表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワクワク獣人ランド 〜異世界PM:適材適所で虐げられている獣人たちと最強の国を作ります〜  作者: 星麒麟


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/39

第2部 第15話「次の地平へ」

========================================

建国プロジェクト:状況報告

第2部・建国編 第15話開始時点

現在地:クロノスリュカ・建国地

========================================

国民 :280名

資金 :金貨15枚・銀貨120枚

建国から:1年

========================================

時計塔の鐘が鳴った。


朝の光が渓谷に差し込んだ。

建国から、1年が経っていた。


渓谷の朝


信が渓谷を歩いた。

1年前、65名が神殿に雑魚寝していた場所に、今は50棟以上の住居。

それぞれの住民の特性に合わせた、自然共存型の住居が並ぶ。

畑では3回目の収穫が始まっていた。

兎人ラギラブが土を触りながら笑っていた。

工房では猪人フォーヌと浣熊人アッチが新しい設計図を広げていた。弟子たちが黙々と作業していた。

学校では梟人ミネルヴェが鹿人コダとソラに獣文字を教えていた。子どもたちの声が渓谷に響いていた。

図書館の前で守護者ストーンゴーレムが静かに立っていた。

そして、国の象徴とも言うべき時計塔が渓谷を見下ろしていた。


信:「ここまで来たんだな」



農地の拡大と新型ロボット


外敵の脅威が減ったことで、渓谷の外への農地拡大が検討されていた。

信がラギラブとジグニを呼んだ。

信:「渓谷の外に農地を広げたいんだ。

   南の平野が候補だ」

兎人ラギラブ:「土地は見ている。

        悪くないと思う。

        ただし開墾に時間がかかるぞ」

信:「そのためのロボットを作ってもらうんだ」


アッチが設計図を広げた。

水牛型のロボットだった。

アッチ:「農地の開墾、耕作、水路の整備を担う。

     こいつには何か特別な戦闘機能は持たせない」

信:「豊穣ほうじょう、と言う名前で考えてる」

ラギラブ:「どういう意味で?」

信:「穀物が多く、豊かに実るって意味なんだ」

ラギラブ:「そういつはいい」

信:「本来、ロボットは戦いではなくこういったことだけに使いたかったんだ。

   金剛・紅蓮・烈風・激流は防衛上必要だから作けど。

   豊穣が、本来俺が作りたかったものなんだ」

ラギラブ:「農業のためのロボットか」

信:「農業は国の根幹だ。

   一番大切な仕事に一番いいものを使う」

ラギラブ:「ありがとう」



内政の確立


信:「外敵の心配が減った今、内政に力を注がないといけない。

   行政をしっかり確立する」


信が各部門のリーダーを集めた。

【確立すべき内政】


貨幣制度の正式稼働

 クロノス金貨・リュカ銀貨・渓谷銅貨

 鼠人のアルラッテが管理体制を整える


給与制度の確立

 役割と貢献度に応じた月給制

 最低保障制度を全国民に


商業の発展

 市場の正式な管理制度

 商業国家マルカンドとの定期交易ルートの確立

 ドミナスが商業ギルドの設立を提案


文化の発展

 ゴルダ×パヴォの衣料の快適化とファッションという概念を確立

 マリアナ×セラ×ウィンの音楽文化

 ミネルヴェの図書館・辞書編纂の継続


娯楽

 信:「娯楽も欲しいな。

    働くだけでは人は疲れてしまうものだ」

 ラックと言う狸人が芸能・娯楽を担当

 まずは定期的な祭りの開催を提案


信:「国は戦うためだけにあるんじゃない。

   ここで生きる全員が笑える場所を作る。

   それがこの国の目的だ」

