。
選ばれた者のみが使えた。
大人の生徒:「魔法と魔術、どちらが強いですか」
ミネルヴェ:「使う者次第だ。次の質問」
子供の生徒:「先生はどちらが得意なんですか?」
ミネルヴェ:「黒魔術だ。
私は、人生をかけて磨いた。
お前たちにはその時間がたっぷりとあるな」
生徒たちが笑った。
ミネルヴェが続けた。
種族ごとの適性についてだった。
ミネルヴェ:「動物は魔法を得意とする。
精霊との親和性が高い。
幻獣・魔獣と呼ばれる存在もこの力が強い。
人間は魔術を得意とする。
論理的思考と相性がいい。
ルーン魔術の使い手が多い。
獣人は魔法・魔術どちらも操れる。
両方の血が混じっているからだ。
獣人は動物、魔術と魔法に関して、
人間それぞれには及ばないのが一般的だが、まれに陵駕する者が現れる。
それぞれに適性があるものだ。
まずは、色々と試し、自分の適性を早めに見極めることだ」
新しい先生たち
アルラッテの算術の授業
鼠人アルラッテが黒板に数式を書いた。
問題を出す前に答えを言い始める生徒が現れた。
小さな鼠人の子どもだった。
アルラッテ:「君、名前は」
生徒:「ランカといいます」
アルラッテ:「明日から隣に座って」
アルラッテは商業の天才の卵兼助手候補を見つけ、心の中でほくそ笑んだ。
コダの精霊学の授業
鹿人コダが生徒たちに問いかけた。
コダ:「精霊はどこにいると思う?
土の中。水の中。火の中。どこにでもいるんだ。
その声が聞いてみてください」
一人の子どもが手を挙げた。
子ども:「今、土の中から何かが聞こえます」
コダ:「授業の後で話しかけてみよう。
話を聞くことが第一歩だよ」
コダが目を輝かせた。
ロガの武術訓練
狼人ロガが教壇の前に立った。
何も言わなかった。
ロガ:「まずは挑戦したい者は前に出ろ」
新規生徒の中の大型の獣人が前に出た。
3秒で終わった。
ロガ:「次は?」
誰も出なかった。
ロガ:「では訓練を始める」
フォーヌのルーン魔術の授業
猪人フォーヌが鉄の板を一枚取り出した。
ルーン文字を刻んだ。
板が光った。
硬度が上がった。
フォーヌ:「物に力を込める。
これがルーン魔術だ。
センスがある者にはわかる。
センスがない者にはわからない。
でも練習すればわかるようになる。
とにかくやってみろ」
生徒たちが鉄の板を手に取った。
ダレトの料理の授業
兎人ダレトが厨房に生徒たちを連れていった。
ダレト:「料理は理論なんだ。
物の組み合わせで美味しくも苦くもなる。
色々と試す必要があるが、その前に素材自体の味を知らないと始まらない」
生徒たちに素材を食べさせた。
それから思い思いに料理を作らせた。
熊人ショコラが調理台の前で目を輝かせていた。
ショコラ:「ダレト先生、このカカオで何か作れますか」
ダレト:「カカオ? なぜ持っている」
ショコラ:「シーベルトから取り寄せました」
ダレト:「まったく、授業の後で一緒に試してみよう」
ラギラブの農耕の授業
兎人ラギラブが農村に生徒たちを連れていった。
土を触らせた。
種を植えさせた。
ラギラブ:「土を知れ。
土が全ての始まりだ。
この土に何が入っているかわかる者は手を挙げろ」
誰も手を挙げなかった。
ラギラブ:「農作は土との会話なんだ。
まずは、わかるまで触り続けろ。
土はいつでも答えてくれる」
カイ・ラガンの特別講師就任
ミネルヴェがカイ・ラガンに頼んだ。
ミネルヴェ:「世界の歴史を教えてほしい。
竜人が見てきた世界を」
カイ・ラガン:「子どもたちに話す必要があるか」
ミネルヴェ:「あるとも。
子供たちはこの国の未来だ。
奴隷としての生しか許されたなかった我々獣人が
自分たちの世界を作っていく存在なんだ」
カイ・ラガン:「まあ、上位精霊たちの戦争も控えているしな」
ミネルヴェは静かに頷く。
カイ・ラガンが教壇に立った。
子どもたちが静かに見上げた。
竜人というのは長命の種族。そのため、彼から見れば子どもたちなど赤子に等しかった。
そう思って教壇に立った。
最初の質問が来た。
土竜人タルパ:「竜の国はどこにあるモグ」
カイ・ラガンが少し驚いた。
鹿人コダ:「精霊の声と竜の声は似ていますか」
鼠人アルラッテ:「竜人の経済活動はどのような形ですか」
