第3部 第1話「建国祭」
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建国プロジェクト:状況報告
第3部・解放編 第1話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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国民 :300名以上
資金 :金貨20枚・銀貨150枚
建国から:1年
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時計塔の鐘が鳴った。
信が主要なメンバーを集めた。
信:「今日から一週間後に、祭りをやろうと思う。
建国1周年の記念祭だ」
猫人カティ:「祭り?」
信:「国民に楽しんでもらう。
娯楽は国の豊かさの証だ」
建国祭の内容を発表した。
【模擬戦】
練兵場での1対1の模擬戦を
国民が観戦できる形にする。
今後は定期的なランキングバトルに発展させる。
【走力競技】
短距離・中距離のコースを設定。
種族別の部門で競う。
【食祭】
ダレトたち料理班が腕を振るう。
自国の収穫物などで。
【音楽・文化の祭り】
セラ・ウィンが歌う。
ラックが芸を披露する。
狸人の女性・ラックが手を挙げた。
ラック:「エンタメの仕切りは私に任せて。
どうせやるなら最高の祭りにしましょう」
狐人ドミナス:「……頼もしいな」
ラック:「ドミナスさんは情報担当。
私は演出担当。
エンタメは将来的には外交の一助になる。
いいコンビになれると思うけど?」
ドミナス:「ふ、それは面白い考えだな」
ベルトたちの帰還
祭りの前日の朝。
シーベルト船団がアルカ川を遡ってきた。
シーベルト船団の船長ペンギンの海人ベルトが仲間を連れていた。
新しい海洋獣人が20名以上いた。
ベルト:「間に合ったみたいだね」
犬人女王リュカ:「待ってたよ」
信:「懐中時計で伝えた通り、建国祭、祭りだ。
一緒に楽しんでくれよな」
ベルト:「海人は祭りが好きだ」
人魚マリアナ:「大いに盛り上がらないとね!」
模擬戦
建国祭一日目。
練兵場に国民が集まった。急遽作られた客席に住民が集まる。
ラックが演出を仕切った。
ラック:「さあ、クロノスリュカの英雄たちが腕を披露します。
見て・楽しんで・応援してください!」
その前に、狼人ロガが信に抗議していた。
ロガ:「やはり、気が進まん。見せ物はごめんだ」
信:「見せ物とは違うよ。
これは国民に
国の英雄の姿を見てもらうんだ。
ロガたちが戦っている姿を国民は知らない。
知ることで、この国への信頼と誇りが生まれる」
ロガ:「…………」
ミネルヴェ:「力を見せることは色々といい面があると思いぞ」
ロガ:「……わかった。俺はいつも通りただ練兵をするだけだ」
信:「ありがとうございます」
第一試合:アエトス対ルドルフ「若き才能の激突」
鷲人アエトスと馬人ルドルフが向き合った。
二人とも10代だった。
国民がどよめいた。
ルドルフ:「全力で行く」
アエトス:「ああ、こちらもだ」
開始と同時にルドルフが魔法を展開しファイアアローを放った。
炎が練兵場を赤く染めた。
練兵場の周りにはリュカが防御結界をはってあり、観客には被害は及ばない。
アエトスが翼で風を巻き起こして弾いた。
炎と風がぶつかった。
練兵場が光に包まれた。
国民が歓声を上げた。
ルドルフが地を蹴り、ケンタウロス形態に変わり駆ける。
アエトスが上空に舞い上がった。
それを追いルドルフが弓を構えた。
しかしアエトスが急降下した。
風の刃がルドルフの弓を弾いた。
ルドルフが体勢を崩した。
アエトスの爪がルドルフの首元に届いた。
アエトス:「参ったか」
ルドルフ:「……参りますッス」
国民から大歓声が上がった。
隼人イェラキ:「次世代が育っている」
馬人ペイス:「我々もうかうかしてられませんな」
ルドルフ:「次は勝つから」
アエトス:「次も俺が勝つ」
ルドルフとアエトスはグータッチをする。
第二試合:ミネルヴェ対スタアーグ「魔法魔術戦」
梟人ミネルヴェと鹿人スタアーグが向き合った。
場が静まり返った。
スタアーグ:「若者に魔法の真髄を見せてあげませんとね」
ミネルヴェ:「全くだ」