犬人女王リュカ:「うん」



国際的な認知


聖王教国カルシアとの協定の話は、すぐに大陸中に広がった様で、連日各地から使者が訪れる様になった。

まずは、マルカンドからの使者「クロノスリュカとの正式な国交樹立を求める」

続いてドワーフ職人連盟からも使者「取引の開始を求める」

エルフの使者「精霊の加護を得た国があると聞いた。まずは会談を望む」

カルシアからはガルディウスの署名入りの情報書簡が届いた。

書簡には「東の鉱山付近で魔獣の王の目撃情報あり」と記されていた。


狐人のドミナスが即座に整理した。

ドミナス:「外交の優先順位を決める必要があります。

       マルカンドが最優先。

       ドワーフは鉄鉱石の問題と直結。

       エルフは慎重に、です」

信:「ドミナス一人では大変だな。

   外交部門を強化する必要があるね」

ドミナス:「ご安心を。既に準備しています」

信:「さすが、仕事が早いね」



新型懐中時計の完成


アッチとフォーヌが神殿前に全員を集めた。

そこには新型の懐中時計が並んでいた。

旧型より一回り大きかった。

文字盤にクロノスの紋章が刻まれていた。

そして金色の光を放っていた。

アッチ:「頼まれていた新型だ。

     クロノスの加護を強めた。

     これを使うと、遠く離れた仲間と顔を見ながら会話ができる」

信:「ビデオ通話だね」

アッチ:「ビデオ通話?」

信:「俺がいた世界の道具に似ている。

   スマホって言うんだ」

ミネルヴェ:「スマホとは何だ」

信:「遠くの人と話せる魔法の板みたいなものかな」

アッチ:「魔法の板か。

     悪くない表現だ」

フォーヌ:「ベルトとルトラの分は防水加工をした。

      海と川でも使える」

アッチ:「ちなみに、皆の場所も分かる機能も付けといた」

信:「本当に、スマホだな」



建国英雄への授与


クロノスの神殿にある玉座の前に犬人女王リュカが立った。

リュカ:「この懐中時計を受け取ってほしい人たちがいます。

     獣王国クロノスリュカの建国に大いに貢献した仲間たちです」


一人ずつ名前を呼んだ。


狼人ロガ

リュカ:「ロガさん。本当にありがとう」

リュカに頭を下げ、無言で受け取った。

しばらく見つめた。


梟人ミネルヴェ

リュカ:「これはミネルヴェさんの分」

ミネルヴェ:「ああ、これからの時はコレと過そう」


鴉人シルト

シルト:「これを持つと秘密の行動が難しいですね」

リュカ:「何? 秘密の行動って?」

シルト:「秘密は、秘密だよ」


狐人ドミナス

リュカ:「いつも外交管理ありがとう」

ドミナス:「いえ、仕事ですから」

リュカ:「ドミナスさんがいなかったら、私じゃ無理だったよ」

ドミナス:「ふふ、これからは国の代表として、動いてもらいますからね」


猫人カティ

カティ:「私にもか」

リュカ:「ここは、元々カティが護っていた場所でしょ」

カティ:「ありがとう」

受け取るその目は少し赤らんでいた。


馬人ペイス

ペイス:「ありがたく」

カティ:「ペイスさん、移動の時はいつもありがとう」

ペイス:「いえ、我らは誰かを背に乗せるのは喜びでもあるんです」


蝙蝠人アラファ

アラファ:「夜間の連絡が楽になりますね」

リュカ:「寝てたらごめんね」

アラファ:「寝るのも健康管理上大事な事です。

      今まで通り、緊急時以外は代わり者に言伝ますから」


鹿人スタアーグ

スタアーグ:「クロノス様を常に感じられるとは」

リュカ:「クロノス様はスタアーグたちが森を護ってくれていた事に感謝していたよ」

スタアーグ:「なんとありがたきことか」


隼人イェラキ

イェラキ:「これは空の上でも使えるか」

リュカ:「テストしてもらってる。

     大丈夫、どこでも使えるよ」

イェラキ:「悪くない」


ペンギンの海人ベルト

ベルト:「機械って水に濡れると壊れないのか?」

