第3部 第10話「清風と神代の短刀」
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建国プロジェクト:状況報告
第3部・解放編 第10話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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国民 :620名以上
緊急事態:瘴気による病人が多数
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鷲人アエトスが渓谷の中央に立った。
翼を広げた。
シルフィードの加護が発動した。
風が変わった。
重く淀んでいた空気が、一瞬で入れ替わった。
瘴気が色を失った。
黒く変色していた森の木が、少しずつ緑を取り戻した。
病魔に蝕まれて横たわっていた国民が、目を開き始めた。
羊人クラグル:「よかった。これで大丈夫ね」
渓谷に清潔な風が流れた。
鹿人スタアーグが森を歩いた。
深呼吸した。
スタアーグ:「森が戻っている。
ありがとう、アエトス」
鷲人アエトス:「シルフィードのおかげです」
クロノスからの言葉
リュカが神殿でクロノスと話している。
クロノス:「昔、シルフィードにあるものを預けていた。
ケイオスやタルタロスと戦ていた時に使っていた短刀だ。
アダマスという素材で作られている。
今後の戦いにあった方がいいだろう」
リュカ:「アダマスの短刀。私が使っていいの?」
クロノス:「今の私は武器を扱える状態にない。
お前が使え」
リュカが信に報告した。
信:「風産みの塔に取りに行く必要があるな」
リュカ:「うん。
あと、学校の探索実習も兼ねたい」
信:「探索実習?」
リュカ:「ミネルヴェ先生がいつかしないとって言ってた。
フィールドワークって言うのを生徒達に必要だって」
信:「まるで遠足だな」
メンバー選考
鼠人アルラッテが手を挙げた。
アルラッテ:「新型のブーツ型の実用テストをしたいんです」
信:「ブーツ型?」
アルラッテ:「戦闘時のスピード。
私のウィークポイントを補う新しい機械脚です」
信:「次から次に、向上心の塊みたいな子だな、君は」
アルラッテ:「しんさんを見習ってのことです!」
アルラッテがもう一つ提案した。
アルラッテ:「後、せっかくだからカティさんも護衛として連れていきましょう」
猫人カティ:「何が折角なんだ」
アルラッテ:「カティさんはいつも国の防衛で居残りばかりです。
たまには外の空気を吸わないとですよ」
カティ:「私がいない時に国の治安は誰が守る」
信:「いいんじゃないですか。たまに外に出るのも
治安維持も他の仲間を信じていいでしょう」
カティは渋々了承した。
メンバーが決まった。
【遠征メンバーの子どもたち】
犬人女王リュカ(9歳・国王だが、今日は学級委員長)
鹿人コダ(10歳・ノームの加護持ち)
鷲人アエトス(10代・シルフィードの加護持ち)
兎人ダレト(11歳・弁当・料理担当)
鼠人アルラッテ(8歳・ガントレット・ブーツ型テスト)
土竜人タルパ(8歳・地下探索が得意)
燕人ウィン(6歳・最年少・歌が好き)
猫人ニャル(9歳・暗部見習い・無口)
馬人ルドルフ(8歳・火の魔法使い)
鹿人ソラ(8歳・地図作成担当)
【引率・護衛】
信(引率)
猫人カティ(護衛)
出発前、信が全員に言った。
信:「探索実習とはいえ、塔の中には魔獣がいる可能性がある。
必ず俺かカティの指示に従うこと。
単独行動は禁止だからね」
ルドルフ:「了解ッス」
タルパ:「了解モグ」
ウィン:「はーい♪」
アルラッテ:「大丈夫、大丈夫!」
カティが信に小声で言った。
カティ:「これは護衛ではなく保育係だな」
信:「そうかも、しれません」
転移ゲートで最上階へ
転移ゲートを潜った。
風産みの塔の最上階だった。
シルフィードの光がアエトスに語りかけた。
アエトス:「シルフィードが言っています。