スタアーグが地の精霊魔法を発動、地面から岩の弾丸がいくつも形作られる。
それを発射した瞬間、ミネルヴェが黒魔術を乗せた自らの羽を撒きその弾丸の雨を防ぐ。
スタアーグは「流石ですね」とすぐに風の精霊魔法を発動。
風が渦を巻きミネルヴェの羽を四散させ、すかさず二の手で真空の刃を放つ。
ミネルヴェが黒魔術で真空を作り、その魔法もあっさりと無効化する。
「これが最後です!」と叫びスタアーグはミネルヴェの頭上から巨大な岩石を落下させる。
最初の魔法の発動時に空中にも同日に展開していた。
ミネルヴェは新たに身につけた影魔法を放つ。
それは地上の影から伸びたそれは漆黒の槍となり岩石を粉砕した。
スタアーグ:「降参です。
感服しましたミネルヴェ殿」
ミネルヴェ:「魔法と魔術の戦いで手合わせをしてくれたからな。
武も併せられれば、勝負はどうなっていたか」
スタアーグ:「ご謙遜を」
国民が息を飲んだ後、静かに拍手した。
コダ:「ミネルヴェ先生……すごかったね」
ソラ:「ああ、絶対怒らせないようにしよう」
第三試合:イェラキ対アルラッテ「英傑への挑戦」
隼人イェラキと鼠人アルラッテが向き合った。
国民が笑い始めた。
アルラッテ:「笑いたければ、笑えばいいんです」
イェラキ:「怪我をする前にやめておいた方がいいんじゃないのか?」
アルラッテ:「挑戦しなければ何も手に入れられません」
イェラキ:「いい覚悟だ」
アルラッテが機械腕が展開、ギアが回転を始める。
開始の合図と同時に機械腕から数発の弾丸が発射される。
イェラキが空中へと急上昇。
イェラキ:「ふー、開始と同時にとはいい度胸だな」
イェラキが空中で様子を伺っていると
アルラッテは空中に向かい、幾つもの網放つ。
それらを紙一重で避けながら飛ぶイェラキにアルラッテは必殺のトリモチ弾を連写。
その一つがイェラキを捉える。
イェラキ:「な、なんだこれ!」
アルラッテ:「トリモチ弾です。これで翼は封じました!」
翼を封じられ地上へ急降下するイェラキ。
アルラッテ:「私の勝ちですね」
イェラキは「あまいな」と呟き超高速回転をする。
その回転の遠心力でトリモチを剥がす。
アルラッテ:「そんな方法で!?」
慌ててアルラッテはワイヤーを放つ。
イェラキはそのワイヤーを咥えアルラッテの身体の周りを旋回。
自らのワイヤーで簀巻きにされたアルラッテ。
イェラキ:「まだやるかい?」
アルラッテ:「いいえ、降参です」
中々の勝負を見せたアルラッテに観客たちは拍手を送る。
アルラッテ:「まさかトリモチをあんな方法で剥がすとは。
まだまだ研究が必要ですね」
イェラキ:「お前、いい線行ってたぜ。
これはうかうかしれられないな」
アルラッテ:「お世辞でも嬉しいです」
カティがアルラッテに近づく
カティ:「イェラキ相手に、よくやったな」
アルラッテ:「勝てませんでしたけどね」
カティ:「当たり前だ」
アルラッテ:「けど、次はどうなるか分かりませんよ」
カティ:「ふ、お前らしいな。
またいいデータが取れたと思っているんだろう」
第四試合:ロガ対ジャック「最強への挑戦」
狼人ロガが練兵場の中央に立った。
国民が静まり返った。
ジャッカルの獣人ジャックが向かいに立った。
ジャック:「今日こそ超えてみせる」
ロガ:「来い」
開始の合図と同時に、ジャックが突進した。
速かった。
ジャックの全力の打ち込みをロガは剣で弾く。
全力の打ち込みが続けられ、その音が修練場に響き続ける。
その迫力に国民が息を飲む。
打ち続けるが突破口が見えず焦れるジャックは大きく飛ぶ。
そしてロガの脳天へ切り付ける。
ジャック渾身の一撃は地面を破る。
次の瞬間、ロガの回し蹴りがジャックの腹を捉え、大きく吹っ飛ばされた。
ジャック:「くそ! まだ届かないか」
ロガ:「成長している。
訓練を続けろ」
ジャック:「次は勝つ」
ロガ:「ああ、待っているぞ」
国民が大きく沸いた。
コヨル:「よく頑張った」
ジャック:「うるさい」
コヨル:「でも、今日一番かっこよかったよ」
ジャック:「うるさい」
ロガが練兵場から出ようとした時、信が声をかけた。
信:「ありがとうございました」
ロガ:「待っている間、観客席を見た」
信:「どうでした」
ロガ:「闘技場の人間たちとは違う表情だったな」