リュカ:「ベルトとルトラの分は防水だよ」

ベルト:「防水?」

リュカ:「水の中も平気ってこと」

ベルト:「そりゃ助かる」


川獺人ルトラ

ルトラ:「防水か」

リュカ:「当然、川の中でも使えるよ」

ルトラ:「無くさないように頑張る」


熊人ジグニ

ジグニ:「壊さないようにする」

フォーヌ:「ジグニのは特に頑丈にしました」

ジグニ:「それでも気をつけるよ」


羊人クラグル

クラグル:「医療の緊急連絡に使わせてもらいます。

      治ることは義務ですから」

リュカ:「これでもっと沢山の人が助かるといいね」


猪人フォーヌ

フォーヌ:「俺の名前が刻まれている」

リュカ:「これからも大事なものを作ってね」

フォーヌ:「任せておけ」


浣熊人アッチ

アルラッテ:「師匠、どんな気持ちで?」

アッチ:「当然、嬉しいよ」


栗鼠人バーナデッド

バーナデッド:「管理台帳に記録します」

シルト:「自分のことも管理するんですね」

バーナデッド:「当然です」


最後の2つが残った。

リュカが信の前に立った。

リュカ:「しん、来て」

信:「俺の分もあるのか」

リュカ:「当然だよ。

     しんがいなければこの国はなかったもん」

信:「ありがとう」

リュカ:「これからも、ずっと一緒にいてくれる?」


信が少し間を置いた。

信:「うん、一緒にいるよ」

リュカ:「約束だよ」


リュカが懐中時計を信の手に置いた。

光が溢れた。

最後の一つ、リュカ自身の懐中時計が輝いた。

渓谷が光に包まれた。

授与式を見にきていた国民たちが拍手を始める。

誰が始めたのかわからなかった。

気づいたら、全員が手を叩いていた。

国民の中から「建国英雄18傑」と呼ぶ声が上がる。

次第に、皆が声を揃えてそう叫び出した。


リュカ:「建国英雄18傑だって、しん」

信は壇上の人数を数える。

信:「18人ってことは、俺も入ってるのか」

リュカ:「何言ってるの、当たり前じゃない」



アッチとリュカの会話


授与式の後、ミネルヴェがリュカに近づいた。

ミネルヴェ:「リュカ、一つ聞いていいか」

リュカ:「なに」

ミネルヴェ:「お前の力は『次元』まで届く可能性がある。

       信が元いた場所に戻れるかもしれない」

リュカ:「……気づいてる」

ミネルヴェ:「やはり、知っていたか」

リュカ:「うん」


リュカが空を見上げた。

リュカ:「でも今は考えない。

     やるべきことがいっぱいあるし」

ミネルヴェ:「信には話さないのかい」

リュカ:「時が来たらちゃんと話す」


その夜、リュカが信の服の端をいつもより強く掴んでいた。

信は気づいていた。

でも何も言わなかった。


精霊の声が強くなる


夜、4人が同時に信たちのところに来た。

川獺人ルトラ・鷲人アエトス・鹿人コダ・馬人ルドルフ。

ルトラ:「また川から声がした。

     今度は、はっきりと。

     南の海の方向から。

     助けを求めているみたい」

アエトス:「風も、おかしいッス。

      西から何かの呼び声が」

コダ:「地面の下がうなっている。

    東の方向から」

ルドルフ:「胸が熱いッス。

      北の方向から炎が呼んでいる気がする」


ミネルヴェが静かに言った。

ミネルヴェ:「四元精霊だな。

       全員が助けを求めている。

       東西南北・全方位から」

信:「同時には対応できないな」

ミネルヴェ:「ああ、優先順位をつける必要がある。

       最も危険な場所から。

リュカ、どうだ」

リュカ:「一番声が弱いのは南の声。

力が弱っているのを感じる」

信:「南か、ルトラが聞いた声だな」

ミネルヴェ:「海を渡る必要がありそうだ」

信:「じゃあすぐにもでベルトに伝えよう」



ベルトの出航


翌朝、シーベルト船団が出航の準備をしていた。