馬人ルドルフ:「竜の炎と俺の炎は同じですか」
鹿人ソラ:「竜の国の地図はありますか。
一緒に作りたいです」
カイ・ラガンが黙った。
長い沈黙があった。
カイ・ラガンは「赤子ではないのか」と呟くと目を開く。
カイ・ラガン:「いいだろう。全員の質問に答えてやろう。
ただし時間がかかるからな。覚悟しておけよ」
子どもたち:「はい!」
リュカが一番後ろで聞いていた。
カイ・ラガンが初めて、子どもたちを正面から見た。
道徳の授業
信が道徳の授業を担当することになった。
ミネルヴェ:「お前が適任だ」
信:「俺が?」
ミネルヴェ:「この国を作った者が
この国の根幹を教える。
当然だ」
信:「参ったな。大事だとは言ったけど、俺に教えられるか」
最初の授業だった。
信が黒板に書いた。
「誰も捨てない」
信:「これがこの国の根幹だ。
なぜそう思うか、話す。
15分だけ聞いてほしい」
生徒たちが聞いた。
大人も子どもも聞いた。
15分が30分になった。
1時間になった。
誰も席を立たなかった。
生徒たちの成長の芽
授業を通じて、それぞれの才能が見え始めた。
アルラッテが商業の天才ランカを発見した。
アルラッテ:「この子は私より上かもしれません」
信:「それは楽しみだ」
アルラッテ:「負けたくはないですが」
信:「もし自分より上だったら、喜ぶべきだ」
アルラッテ:「どうして?」
信:「君も十分すぎるほど優秀だ。二人になったらもっと大きことができるだろう」
アルラッテ:「なるほど、そういう考えも」
タルパが信に設計図を提出した。
地下都市の計画だった。
タルパ:「地下に街を作ろうと思うモグ」
信:「地下都市?」
タルパ:「地震にも強いし魔獣の攻撃も届かないモグ」
信:「できるかい?」
タルパ:「やって見せるモグ」
信:「分かった。アッチに見せてみて」
ルドルフがサラマンダーの加護を授業で発揮した。
炎の使い手として頭角を現した。
ソラがカイ・ラガンの話を聞きながら地図を描き続けた。
地理学の第一人者になりつつあった。
ショコラがカカオからチョコレートの試作を始めた。
初めて甘い固形のお菓子が生まれた。
ショコラ:「できた」
ダレト:「これは料理じゃない。
芸術だ」
ショコラ:「ありがとうございます!」
青空教室の夕暮れ
授業が終わった。
生徒たちが帰っていった。
空がオレンジ色になっていた。
ミネルヴェが片付けをしながら言った。
ミネルヴェ:「悪くないな。青空教室」
信:「校舎の完成は少し待ってください」
ミネルヴェ:「急がなくていい。
この青空教室にはこれはこれでいいものがある」
カイ・ラガンが空を見ていた。
カイ・ラガン:「次の授業が少し楽しみだ」
ミネルヴェ:「初めてそういうことを言ったな」
カイ・ラガン:「余計なことを言った」
ミネルヴェ:「いや、いいことだ」
信が手帳に書いた。
学ぶことは、生きることだ。 この国に、学びの文化が根付き始めた。 次の世代が、この国を作っていく。
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建国プロジェクト:状況報告
第4部・共存編 第2話終了時点
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教育の確立
基礎教育:全国民対象
専門教育:各分野で開始
日曜学校:大人向け
武術教育:週1の模擬戦
新しい先生たち
ミネルヴェ・コダ・アルラッテ
フォーヌ・アッチ・ダレト
クラグル・ラック・ラギラブ
カイ・ラガン(特別講師)
カイ・ラガンの変化
子どもたちの才気に驚いた
「次の授業が楽しみ」と言った
生徒の才能の芽
アルラッテが商業の天才ランカを発見
タルパが地下都市計画を提出
ルドルフが炎の使い手として開花
ソラが地図製作の第一人者へ
ショコラがチョコレートを初製作
ショコラの菓子
カカオからチョコレートが誕生
「料理じゃない。芸術だ」(ダレト)
次のマイルストーン
→新しい精霊の誕生
→人間の観客も呼ぶ初の獣楽祭
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第4部 第2話 終了
次話:「音楽堂の夜」