短刀は確かに預かったのを覚えてる、と。
でも……」
信:「でも?」
アエトス:「遠い昔のことでどこに置いたか忘れた、とのこと」
信:「あちゃー」
全員が沈黙した。
リュカ:「忘れたって。どの辺とかないの?」
アエトス:「多分1階の方だったと思う、とも言っています」
信:「しょうがない、下まで探索するしかないね」
カティ:「この塔は何階建てだ」
アエトス:「……数えていないそうです」
カティは額に手を当てる。
ソラ:「地図を作りながら進みます」
タルパ:「任せるモグ」
探索開始
階段を下りながら探索した。
鹿人ソラが地図を描きながら進んだ。
土竜人タルパが床をコンコンと叩いて構造を確認した。
タルパ:「この床、空洞モグ。隠し部屋がありそうモグ」
信:「どうやってわかる」
タルパ:「叩いた音が違うモグ」
信:「すごいね」
ゴブリンの群れ
早速、暗がりからゴブリンが飛び出した。
馬人ルドルフがファイアアローで一掃した。
ルドルフ:「楽勝ッス」
カティ:「油断するなよ」
ルドルフ:「はいッス」
スライムの群れ
床が揺れた。
スライムが現れた。
剣が通じなかった。
鼠人アルラッテがガントレットの電撃機能を試した。
スライムが分裂した。
アルラッテ:「増えた」
タルパ:「しまったモグ」
鹿人コダが地面から塩の成分を錬成した。
スライムが溶けた。
アルラッテ:「なるほど。データを記録します」
コダ:「スライムには塩が効く。
ミネルヴェ先生の本に書いてあった」
信:「読んでいたのか」
コダ:「探索実習の前に予習してきました」
ミミック
棚に宝箱が並んでいた。
アルラッテが喜び開け続ける。
空箱が続いた数個目の箱はミミックだった。
牙の生えた大きな口を開きアルラッテを襲う。
アルラッテ:「うぎゃー!」
兎人ダレトが包丁でミミックの口のを切る。
ダレト:「もうちょっと慎重にな」
アルラッテ:「いやー、宝箱があると開けたくなるのものでしょう」
燕人ウィンが天井付近を飛びながら敵の位置を伝え続けた。
ウィン:「右から来るよ」
ウィン:「また右から来るよ」
ウィン:「また右」
コダ:「なんで全部右から来るんだ」
ウィン:「右に巣があるみたい」
信:「左から回ろう」
カティが全員の動きを確認しながら的確に指示を出し続けた。
カティ:「これは確かに保育係だな」
宝物庫の発見と暴走ゴーレム
最下層近くに重厚な扉を見つけた。
タルパ:「宝物庫の匂いがするモグ」
ソラ:「どんな匂い」
タルパ:「なんとなくモグ」
扉を開けた。
広い部屋だった。
棚に古い道具が並んでいた。
しかし部屋の中央に巨大なゴーレムが立っていた。
クロノスリュカの図書館前のゴーレムとは違った。
目が赤く光っていた。
信:「皆、散開だ!」
完全に暴走していた。
即座に攻撃してきた。
ルドルフが即座に発射したファイアアローは効果なく弾かれた。
アルラッテのガントレットからの銃弾も効果がなかった。
ゴーレムがアルラッテに素早く迫り拳を上げる。
アルラッテがブーツ型の噴射機能を起動し回避。
そのまま天井に張り付く。
コダ:「アルラッテ、ゴーレムの動きを止めて!」
アルラッテ:「了解!」
アルラッテはガントレットから大量のトリモチを打ち込む。
コダが前に出た。
床に古代の獣文字を刻んだ。
ゴーレムの足元が光った。
ゴーレムの動きが止まった。
コダ:「なんとか動きを止めました。
でも錬成したコードは突貫で作成したものです。
そう長い時間は止められません」
信:「よし、今のうちに探すんだ!」
全員が部屋を探した。
棚の奥の方に、短刀があった。
時を止めたように、綺麗なままで置かれていた。
刃が透明に近い色をしていた。
アダマスの短刀だった。
リュカが手に取った。
リュカ:「軽い」
信:「それがクロノスが使っていた武器なんだね」
リュカ:「そうみたい」
他にも謎の魔道具が数個、錆びた武具が数点あった。
鼠人アルラッテが素早くリスト化した。
アルラッテ:「全部持ち帰りましょう!