ベルトが信とリュカの前に立った。

ベルト:「俺たちは一度外海に出て調査を進める。

     あと海洋獣人の仲間を集めてくる。

     目的地が判明したら、その旅には全力で協力する」

リュカ:「どれくらいかかりそう?」

ベルト:「わからない。でもなるべく急ぐよ。

     俺たちはクロノスリュカと運命を共にすると決めたんだ」


人魚海人マリアナが歌い始めた。

出航の歌だった。

渓谷中に響いた。

猫人セラと燕人ウィンが声を合わせた。

3人の歌が、朝の空に広がった。

船が川を下っていった。

ベルトが手を振った。

リュカが手を振り返した。

新型の懐中時計が光った。通話機能を使っている。

ベルト:「また会おう」

リュカ:「ええ、また会いましょう」



信の手帳


夜、信が手帳に書いた。

建国から1年。 国民300名。水路、城壁、鍛冶工房、発明工房、学校、図書館、そして時計塔。 マルカンドとの交易。 カルシアとの条約。 ロボット4機。 全部、ゼロから作った。

でも、まだ終わっていない。

四元精霊が助けを求めている。 魔獣の王と言うのも増えている。 世界の構造をより理解する必要がある。

やるべきことは、終わらない。 だから、俺はここにいる。 今は、それだけでいい。


新たなる旅の幕開け


夜明け前、信とリュカが時計塔の頂上に立っていた。

東の空が赤くなり始めていた。

渓谷が、朝の光に包まれていた。

リュカ:「私、この景色が好き」

信:「俺もだよ」

リュカ:「しん、南の海への旅、危険かな」

信:「だろうね。

   でも、やるしかない」

リュカ:「正直、怖い。

     でも、しんがいれば大丈夫だよね」

信:「そんなことはないよ」

リュカ:「しんがいたから

     ここまで来られたんだよ」


時計塔の鐘が鳴った。

夜明けの鐘だった。

渓谷が光に包まれた。

国民が起き始めた。

今日も、この国が動き始めた。

信:「行こう」

リュカ:「うん」


二人が時計塔を降りた。

新しい旅が、始まろうとしていた。


========================================

建国プロジェクト:第2部完了

時の王国クロノスリュカ・建国1周年

========================================

国民 :300名以上

資金 :金貨20枚・銀貨150枚


国の設備

 住居 :50棟以上

 時計塔:完成・稼働中

 図書館:完成・蔵書増加中

 学校 :開校・生徒20名以上

 工房 :両工房フル稼働

 水路 :完全稼働

 防衛壁:四方完成

 農地 :渓谷外への拡大開始


新型ロボット

 豊穣ほうじょう:水牛型・農業専用

 「本来、ロボットは

  こういったことだけに使いたかった」


内政の確立

 貨幣制度:正式稼働

 給与制度:月給制・最低保障あり

 商業ギルド:設立準備中

 娯楽・文化:祭りの開催を計画


新型懐中時計

 クロノスの紋章刻印

 ビデオ通話機能搭載

 建国英雄18傑に授与


建国英雄18傑

 信・リュカ・ロガ・ミネルヴェ

 シルト・ドミナス・カティ・ペイス

 アラファ・スタアーグ・イェラキ・ベルト

 ルトラ・ジグニ・クラグル・フォーヌ

 アッチ・バーナデッド


外交

 マルカンドと正式国交樹立

 カルシアと相互不可侵条約締結

 ドワーフ職人連盟と取引開始

 エルフの使者が接触


精霊の声

 四元精霊が全方位から助けを求めている

 ウンディーネから着手


========================================



第2部 第15話 終了

第2部「建国編」完結


「行こう」「うん」 ― 信とリュカ、建国1周年の夜明けに


第3部「解放編」へ続く



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