第3部 第7話「大地の恵み」
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建国プロジェクト:状況報告
第3部・解放編 第7話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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国民 :320名
資金 :金貨30枚・銀貨200枚
帰還:ノームの社の旅より戻った
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転移ゲートを使い、信たちはクロノスリュカに帰還していた。
間もなく、ナインホースに護送された大勢の獣人たちが渓谷に入ってくる。
その数は300名を超えていた。
それは鉱山で長年働かされてきた獣人たちだった。
皆、疲れた顔をしていた。
しかし、首輪がなかった。
受け入れ準備
栗鼠人バーナデッドが受け入れリストを広げていた。
鼠人アルラッテが各自の得意分野を聞き取りながら部門を振り分けていた。
熊人ジグニと岩山羊人ガルバが住居の増築を急いでいた。
量産型「鉄」が資材を運んでいた。
解放された獣人の中に建設を得意とする者が多かった。
鉱山での土木作業で鍛えた手だった。
即戦力として工事に加わった。
アルラッテ:「適材適所は
信さんの専売特許じゃないでチュウよ」
信:「今、鳴いた」
アルラッテ:「鳴いてません」
新たな戦士たち
戦士団への参加を希望する者が数名いた。
猫人カティが一人ひとりを確認した。
象人・アスラ(男・推定40代)
巨大な体躯・灰色の皮膚・長い鼻。
突進力がジグニに匹敵する。
ゴリラの獣人・ローラン(男・推定30代)
全身が黒い毛に覆われている。
腕力はロガに匹敵する。
スカンク人・テスカ(女・推定20代)
白黒の縞模様・大きな尻尾。
戦闘力は高くはないが、毒霧を放出できる。
匂いで敵の位置を把握できる。
アルマジロ人・ウルルー(男・推定25歳)
全身が硬い鱗状の鎧に覆われている。
丸まって球になれる。
防御力が全キャラ中最高クラス。
シマウマ人・セト(男・推定20代)
白黒の縞模様・馬に近い体型。
ペイスに次ぐ速度。
馬人同様、人型、馬型、ケンタウロス型へ変身が可能。
狼人・ローフェン
獣人たちの最後尾に、一人の若い狼人がいた。
15歳ほどだった。
目つきが鋭かった。
体格はまだ細身だったが、動きに無駄がなかった。
首輪の跡が首に残っていた。
狼人ロガが気づいた。
足が止まった。
若い狼人もロガを見た。
ローフェン:「ロガ」
ロガ:「……生きていたのか」
ローフェン:「母は死んだ。あんたが殺したんだ」
ロガ:「そうか。フェルンは死んだのか」
ロガ:「ここでは英雄と持て囃されている様だが、俺はあんたを認めない」
ローフェンが訓練場の方向に歩いていった。
ロガがその背中を見ていた。
何も言わなかった。
ロガの過去
その夜、信はロガから話を聞いた。
頼んだわけではなかった。
ロガが自分から話した。
ロガ:「昔、村が人間に襲われた。
俺は抵抗して戦ったが瀕死の状態で捕まった。
その後、闘技場に売られた。
家族が人質だと聞いた。
だから戦い続けた。
数年もの間」
信:「…………」
ロガ:「後から知った。
家族はとっくに奴隷として売られていた。
母は奴隷生活の中で死んだ。
俺が戦い続けた意味は最初からなかった」
信は何も言わなかった。
ロガが続けた。
ロガ:「脱走した。
人伝に家族は死んだと聞いた。
全てに絶望していた時に、お前たちと会った」
信:「あの日か」
ロガ:「リュカに失ったと思っていたローフェンを重ねていたのかもしれない」
信:「ローフェンは」
ロガ:「生きていた。
それだけで十分だ。
でも……あいつは俺が見捨てたと思っている。
母を死なせたとも」
信:「違う」
ロガ:「違わない。
守れなかった事実は変わらない」
長い沈黙があった。
信:「この溝はすぐには埋まりそうにありませんね」
ロガ:「……ああ」
この二人の関係は、まだ先が長かった。
ロガの決意
翌夜、ロガが梟人ミネルヴェの部屋を訪ねた。
ロガ:「自らの弱さを実感した。
このままでは仲間を守れない」