帰ったらミネルヴェ先生やアッチさんとフォーヌさんに調べてもらいます」
信:「しっかりしてるなー」
帰還への道・大蛇との遭遇
全員が宝物庫から出た。
コダ:「危ないところだった」
リュカ:「終わったね」
ダレト:「お腹も空いた」
ルドルフ:「割と楽勝だったッスね」
ウィン:「やったね〜♪」
信が全員を見た。
信:「はい、みんな。
遠足は帰るまでが遠足ですよ」
リュカ:「どう言うこと?」
信:「家に帰るまで、油断しないってこと。
終わったと思って気が緩んだら、どんな事故や災難に会うかもしれない」
全員が「はい!」と返事をした。
案の定だった。
最上階への階段を上り始めた時、下から大蛇が現れた。
全長10メートルだった。
狭い階段での戦闘だった。
カティ:「こいつは厄介そうだ。
私が前に出る。
後ろを固めろ」
カティが先頭に立った。
コダが錬成魔法で足場を作った。
ルドルフのファイアアローが蛇の鱗を焼いた。
アエトスが風で蛇の動きを封じた。
ニャルが急所を突いた。
タルパが床に穴を開けて蛇を落とした。
タルパ:「モグ」
ウィンが上空から次の動きを伝え続けた。
カティが大蛇の頭をしとめる。
その後、全員が息を切らして最上階に辿り着いた。
帰り際の交渉
空は夕日に染まっていた。
塔からの眺めはまるで絵画の様だった。
信:「絶景だな」
リュカ:「本当綺麗だね」
安心したのかリュカはお腹を鳴らす。
それを聞いて、みんなが大笑いをする。リュカは少し顔を赤る。
ダレト:「折角ですし、ここでみんなでご飯にしましょう。
食べられそうな魔物の肉は確保してますよ」
信:「でも、ここシルフィードの住まいでしょ。
いいのかな?」
アエトス:「別に構わない、と言ってます」
信:「確認早いな」
コダは錬成魔法で料理用の鉄板を作成。
簡易の調理場をこしらえる。
ルドルフが火を入れる。
ダレトが人数にあまりあるご馳走を用意。
宴会が始まった。
外は夜になり、満点の星空に覆われた。
皆楽しそうに料理を味わい、話しをし笑いあった。
ウィンが歌い始めると皆で合唱となった。
カティは信の横に腰掛けると無言で酒を進める。
二人は若者達の楽しそうな姿を見ながら静かに酒を飲んだ。
信:「よーし、そろそろお開きだ。
帰る準備を」
転移ゲートに向かう前にアエトスがシルフィードに話しかけた。
アエトス:「宝物庫のゴーレムを連れていっていいですか。
暴走しているので止めてあげたい」
シルフィードが光で答えた。
アエトス:「どうぞ、と言っています。
正直、邪魔だったそうです」
信:「そうか。
ありがとうございます。
リュカ、ここに移動できるかな」
リュカ:「これくらいの距離なら大丈夫」
リュカは時空魔法を展開し、ゴーレムを転送させた。
コダがゴーレムを停止させたまま転移ゲートに向かって引きずった。
タルパ:「重いモグ」
ルドルフ:「手伝うッス」
コダ:「ありがとう」
全員で転移ゲートを潜った。
渓谷が見えた。
カティが渓谷を見た。
帰ってきた。
カティ:「……案外、悪くないもんだな」
信:「また一緒に行きましょう」
カティ:「たまに、ならな」
渓谷に夕焼けが広がった。
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建国プロジェクト:状況報告
第3部・解放編 第10話終了時点
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シルフィードの加護の効果
瘴気が完全に浄化された
病魔に蝕まれた者が全員回復
森が緑を取り戻した
入手物
アダマスの短刀(クロノスの武器)
→リュカが所持
謎の魔道具:数個/錆びた武具:数点(ミネルヴェ、アッチ、フォーヌが調査予定)
暴走ゴーレム(修復予定・コダが担当)
アルラッテの装備テスト
ブーツ型:実戦テスト完了
子どもたちの成長
実戦経験・チームワークが向上
カティが遠征に初参加
次のマイルストーン
→野盗の獣人たちの対応
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第3部 第10話 終了
次話:「野盗の獣人たち」




