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ワクワク獣人ランド 〜異世界PM:適材適所で虐げられている獣人たちと最強の国を作ります〜  作者: 星麒麟


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15/38

第15話「時の神殿を守れ」

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建国プロジェクト:状況報告

第15話開始時点

現在地:クロノス神殿・防衛線構築済み

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人員 :総勢65名

安全度:警戒レベル最高

    3000名の旅団が森を焼き始めた

状況 :決戦前夜が明けた

========================================

森が燃えていた。


黒い煙が空を覆った。

人間の旅団が黒い油を森に流し込み、火の魔術で点火した。

数千年の時を、獣人たちが守り続けた森が、燃えていた。

スタアーグ:「……森が、燃えている」

      (初めて、声が震えた)

信:「スタアーグ」

スタアーグ:「……わかっている。

       今は、止まらない」


ミネルヴェが上空から降りてきた。

ミネルヴェ:「結界が揺らいでいる。

       森の力が弱まれば

       迷いの効果が消える。

       大群が一気に来る」

アラファ:(風の精霊で全員に)

     「前方から3000。

      東から500。

      西から200。

      精霊狩り特殊部隊は

      中央に確認。

      30分以内に接触します」


信が全員を見渡した。

65名対3700名。

数の差は覆せない。でも、やることは変わらない。

信:「全員、持ち場について!

   作戦通りに動く。

   変更があればシルトとアラファから連絡が来る。

   それに従ってくれ!」


全員が動いた。


第1防衛線:罠地帯


西からの200名が最初に動いた。

アッチの罠が発動した。

地面が崩れた。落とし穴だった。底にフォーヌのルーン文字が刻まれた杭が並んでいた。

先頭の30名が落ちた。

アッチ:(工房馬車の中から確認しながら)

    「次は5秒後に右の仕掛けが」

フォーヌ:「起爆のタイミングは合っているか」

アッチ:「完璧だ」


次の仕掛けが発動した。

鋼鉄の網が地面から飛び上がった。フォーヌのルーン文字が刻まれた網は、魔術を弾いた。兵士たちが絡まった。

さらに次の仕掛けが発動した。

ミネルヴェの黒魔術を封じ込めた魔術球が破裂した。

範囲が通常の5倍に広がった。

西の部隊が、視界を失った。

フォーヌ:「……予想以上の効果だ」

アッチ:「ルーン文字の配列を昨夜また変えた。

     少し良くなった」

フォーヌ:「少し、ではない」

アッチ:「では、かなり良くなった」



第2防衛線:東の土塁


東からの500名が土塁に当たった。

2メートルを超える土塁は、騎馬では越えられなかった。

歩兵が梯子を出した。

その瞬間、土塁の上にロガ隊が現れた。

狼人・犬人が横一列に並んだ。

ロガ:「押し返せ」


梯子が次々と払い落とされた。

ロガが正面から梯子を掴んだ。

兵士ごと、投げ返した。

シルト:(上空から)

    「東の梯子が15本。

     右端から集中しています。

     ロガさん、右に寄って」

ロガ:「右、3人移れ」


ロガ隊が即座に動いた。

右端の梯子が全て払われた。

ロガ:(心の中で)

