第2部 第12話「時計塔の鐘が鳴る」
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建国プロジェクト:状況報告
第2部・建国編 第12話開始時点
現在地:クロノスリュカ・建国地
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国民 :210名
資金 :銀貨110枚
各プロジェクト進捗
時計塔:95%完成・完成間近
ロボット:最終調整中
防爆シェルター:完成
結界 :78%回復
耐爆・耐火魔術:展開準備中
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建国から半年が経っていた。
渓谷の景色が大きく変わっていた。
自然共存型の街並み
住居は木々の間やそれを一部として建てられている。
石造りの建物に蔦が這っている。
水路が街の中を流れ、その両岸に木が植えられている。
植林活動で渓谷全体に緑が増えていた。
鳥が街の中に巣を作っていた。
エウクレイアの鳥人たちが時折、木の枝に止まって休んでいた。
スタアーグが監修した自然配置だった。
信:「人が森に住むのではなく
森の中に人が住む。
それがこの国の形だ」
鹿人スタアーグ:「正しい考え方だ」
耐爆・耐火の魔術展開
しかし、その自然共有型の街並みが前回の奇襲で被害が深刻だった。
木々は爆発は炎に弱い。
連日、梟人ミネルヴェが図書館に集められた蔵書を調べ続けていた。
古い魔術書の中に、“それ“を見つけた。
ミネルヴェ:「あったぞ。
エルフが古い時代に森を守るために使っていた術式だ。
今は忘れられていた技術がここに残っていた」
ミネルヴェが術式を展開した。
街全体の木々と建物に光が広がった。
猪人フォーヌがルーン文字で魔術の効果を恒久化した。
浣熊人アッチが魔術増幅器で術式の範囲を渓谷全体に広げた。
フォーヌ:「これで爆弾が落ちても木が燃えない」
アッチ:「3人の組み合わせだからできた」
ミネルヴェ:「図書館に蔵書を集めていたからこそだ。
知は力か、まさにだな」
ロボット4機の完成
時計塔の完成と同じ日の朝。
アッチの工房の前に4機が並んだ。
数人の関係者を呼んでいたが、面白がって多くの住民が集まった。
金剛
全高2.5メートル。サイ型。
全身が黒光りする金属製の鎧で覆われていた。額に一本の巨大な角。胸部にルーン文字と漢字が刻まれていた。足音が地面を揺らした。目が鈍い黄金色に光っていた。
動く城壁という印象だった。
ロガ:「重そうだな」
フォーヌ:「徹底的に硬度を高めたぞ」
信:「この盾役があれば、戦術の幅が広がるはずだよ」
烈風
翼を広げると4メートル。鳥型。
羽毛の一枚一枚が刃になっていた。全身が銀白色。飛行時に風切り音がしなかった。翼端から風の刃を飛ばせた。翼を広げると盾にもなった。目が緑色に光っていた。
隼人イェラキ:「盾と刃が同時に使えるか」
アッチ:「支援型だが
守りも攻めもできる」
激流
全長1.5メートル。イルカ型。
全身が青みがかった金属。水中では発光して周囲を照らした。背部に武器庫が内蔵されていた。カワウソ人ルトラが開けると様々な武器が出てくる設計だった。目が水色に光っていた。
ルトラ:「武器だけを希望してたんだが」
フォーヌ:「色々な武器を積んでおいた。これで様々な戦闘が展開できるはずだ」
ルトラ:「こいつ、どう動くんだ?」
アッチ:「これは自動追尾型なんだ。ルトラの動きに合わせて動くよ」
ルトラ:「見てみないとわからないな」
紅蓮
全高1メートル。4足バイクに近い小型一角馬型。
全身が深紅の金属。鬣の部分が炎のような形状で、戦闘時に実際に炎を纏う。胴体に砲撃機構が内蔵されて、一角部分が銃身となっている。金剛より細身で速かった。目が赤く光っていた。
リュカ:「これが一番小さいね」
信:「移動型の砲台だから、色々なところで運用できるよう小型化したんだ」
それは全て動物を模した姿だった。
初めは信もロボットを人型で考えていたが、この獣王国では動物型であるべきかと変更した。
信がのみを手にし、一機ずつ、漢字を刻んでいく。
全員が静かにそれを見ていた。
リュカ:「しん、この模様は何?」
信:「これはね、俺がいた世界の文字なんだ。
漢字という文字で意味と音が一体になっている。
『金剛』は最も硬い鉱石。
『紅蓮』は赤く燃える炎。
『烈風』は鮮烈な風。
『激流』は激しく流れる水」
犬人女王リュカ:「かっこいい」
鼠人アルラッテ:「全部、強そうな名前です」
フォーヌ:「ルーン文字と漢字を組み合わせた。
二つの文字の力が一つになった」
ミネルヴェ:「文字に力が宿る点では獣文字と同じだな」