信:「あれが、喜びと誇りの表情ですよ」
ロガ:「だが、やはり見せ物はごめんだ」
ロガは立ち去る。その後ろ姿に信が声をかける。
信:「次もお願いしますね!」
走力競技
建国祭二日目。
ラックが演出を仕切った。
【短距離走】
猫人カティが圧勝。
2位にコヨーテの獣人コヨルが入る。
カティ:「当然だな」
コヨル:「いつか追い越します」
カティ:「面白い」
【中距離走】
鹿人スタアーグが安定したペースで上位。
鹿人コダが若さで追い上げる。
コダ:「スタアーグさんに追いつく」
スタアーグ:「まだ早い」
コダ:「絶対超えてやりますから」
【馬人走】
ペイスが圧倒的な速さで1位。
ルドルフが若手ながら奮闘し2位。
ルドルフ:「あー、もうどうやったら早くなるんですか」
ペイス:「訓練だな」
国民が大声援を送った。
渓谷に初めての「スポーツ観戦」の文化が生まれた。
信:「素晴らしかったね。
これは定期大会にしていかないと」
ラック:「実は考えがありまして。
ランキングバトル形式にしたらもっと盛り上がるかと」
信:「それいいね!」
ラック:「それでですね、ドミナスさんに協力をしてもらいたいんです」
信:「ドミナスに? なんでかな」
ラック:「各国から参加者を集えばもっともっと盛り上がりますよ」
信:「天才! 戦争ではない、対話ができる」
ラック:「早速取り掛かりますね!」
食の祭り・新食材の衝撃
建国祭三日目。
厨房にはシーベルト船団が持ってきた新食材が並んでいた。
米・ジャガイモ・オレンジ・トマト
唐辛子・サトウキビ・各種香辛料
どれもこの近隣では見ない物だ。
兎人ダレトが目を丸くし、それを白い兎人イナバが得意げに見ている。
ダレト:「なんだこれ! 全部、知らない食材だ」
イナバ:「新しい味がいっぱいですよ」
ダレト:「全部、試すぞ!」
二人がその場で料理を始めた。
米を炊いた。
ジャガイモを焼いた。
オレンジを絞った。
トマトと唐辛子で煮込みを作った。
サトウキビから甘い汁を絞った。
国民に次々と振舞われた。
ロガ:「うまい」
ミネルヴェ:「白い粒がこんな食べ物になるとは」
信:「俺がいたところではお米って言って、国民食だったんだ。
まさか、こっちで米が食べられるなんて」
信は少し涙ぐむ。
カティ:「この果実は甘いな」
ベルト:「こっちは少し酸っぱいよな、でも海の料理に合うかも」
皆、新鮮な食材にいろめき立った。
その時、イナバがサトウキビの汁を 小さな鍋で煮詰めていた。
白い結晶が生まれた。
砂糖だった。
イナバが指につけて舐めた。
イナバ:「甘い。
これは甘味の結晶だな」
ダレト:「すごいな、これは。
料理の幅が広がるな」
その時、一人の若い熊人が近づいてきた。
大きな目が砂糖の結晶に釘付けになっていた。
若い熊人:「それ、使っていいですか?」
イナバ:「いいけど、何に使うつもり」
若い熊人:「甘いものを作るのが好きで。
でもハチミツは量があまりなくずっと困っていたんです」
イナバ:「ほら、試してみなよ」
熊人ショコラが砂糖を受け取った。
目が輝いていた。
この出会いが、将来のクロノスリュカの菓子文化の始まりになる。
それはまだ、先の話。
ダレト:「しかし、世界は広いな。
まだまだ知らない食材ばかりだ」
イナバ:「これからもどんどん色々な食材を見つけてきますよ」
ダレト:「その間に、俺は、今ある素材で更なる美味しさを求めるよ」
イナバ:「わたしは海の料理を極めたい。
海の幸は宝の山です」
ダレト:「なら、俺は陸の料理を極める。
これは俺とお前の勝負だな」
イナバ:「そうですね」
信が全部食べながら、心の中で呟いた。
俺がいた世界の食が、ここにある。 この食文化が、この国の名物になる。 獣人の料理と侮っていた人間たちが 食を通じて態度を変える日が来る。
アルラッテ:「これは産業になります。
食の観光が名物になる。
人間たちもこれには納得するはず」
信:「そういうことが積み重なって互いが分かり合えたらいいね」
貨幣経済への道
祭りの中で市場が賑わっていた。
マルカンドから来た商人が産品を見て驚いていた。
商人:「この調理器具は
どこで作っているんだ」
栗鼠人バーナデッド:「自国の工房です」
商人:「売ってくれ」
バーナデッド:「売ります。
ただし、これからはクロノス銀貨でお願いします」