   「……一人では無理だった数だ。

    群れることがこれほど有効とは。

    信が言っていた通りだった」



第3防衛線:南の平地


3000名の本隊が南から来た。

ペイスが咆哮した。

ナインホースがケンタウロス形態に変わった。

9頭が一列に並んだ。

弓を構えた。

ペイス:「放て」


矢が雨のように降った。

先頭の隊列が乱れた。

ナインホースが突撃した。

本隊の先頭を崩した。

すぐに撤退した。

また突撃した。また撤退した。

繰り返した。

本隊の進軍速度が、大幅に落ちた。


精霊狩り特殊部隊


中央から、精霊狩り特殊部隊が動いた。

50名。しかし一人ひとりが別格だった。

精霊を封じる魔術具を持っていた。

ミネルヴェの黒魔術が、特殊な盾で弾かれた。

ドミナスの幻惑が、魔術具で打ち消された。

ミネルヴェ:「厄介だな。

       精霊の力を無効化する装備か」

ドミナス:「通常の手が通じませんね」


特殊部隊が神殿に向かって一直線に進んだ。

その時、神殿の屋根からカティが飛んだ。

音は無く。

影すら見えなかった。

気づいた時には、先頭の3名が動けなくなっていた。

カティ:「……この程度か」

特殊部隊隊長:「猫人か。

        一匹ずつ仕留める」

カティ:「やってみろ」


猫人20名が神殿の影から現れた。

一撃必殺。

散発的な攻撃に、猫人は圧倒的に強かった。

しかし特殊部隊は50名だった。

数が多すぎた。

10名が倒れた頃、カティが押され始めた。


信の危機


その時だった。

特殊部隊の隊長が信を見た。

人間が指揮している。

それだけで、格上の標的だった。

隊長が魔術を構えた。

信が気づいた時には、間に合わなかった。

魔術が放たれた。

リュカが見ていた。

しんが、死ぬ。

その言葉が、頭の中で弾けた。

時間が、止まった。


リュカの能力の発現


周囲の全てが、静止した。

炎も、煙も、飛んでくる魔術も。

全部が、止まった。

リュカだけが、動いていた。

神殿の扉が、内側から輝いた。

光が溢れた。

声が聞こえた。

言葉ではなかった。

でも意味はわかった。

クロノス:「待っていた」


リュカの体が光に包まれた。

リュカが持っているお守りに刻まれたファミリーネームの紋様が輝いた。

胸の奥から、力が溢れた。

時間が、巻き戻った。

信が魔術を受ける30秒前に。


誰も気づかなかった。

ただ、リュカだけが知っていた。

一度起きたことを。

一度、信が死んだことを。

リュカの目から、涙が一筋流れる。

それだけだった。

リュカは全力で掛け、信に体当たりをする。

信が立っていた場所に、魔術が空を切った。



時の流れが変わる


リュカが両手を広げた。

その両手からは時計の様な複雑な魔法陣が展開される。

そして、時の流れが、僅かに遅くなった。

敵の動きが、全員に見えるようになった。

ロガ:「……見える。

    全部が、見える」

カティ:「これは……何だ」

ミネルヴェ:「時の流れが遅くなっている。

       これが、……クロノスの加護」


リュカが全軍の指揮をとる。

リュカ:「カティさん、左の特殊部隊が右に動く。今」

カティ:「わかった」


リュカ:「東の土塁に梯子が集中する。3秒後。ロガさん東に全員集めて」

ロガ:「皆俺に付いてこい!」


リュカ:「南の本隊が中央を突こうとしています。ペイスさん中央に向け突撃を」

ペイス:「任せろ」

全員が、リュカの言葉に従って動いた。

戦況が、変わり始めた。


全員がクロノスとリュカの繋がりを知る


特殊部隊の隊長が、リュカを見た。

精霊を封じる魔術具を向けた。

特殊部隊隊長:「その力、封じる」


魔術具が発動した。

しかし、何も起きなかった。

特殊部隊隊長:「……なぜだ。

        精霊の力を封じているのに」

ミネルヴェ:「精霊の力ではないからだ。

       これはクロノスの加護を受けた

       獣人固有の力だ。

       精霊魔法でも魔術でもない。

       お前たちの道具では封じられない」