紅蓮のテストと飛行魔獣の来襲
南の平野でテストが始まった。
信が紅蓮に跨った。
4本の足が地面を踏みしめた。
信:「よし、行くぞ紅蓮」
紅蓮が走り出した。
4キロ先に岩の標的が置かれていた。
信が照準を合わせようとした。
懐中時計が光った。
周りの時間が僅かに遅くなる。
弾道計算が自動で補正された。
最適な照準が、体に伝わった。
引き金を引いた。
炎の砲弾が放たれた。
4キロ先の岩が砕けた。
アルラッテが双眼鏡で確認する。
アルラッテ:「命中!」
アッチ:「うん、設計通りだ」
フォーヌ:「想定以上だ」
次は動く標的のテストが始まった。
フォーヌが投擲機で標的を放つ。
信は照準を合わせた。
懐中時計がまた光った。
炎の砲弾が移動標的の中心を貫いた。
信:「これで俺も、皆を助けられるかな」
紅蓮の側面を手で叩いた。
言葉はなかった。
その時だった。
鴉人シルトが上空から叫んだ。
シルト:「南から飛行魔獣。3匹。大型です」
スカイドレイクだった。
翼竜に近い外見。全長5メートル。3匹の群れで行動していた。
エウクレイアが即座に飛び上がった。
しかし3匹が散開した。
この知らせを受けて鳥人部隊エウクレイアが分散。
イェラキ:「チィッ! 数が足りない」
信が紅蓮を走らせた。
懐中時計が光った。
散開したスカイドレイクの一匹が時間の流れの中に鮮明に見えた。
弾道計算が補正された。
信がスルト経由でイェラキに伝達
「中央の一体から離れろ!」
それを受け、エウクレイアが左右に展開。
信が引き金を引く。
炎の砲弾がスカイドレイクに貫く。
魔獣が落ちた。
左右に分断された魔獣の残り2体をエウクレイアが仕留めた。
イェラキ:「凄い威力だな」
信:「初めての実践で上手くいってよかった」
アエトス:「精度もすごかったすね」
信:「ありがとう」
時計塔の完成
夜明け前から、ジグニとガルバが最終工事をしていた。
犬人女王リュカが塔の頂上に登った。
目を閉じた。
時間の流れを感じた。
時計の針に、手をかざした。
針が動き始めた。
正確に。狂わずに。
夜明けと同時に、鐘が鳴った。
渓谷に響いた。
国民が外に出てきた。
全員が時計塔を見上げた。
誰も何も言わなかった。
鐘の音が山に反響した。
やがて消えた。
その後の沈黙が、全員の答えだった。
信:「これで全員が同じ時間を生きられる」
ミネルヴェ:「長かった」
アッチ:「リュカちゃんがいなければできなかった」
リュカ:「みんなが作ったんだよ。
わたしはちょっと手伝っただけ」
ジグニ:「ちょっとじゃない」
敵探知機能の稼働
時計塔の最上部に探知装置が設置された。
蝙蝠人アラファが装置に接続した。
探知範囲が一気に広がった。
アラファ:「南西30キロ先まで把握できる」
シルト:「これで奇襲は防げる」
信:「次が来る前に全部間に合った」
ガルディウスの本格侵攻の情報
その夜、シルトが緊急報告を持ってきた。
シルト:「ガルディウスが動き始めました。
地上軍は前回以上の5000名以上。
飛行兵器は200機以上の情報があります」
ロガ:「来るか」
信:「いよいよですね。
全員、最後の準備をしてください」
犬人女王リュカが時計塔を見上げた。
鐘がもう一度、静かに鳴った。
時を刻む音が渓谷に広がった。
夜、信は手帳に書いた。
時計塔が完成した。 ロボットが完成した。 街が守られた。 そして敵が来る。
全部、間に合った。 あとは、やるだけだ。
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建国プロジェクト:状況報告
第2部・建国編 第12話終了時点
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国民 :210名
資金 :銀貨115枚
本日の成果
時計塔:完成・鐘が初めて鳴った
敵探知機能:稼働・範囲30キロ
耐爆・耐火の魔術:街全体に展開
ロボット4機:完成・名称発表
ロボット配備
金剛:ロガ隊・ナインホース隊
紅蓮:信が騎乗・初実戦テスト成功
烈風:エウクレイア隊
激流:ルトラ専属
紅蓮の戦績
4キロ先の静止標的:命中
移動標的:命中
スカイドレイク討伐:1匹
街の現状
自然共存型の街並みが完成
耐爆・耐火の魔術で保護済み
敵の動き
ガルディウスが本格侵攻を開始
地上軍5000名以上
飛行兵器200機以上
次のマイルストーン
→ 第2部クライマックス・大戦
→ ガルディウスとの決着
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第2部 第12話 終了
次話:「空が燃える日」