ミネルヴェ:「そうか」
ロガ:「なんでもいい、力を得たいんだ」
ミネルヴェが古い書籍を開いた。
ソルマーレの蔵書の中にあった記録だった。
ミネルヴェ:「『真獣化』という古い儀式がある。
自らの精神世界で、自分の中にいる真獣と戦う。
これに勝利すれば真獣化の力を得られる」
ロガ:「真獣化を得られたら強くなれるのか」
ミネルヴェ:「自分の中の最も強い獣の形を解放する力だ」
ロガ:「獣の形か」
ミネルヴェ:「これが、人間が我々獣人を恐る理由の一つだろうな」
ミネルヴェは書籍を閉じる。
ミネルヴェ:「ただし、
この試練に敗れれば、命を落とす可能性がある」
ロガ:「そうか」
ミネルヴェ:「今のお前の命は、お前一人のものではない。
この国にとって大事な命だ。
やると言うのならば、信やリュカの許可を得てこい」
ロガ:「分かった」
翌朝、ロガが信とリュカに伝えた。
ロガ:「真獣化という試練に臨むつもりだ。
死ぬかもしれない」
信:「死ぬとか、簡単に言わないでくださいよ」
ロガ:「失敗すればだ」
信:「やめるつもりはなんですよね」
ロガ:「ああ」
犬人女王リュカ:「ロガが決めたなら信じる。
でも、やるからには絶対に死なないで」
ロガ:「わかった」
ノームの加護の効果
ノームの加護が大地に広がり始めていた。
鹿人コダがノームの加護を得てから数日で、変化が現れた。
兎人ラギラブが畑の土を触った。
ラギラブ:「……土が変わった。
深いところまで力が通っている」
土地の力が上がった。
二毛作が安定的に進められるようになった。
クロノスの加護との相乗効果で農作物の成長がさらに早まった。
収穫量が1.5倍になる見通しが立った。
地盤も安定した。
水路の漏れが減った。
建設インフラの強度が増した。
米の生産開始
蛙人ベロスが渓谷の一角を見ていた。
ベロス:「ここがいい。
水の流れが安定している。
田んぼに向いている」
信:「ベロス、米作を知っているんですか」
ベロス:「東を旅していた頃に学んだんだよ。
水の管理なら任せろ。
田んぼは水が命だ」
信がベロスに頼んだ。
信:「美味しい米を作ってほしい。
ドワーフとの取引の鍵はこの米が握っているんだ。
日本酒は米から作れる。
安定的に良質な米が供給できれば取引が長く続く」
ベロス:「……なるほど。
米が外交の道具になるか。
面白い。
任せろ」
田植えが始まった。
国民が見守った。
渓谷の一角に水田が広がった。
ラギラブ:「これが育てば食文化が変わる」
兎人ダレト:「米料理の研究を始めます」
森の異変
夕暮れ時。
鹿人スタアーグが信のもとに来た。
表情が険しかった。
スタアーグが険しい顔をすることは滅多にない。
全員が気づいた。
スタアーグ:「森に異変がある」
信:「どんな異変ですか」
スタアーグ:「南の端の木が変色し始めた。
匂いが違う。
……瘴気だ」
信:「瘴気がこの森に」
スタアーグ:「まだ小さい。
しかし広がっている。
時間の問題だ」
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建国プロジェクト:状況報告
第3部・解放編 第7話終了時点
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国民 :620名以上
資金 :金貨35枚・銀貨250枚
新加入者
戦士団:アスラ・ローラン・テスカ
ウルルー・セト
特筆:狼人ローフェン(ロガの息子・15歳)
ロガとの関係は第4部以降の課題
ロガの過去が明かされた
村の壊滅・闘技場・家族の死
ローフェンが生きていたことを知った
しかし親子の溝はまだ深い
ロガの決意
真獣化の試練に臨む宣言
次話で実際の試練を描く
ノームの加護の効果
二毛作が可能に
収穫量1.5倍
地盤の安定化
米の生産開始
ベロスが水田を設計・田植え完了
ドワーフとの取引の鍵として期待
コヨルの新たな一面
ダレトに師事することが決まった
緊急事態
スタアーグが森の瘴気を確認
ケイオスの影響が近づいている
次のマイルストーン
→ロガの真獣化の試練
→森の瘴気への対処
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第3部 第7話 終了
次話:「真獣の咆哮」