神殿が再び輝いた。

クロノスの光が、リュカを中心に広がった。

全員が見た。

リュカのファミリーネームの紋様が、神殿の紋様と完全に一致した。

スタアーグ:「……やはりそうだった。

       この紋様を持つ者が来ると

       200年間待ち続けた」

カティ:「……あの子が、クロノスと」

ロガ:「……最初から、決まっていたのか」

シルト:「……リュカが、ここに来るべき人間だった」


リュカは何も言わなかった。

ただ、前を見ていた。

9歳の犬人の少女が、時の精霊の加護を受けて、大地に立っていた。


決定的な勝利

特殊部隊が崩れた。

カティの猫人隊が一気に仕留めた。

統率を失った3000名の本隊が、動揺した。

ロガ隊が東の土塁から飛び降りた。

ナインホースが南から突撃した。

アッチの最後の仕掛けが発動した。

地面から、光の柱が上がった。

フォーヌのルーン文字が刻まれた魔術増幅器が、ミネルヴェの黒魔術を最大出力で放った。

戦場全体が、一瞬、暗闇に包まれた。

ガルディウス:(後方の高台から)

       「……退け。

        全軍、撤退だ」


ガルディウスの顔が、険しかった。

怒りではなかった。

初めて、恐れが混じっていた。

ガルディウス:(独り言のように)

       「人間と獣人の協力など認めん」


旅団が撤退した。

森の炎が、消えていた。

クロノスの力が、燃えた木々を癒していた。


クロノスの降臨


戦いが終わった。

全員が、神殿の前に集まった。

65名。

傷だらけだった。でも、全員が立っていた。

神殿の扉が、ゆっくりと開いた。

光が溢れた。

言葉にならない力が、全員の肌に触れた。

クロノスが降臨した。

姿は人の形をしていた。しかし人ではなかった。時の流れそのものが、人の形を取っていた。

全員が、膝をついた。

リュカだけが、立っていた。

クロノス:「……長かった」

リュカ:「待たせてごめんなさい」

クロノス:「謝ることはない。

      来るべき時に、来た。

      それで十分だ」


クロノスが信を見た。

クロノス:「……人間よ。

      ここに国を建てることを望むか」

信:「はい。

   お許しをいただけるのならば」

クロノス:「許可の前に、問う。

      王を据えるか」

信:「はい」

クロノス:「王は誰か。

      お前がその玉座に座るのか」

信:「違います」

クロノス:「なぜ違う」

信:「この国は獣人たちのための国です。

   人間が王に座れば

   内からも外からも信頼されない。

   俺の役目は王ではない」

クロノス:「では、誰が王に相応しい」


信がリュカを見た。

信:「リュカです。

   この子なら世界を変えられる」


クロノスが全員を見た。

クロノス:「皆もそれで良いのか?」


ロガが前に出た。

ロガ:「リュカ以外にいない」


ミネルヴェが続いた。

ミネルヴェ:「72年間待った。

       この子のためだったと

       今ならわかる」


カティが一歩前に出た。

まだ迷っている顔だった。

でも、言った。

カティ:「……今日の戦いを見た。

     あの子は、本物だ」


スタアーグが静かに言った。

スタアーグ:「200年間待った。

       答えは出ている」


シルトが言った。

シルト:「リュカが最初に俺を仲間と呼んでくれた。

     それだけで十分なんすよ」


ラギラブが言った。

ラギラブ:「村を失った時、

      リュカも同じだった。

      だから、リュカが王なら

      みんな安心できる」


ジグニが、大きな体で頷いた。

言葉はなかった。それで十分だった。

一人ひとりが、リュカを見た。

クロノスが笑った。

時の精霊が笑う姿は、夜明けの光に似ていた。

クロノス:「では、王はリュカだ。

      それで、国の名は、どうする」

信:「決まっています」

クロノス:「何だ?」

信:「クロノスリュカです」

クロノス:「……ほう」

     (また笑った)

     「良いな」



リュカの戴冠

クロノスがリュカの前に立った。

リュカを見下ろした。

リュカが見上げた。

クロノス:「リュカよ。

      この国の王となることを

      受け入れるか」

リュカ:「でも、私にはできないことが、たくさんある」

クロノス:「そうだな」

リュカ:「それに、難しいことは、わからない」

クロノス:「ならば、何ができるかな」

リュカ:「……誰も捨てない国を作る。

     それだけは、できる」


クロノスがリュカの額に手を当てた。

光が溢れた。

リュカのファミリーネームの紋様が、金色に輝いた。

懐中時計が、全員の胸の中で振動した。

クロノスの加護が宿った証だった。


建国宣言


信が前に立った。

信:「ここに、クロノスリュカを建国します。

   国王はリュカ。

   誰も捨てない国を、ここから作ります」


全員が声を上げた。

人間も、梟人も、犬人も、狼人も、鴉人も、兎人も、狐人も、熊人も、栗鼠人も、羊人も、猪人も、馬人も、蝙蝠人も、浣熊人も、猫人も、鹿人も。

65の声が、渓谷に響いた。

クロノスの神殿が輝いた。

森の炎が完全に消えた。

新しい芽が、焼けた地面から顔を出した。

リュカ:(信に小声で)

   「……しん、わたし、ちゃんとできるかな」

信:(小声で)

  「できるできないじゃないんだ。やるんだよ

   そのために、俺たちがいる。

   それがチームだ」

リュカ:「……うん」


リュカが顔を上げた。

9歳の犬人の少女が、時の王国の王として、渓谷に立った。

灰の原で一人座っていた少女が、ここまで来た。


カティがリュカの隣に来た。

カティ:「……まだ、信用したわけじゃない」

リュカ:「うん」

カティ:「でも、お前の村と俺の家族は

     同じ人間に奪われた。

     それだけは、同じだ」

リュカ:「……一緒に取り戻そう」

カティ:「……ああ」


ロガがスタアーグの隣に立った。

ロガ:「200年間、よく守った」

スタアーグ:「お前たちが来てくれた。

       それで十分だ」

ロガ:「……これからは一人じゃない」

スタアーグ:「……そうだな」


ミネルヴェが信の隣に来た。

ミネルヴェ:「……72年間で

       初めて信用できる人間に会った。

       裏切るなよ」

信:「裏切りません」

ミネルヴェ:「……わかっている。

       それでも言いたかった」



時の鐘がなる。

その鐘の音は神殿を中心に森にも響き渡る。


スタアーグ:「これが、クロノスの時の鐘か。生きている間に聞ける日が来るとは」


夕暮れが、渓谷を赤く染めた。

クロノスリュカの最初の夕暮れだった。


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建国プロジェクト:第1部完了

時の王国クロノスリュカ 建国

建国地:クロノス渓谷

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国民 :65名

国王 :リュカ(犬人・9歳)

摂政PM:牧野信(人間・32歳)

軍の長:ロガ(狼人)

知の番人:ミネルヴェ(梟人)

外部交渉:ドミナス(狐人)

医療長 :クラグル(羊人)

情報部門:シルト・アラファ(鴉人・蝙蝠人)

建設 :ジグニ(熊人)

物資管理:バーナデッド(栗鼠人)

食糧・料理:ラギラブ・ダレト(兎人)

鍛冶・発明:フォーヌ・アッチ(猪人・浣熊人)

騎馬隊 :ペイス・ナインホース(馬人)

暗部 :アラファ(蝙蝠人)

森の長 :スタアーグ(鹿人)

神殿守護:カティ(猫人)


クロノスの加護

 懐中時計に精霊の力が宿った

 隊長クラスへの授与は建国後


リュカの時空魔法

 能力の発現・クロノスの加護を得た

 信のメモ:「一度、俺は死んだ。

       リュカだけが知っている。

       あの子が俺を救った。

       それだけは、忘れない」


第1部:遊牧民編 完

第2部:建国編 開始

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第15話 終了

第1部「遊牧民編」完結

第2部「建国編」へ続く


「誰も捨てない。それが、この国の唯一のルールだ」― リュカ、建国の日



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