商人:「クロノス銀貨?」
バーナデッド:「ええ、この国の貨幣です。
マルカンドの銀貨と
1対1で換算できます」
鼠人アルラッテが記録を取っていた。
アルラッテ:「今日だけで銀貨50枚分の取引がクロノス銀貨で行われました。
貨幣経済が動き始めています」
信:「まだ始まりだ。
でも、確かに動いている」
アルラッテ:「次の目標はマルカンドの市場でクロノス銀貨が普通に使われること」
信:「時間をかけて信頼を積んで行こう。
焦らず、確実に」
アルラッテ:「わかっています。
でも早いほうがいい」
信:「急いては事を仕損じるって言葉があるんだ」
アルラッテ:「フォーヌさんは鉄は熱いうちに打てって言ってましたよ」
信:「わかってる。
ただ、信用っていうのは、築くのは時間がかかるが、崩れるのは一瞬なんだ」
アルラッテ:「はい」
旅立ちの朝
祭りの最終日の夜明け。
シーベルト船団が出航の準備をしていた。
乗船メンバーが港に集まった。
【乗船メンバー】
信、犬人女王リュカ
狼人ロガ、梟人ミネルヴェ
狐人ドミナス、鴉人シルト
蝙蝠人アラファ、羊人クラグル
猪人フォーヌ、浣熊人アッチ
カワウソ人ルトラ(激流と共に)
ペンギン海人ベルト、鯨海人フェル、人魚海人マリアナ(シーベルト船団)
【残留メンバー】
猫人カティ(国の守護)
熊人ジグニ(建設継続)
栗鼠人バーナデッド(財務管理)
馬人ペイス・ナインホース(防衛)
兎人ラギラブ・ダレト(農業・食糧)
隼人イェラキ・エウクレイア(北の警備)
鹿人スタアーグ(森の管理)
鼠人アルラッテ(内政・貨幣経済)
狸人ラック(エンタメ・文化)
国民全員が港に集まった。
ラックが声を張り上げた。
ラック:「クロノスリュカの英雄たちが旅立ちます。
全員で見送りましょう」
マリアナが出航の歌を歌い始めた。
猫人セラと燕人ウィンが声を合わせた。
3人の歌が朝の空に広がった。
リュカ:「任せたね」
カティ:「安心して行ってこい。
そして、無事に帰ってこい」
リュカ:「うん」
信:「留守を頼むね」
アルラッテ:「任せてください。
帰ってきたら貨幣経済が一段階進んでいます」
信:「期待しているよ」
船が川を下り始めた。
渓谷が小さくなっていった。
リュカが手を振った。
国民が手を振り返した。
信が渓谷を見ていた。
1年前、何もなかった場所に、今は国があった。
次は、世界に出る番だ。
リュカ:「しん、海が見えたら教えて」
信:「ああ」
ベルト:「すぐ見えるようになる」
フェル:「楽しみにしておけ」
船が南へ向かった。
海の匂いが、少しずつ近づいてきた。
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建国プロジェクト:状況報告
第3部・解放編 第1話終了時点
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国民 :322名
ベルトが新たな海洋獣人20名を連れてきた
熊人ショコラが国民として正式登録
資金 :金貨22枚・銀貨180枚
開国記念祭での取引で増加
建国記念祭の成果
模擬戦:国民の娯楽として定着
今後ランキングバトルに発展
模擬戦の結果
一戦目:アエトス対ルドルフ→アエトス勝利
二戦目:ミネルヴェ対スタアーグ→ミネルヴェ勝利
三戦目:イェラキ対アルラッテ→イェラキ圧勝
四戦目:ロガ対ジャック→ロガ圧勝
走力大会
スポーツ観戦文化の始まり
ラック×ドミナスのコンビが機能し始めた
新食材
米・ジャガイモ・オレンジ・トマト
唐辛子・サトウキビ・各種香辛料
食の展望
ダレト:陸の料理
イナバ:海の料理
ショコラ:菓子文化の始まり
貨幣経済の進展
クロノス銀貨が市場で流通し始めた
アルラッテが内政を主導
旅の目的
①ウンディーネの救出
②新食材の収集継続
③港町の獣人との接触
④海洋獣人国家への礎
残留組の課題
貨幣経済の推進(アルラッテ主導)
農地拡大(ラギラブ・豊穣)
国内治安
エンタメ・文化の発展
次のマイルストーン
→ 南の海への到達
→ ウンディーネの所在確認
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第3部 第1話 終了
次話:「港町の夜」




